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シフォンケーキはいかがですか?(”卯の花和え”の真実)

私が通っていた中学校は、村の中心部にあり、当時四校あった小学校を卒業した子供たちが通っていた(それでも全校の学生数は60人前後)。小学校では給食がなかったが、中学校の昼食は村の給食センターで作られた米飯給食。 私は毎週、翌週の給食メニュー表をもらうのを心待ちにしていた。とにかく家ではあまり作ってもらえなかったスパゲテイーやハンバーグなんかが出る日は、それだけで学校に行くのが楽しみだった。(家では婆ちゃんが食事担当。メニューはたいてい山菜、魚料理、丼もの、そして北海道名物ジンギスカンなど。そして夕飯は毎日うどん。この話はまた別ののコラムで、、、。)

そんなある週の給食表に”卯の花和え”と書かれたメニューを見つけた。「ねえ卯の花和えって知ってる?」 「知らないけどなんかうまそうな名前だよなあ。」 「なんかいろんな色とりどりのおいしそうなものが入ってそう!」こんな会話をクラスでしながら私たちの’卯の花和え’のイメージはとめどなく膨らんで行った。さらに想像力が暴走しがちな私の頭の中では”卯の花和え”はもう今まで食べた事もない最高においしい、ハイカラでおしゃれな料理として確立されてしまった。

そしていよいよ待望の”卯の花和え”の日がやって来た。今日やっと”卯の花和え”にご対面!お弁当が机の上に並べられ日直が「いただきます!」とゴーサイン。そおーっとお弁当のふたを開ける。数秒の沈黙。明らかに誰もが愕然とした様子、、、。その時、私たちは初めて”卯の花和え”というのが”おから”であることを知ったのです。確かに’おから’よりは’卯の花和え’の方が高級感、おしゃれ感がある、というのは私も納得できた。

しかし、期待を大きく裏切られた無念さは拭いされず、「給食に対する入れ込みが半端ない純真な中学生にさんざん期待持たせて、ドンと突き放すのはどうなのよ、、、。」と思ってしまうのでした。

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