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中小企業経理さんのための会計の歴史

ビジネスマンたるもの、教養として会計の知識はもっておかねばいけませんよね!(え?


会計とは何のためにあるのでしょうか?なぜこんな面倒くさい資料を毎月毎月作らねばならないのでしょうかー!?

なぜ顧問税理士さんから「あ、ここの勘定科目逆ですね」とか言われながら悶々と仕分けをしなければいけないのでしょうか。

なぜー!!

そんな悶々とした中小企業経理担当の人たちの気分を少しでも晴らすべく、ぺけたろうは立ち上がるのであった・・・。

簿記はいつから始まったのか・・・?

そもそも。
誰がこんな面倒なこと始めたん!?いらんやろ簿記!大体でえーやん!

そんな声が聞こえてきます。

・・・時は15世紀イタリア、レオナルド・ダ・ヴィンチという少年がおりました。

簿記革命

誰が始めたの?

15世紀のイタリアには、リスクを冒して海に乗り出し、香辛料やお茶といった商品をかき集めてくる商人と、それを支える金貸し屋(銀行)が、経済活動を活発にしていました。

巨大な船を個人で用意するのは大変です。国も船を貸し出すことで商人をサポートしました。

取引が活発になり、規模が大きくなると、どれだけのお金を借りたか、儲けたか、船のレンタル料はいくらか、という記録をつける必要が出てきました。

これが簿記の始まりです。簿記はイタリアの商人達の間で発展しました。
この時はまだ小さい規模、個人単位の商売でした。

商人たちの涙ぐましい努力の上に、今の簿記技術は成り立っているんですね。

え?まだ簿記を許す気にならない?
わかりました。続きを見ていきましょう。

会計士になりたかったレオナルド・ダ・ヴィンチ

ダヴィンチは「公証人」という昔の会計士のような職業に就きたかったそうです。昔はこの公証人が会計や相続などの記録をつける専門家だったんですね。数学の知識と、当時は高価な紙が必要になるため、誰でもなれるわけではなかったそうです。

かなり高給取りで、イタリアでは今でもハイクラスジョブだそう・・・

簿記の普及

商人たちの儲けの規模が大きくなってくると、個人ではなく組織単位で活動しはじめます。そうすると当然、儲けの分配が必要になってきますよね?

かつてはその辺は適当で、トラブルの原因にもなっていたそうです。
いつの時代も金は揉め事のタネですね!

そんなときに簿記の技術についてまとめた本を書いた一人のイタリア人がいました。ルカ・パチョーリというその人が書いた簿記の本は、ダヴィンチも影響を受け、商人の間に広がり、その結果得た簿記の知識は、商人たちが「自分たちの身を守る術」となったのです。

すばらしい。むっちゃいい話。
なんか簿記を許す気に・・・ならない?
まだならない?

わかりました。

「決算」「決算書」の始まり

今では年1回、会社の収支・資産の整理をし、儲けを確定しますが、昔はその習慣もなく、仲間が抜けたタイミングとかで適当に清算していたそうです。

ですがそこから定期的に記録を整理するようになり「決算」することが習慣になりました。

このときに儲けの「フロー」と「ストック」を記録し、お金の動きの原因と結果を示す「決算書」を作ることも一般化していったんですね。

ご存じの通りフローが「損益計算書」ストックが「貸借対照表」です。

会社革命と利益革命、そして減価償却

会社の誕生

商人たちは小規模なコミュニティで商売をしていましたが、そこからさらに資本主義経済は加速し「株式会社」ができます。

みんな大好き大航海時代ですね。
おっきい船!おっきい船!植民地!

舞台は15世紀イタリアから17世紀のヨーロッパ諸国へ広がります。
株式会社は個人よりも巨額の資金を長期的に集めることができました。
また、見ず知らずの他人からの資金調達も可能にしました。

「自分のため」から「他人のため」へ

この時代に生まれたのがあの見にくい悪しき「複式簿記」ですね。(オイ

経営者は今まで以上に儲けを正確に計算し、株主に平等に分配する必要がありました。

結果的に、帳簿はより客観的に理解できるように発展し「自分たちのための簿記」から「他人(ステークホルダー)のための簿記」に変わっていくんですね。

ここが家計簿と決算書の大きな違いだと思います。
中小企業だと株主というより納税のために国に対して作るとか、健全な財務状況の確認という意味合いの方が大きいかもですね。

ちょっと簿記を許す気になった?
いいですね~。

「利益」という考え方のはじまり

よく「大事なのは売上高じゃない、利益だ」という言葉を聞きますが、利益とはなんなのでしょう?

利益を理解するには2種類の会計方法を頭に入れておく必要があります。
➀現金主義会計 収入ー支出=純収入
②発生主義会計 収益ー費用=利益

現金主義会計の考え方は家計簿です。発生主義会計の考え方が決算書です。
前者は分かりやすいと思います。入ってきたお金、出て行ったお金、残りのお金、です。

数字が現金(=キャッシュ)と一致してるのでわかりやすいですね。

では発生主義会計とは・・・

産業革命と鉄道会社が起こした利益革命

19世紀に入ると、蒸気機関を利用した鉄道を運営する会社ができ始めます。

しかし鉄道を運営するには巨額の設備投資が必要になるため、儲けを出すのは難しかったのでした。

儲けが無いと株主に還元することができないので、資金調達することもできません。

家計簿的に考えると、1億円のお金があって、1億円の買い物をしたら、その年の残金は0円ですよね。
そこで考えられたのが「減価償却」です。減価償却は支出をいくつかの費用に分割します。

例えば、1億円のお金があって、1億円の買い物をした場合に、それを10回分(10年間)の費用に分ける。
つまり1000万の買い物を10回するイメージです。

そうすると1億円の買い物をした年も、9000万円残ってる計算になりますよね。やったー!

・・・え?詐欺じゃない?笑
業績を適切に表現しているんです(半ギレ

黒字倒産

つまり発生主義会計というのは実際の収支(お金の動き)とは不一致なわけですね。イリュージョンなのです。

粉飾決済!粉飾決済!

減価償却以外にも、引当金や掛取引(かけとりひき)などは、実際のお金の動きと違うので「利益はあるけど現金がない」という黒字倒産には気を付けないといけません。

え?また簿記が嫌いになってきた?
わかりますわかります。

再度自分たちのための会計へ

管理会計・原価計算

会計の歴史は、他人のために簿記をつける(外部会計)時代から、自分たちのためにも会計をつける(内部会計)時代に移ります。

管理会計は英語で(Managerial Accounting)というらしく、そのまんま「経営会計」ですね。
原価計算とか、ROEとか、損益分岐点とか。頭痛っ!

管理会計も原価計算も製造業における大量生産の中で進化してきたといっても過言ではないでしょう!

うちできてないけど・・・。

会計はいまだ進化の途中

未来の会計

商人たちが簿記をつけ始めた頃を考えると、簿記の歴史は500年余り。利益の歴史は200年。管理会計の歴史は100年くらい。

中小企業では義務化されていませんが、キャッシュフロー計算書という決算書における新顔もいますね。
シランシラン(-。-)y-゜゜゜

外部報告のための義務である財務会計は「守りの会計」である一方、会社毎に違う管理会計が「攻めの会計」として、これからも各社間に差を作っていくのでしょうね!

うちできてないけど!

まとめ

うちの会社でも「今年は機械を買ったから利益が少ない」なんて言って従業員に還元できなかったというエピソードを聞きましたが、そういうときこそ減価償却の出番ですよね。

会計の歴史を見ると金属加工業に近いものを感じてしまいます。工場や工作機械というデカい初期投資、リスク、減価償却。

15世紀イタリアの商人たちに国が船を貸したように、町工場に工作機械を貸す制度があってもいいんじゃないだろうか。

簿記を飛躍的に広めた背景には、「紙」の出現があります。紙はお金の正確な記録を可能にし、商人を守りました。
今の時代の優秀なクラウド会計ソフトがそれにあたるんじゃないかなーと。

いつまでも紙と電卓でやっていてはいけませんよね。

未来を予測する会計というと、AIを使った統計的な予測を連想してしまいます。財務会計はどんどん自動化して手間のかからないものになっていって、管理会計はAIを使ったものに進化していきそう。

うちできてないけど・・・。

~終わり~


【参考書籍】


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