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あの夏休みが恋しい

2024.07.05
ぺぎんの日記#93
「あの夏休みが恋しい」


8月。終業式で配られた宿題をほっぽらかして、朝から本を読んでいた。ジリジリと、大きな窓から日が差し込むリビング。その日が当たるソファの上で、汗をダラダラかきながら本を読んでいた夏休み。

図書館から借りてきたシェイクスピアの本と、有名な児童文学「僕らの」シリーズ。シェイクスピアは10分で飽きて、ソファの隣の机にポンと置いてある。その横には氷を入れた麦茶。結露してグラスについた水滴が、机に水たまりをつくる。

無駄に暑い日に、無駄に暑い場所を選んで本を読む。何をするでもない一日。その一日が「僕らの」シリーズで意味のある一日になっていく。

宿題のある部屋から逃げてきて、ソファに寝そべり、読んで、腰が痛くなって姿勢を変えて、飽きたら少しテレビをつけて、ニュースしかやってないのを見てもう一度本に向き合い、麦茶を飲んで、眠たくなってきた午後はソファでそのまま昼寝して。

今ではもう読んだ本の内容は薄らとしか残っていないけど、でも、あの時間のことはハッキリと思い出す。

充実していると思っていた、ここ最近の忙しい毎日。

でも、蓋を開けてみると、全てが忙しさの中にスルスルと消えていってしまっているだけで、「思い出」という形で余韻を残しているものが、あまりにも少なすぎる。

全てが「知識」「スキル」になっているだけ。

何もしなくていい一日を、
汗をかいて、
本を読んで、
麦茶を飲んで、
お昼寝をして。
そういうことに使えた中学生の夏休み。

今でもやろうと思えばやれるのだろうけど、、、。私にその若さというか、幼さというか、そういうものが残っている自信はない。

昔が良かったとか、今が嫌だとか、そういうのとは違う気がするけど。でもやっぱり、あの頃の夏休みは、どこか恋しい。

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