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虹のかかった空と
2024.06.10
ぺぎんの日記#69
「虹のかかった空と」
朝からシトシト降っていた雨が、帰るときにちょうど天気雨に変わった。
部活終わり。
廊下の窓の外、夕日に照らされながら降る雨粒。
雨の一筋一筋がキラキラとオレンジ色を照り返す。
綺麗。
これから飛び出していく世界に、期待が高まる。
玄関に着き、下駄箱から靴を取り出す。
水と土の混ざった香りがふわりと匂う。
朝、水たまりを蹴飛ばして来たせいで、私の靴は少し湿っぽい。
靴を履き、さぁ外に出ようと玄関の外を見る。
ん?
玄関前に人だかりができている。
何だろうと、一緒にいた後輩と話しながら玄関を出る。
出てみると、みんな、揃って校舎の上を見上げていた。
上級生も下級生も、スマホを向けたり、複数人で駄弁りながら眺めていたり。
私も、人だかりの中で上を見上げてみる。
うわぁ…!
空に、綺麗な二重の虹がかかっていた。
内側の虹はクッキリと陽の光を分光し、ビビットな色を放つ。
対して外側の虹は、淡い空色の混ざった虹色で、虹の上の方はそのまま空にグラデーションで繋がっている。
「すごーい…。」
ちょっと感動して、そして感動した自分にびっくりした。
虹って、不思議だ。
今まで何度も見てきたはずで、もっと綺麗な景色だって沢山知ってるはずで。
でも、それでも、雨上がりに出た虹に、何度だって感動する。感動して、この虹がかかった空を誰かに伝えたくなる。
どこにでもあるような、同じような幸せを、何度も何度も共有したくなる。そして共有しては、どこにでもある同じような幸せを、何度も何度も噛みしめる。
虹が出るたび、アホみたいに何度も喜べること。
人間って素晴らしい生き物だと思う。
空にかかった二重の虹と、開いた桃色の傘を振り回しながら自転車を押す後輩と。
その後姿を見送ってから、私も帰路につく。
靴はまだ、湿ったまま。
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