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パスオーバー

昨夜は、ユダヤ人のオットと共に、ユダヤのお祝い、パスオーバーのため、セーター(Seder)という特別なディナーに行ってきました。

オットと知り合って5年ですが、それまで全くユダヤ教に関する知識がなかった上、ユダヤの歴史はものすごく古く、ルールも色々あるので、なんど説明してもらっても頭に入りません。オットは、敬虔なユダヤ人というわけではありませんが(だって食べちゃいけないもの平気で食べてるし。。。コホン)、パスオーバーはユダヤの中でも特に大きなお祝いなので、カナダに来て以来、何もやっていなかったので久しぶりに体験したかったようです。

幸い、ビクトリアのとあるシナゴーグ(キリスト教でいう教会、仏教でいうお寺)が誰でも参加できるコミュニティセーターをやっていたので申し込んで参加してきました。

パスオーバーは日本語では過越(すぎこし)というそうで、詳細はこちらのウィキペディアをみてもらえばわかるかと思いますが(個人的に私には?という感じでしたが)、要するに超簡単にユダヤのこと何にもしらない人むけに説明すると、ユダヤ人が奴隷として使われていたエジプトをモーセが率いて脱出したことを忘れないためのお祭りで、パスオーバー自体は7日間です。その間、エジプトを脱出したユダヤ人たちはパンを作る時間などなかったことから、イーストの入っている(発酵させている)パンやクラッカーは禁止で、その代わりマッツァという平たいクラッカーのようなものを食べます。他にもやってはいけないこと、やるべきことのリストはありますが、すべて脱エジプトの際の先人を苦労を思い出すための理由があります。

パスオーバーの始まる金曜日の日没に行われるディナーがSeder(セーター)というもので、これに昨夜初めて参加してきたわけですが、ただのお祝いディナーではなく、「脱エジプト」に関係ある食べ物を、「脱エジプト」のストーリーを思い出しながら順番に食べるのです!このあたりが、ユダヤ教には物語が重要であると言われる所以かもしれません。

一応直前にネットでいろいろ勉強していきました。とりあえず、みんながやっているようにやればいいとオットは言っていましたがちょっとドキドキ。

シナゴーグに入ると、全く知り合いのいない私達夫婦も沢山の人が温かく迎えてくれました。前も書いたけど、ユダヤのおばちゃん達はみんなフレンドリーです。「ビッグ・ファット・ウェディング」はギリシャだけど、性格的にはどちらもよく似ています。

シナゴーグの広間には100人以上集まっていて、丸テーブルが沢山。空いているテーブルに着いて、夫婦と12歳くらいの男の子の家族と、カップルと同席になり、みんなで自己紹介。私達以外のみんなは毎年参加している常連さんだそうです。

テーブルには「Seder plate」という、セーターに使用する食べ物が乗ったお皿が用意されています。そしてセーターのやりかたを書いたHaggadah(ハッガーダー)という小冊子が一冊ずつ配られます。

Seder plateに載っているものは、卵(命の象徴)、パセリ(パスオーバーの時期、春の象徴)、ハロセット(クルミとリンゴを刻んで混ぜたもの。意味は忘れました。すみません)などなど、ネットで検索すれば正式には何が載っているのか調べることができますが!私達が言ったシナゴーグはカナダと北西アメリカで最も古いシナゴーグで由緒ある場所なのですが、さすがBC。先進的で、ゲイとレズビアン、みんなウェルカムで、ラビ(神父さんのような、シナゴーグの指導者。英語圏ではラバイといいます)も頻繁にゲイ・レズビアン・トランスジェンダーの事、そしてこのハッガーダーにでてくる代名詞が常に「He」であることを謝っていました。そういうプログレッシブなシナゴーグだったので、セーターのお皿にはユダヤ人のオットがみたことないものも載っていました。オリーブ(諍いと仲直りのシンボル)、オレンジ(ジューシーな女性のシンボル?!)とか。

これはシナゴーグで行われたコミュニティセーターだったので、コミュニティによってでこういった変化があるのはおかしくはないかもしれません。日本のおせち料理も一つ一つの食材に意味がありますが、地域によって入っているものは様々ですよね。

早速セーター開始。ハッガーダーを頼りに、順番にお祈りをしたり、手を清めたり、ワインを飲んだりします。80%はヘブライ語で進められるのがちょっとキツかったですが、もちろんラビが「さあ、ここでワインを飲みます。」とか「パセリを塩水につけて食べます。先人の涙の象徴ですよ」とかちゃんと説明してくれるので安心。面白かったのが、ネギ。ネギはセーターのお皿に載っておらず、テーブルにじかにおいてあったのですが、これをみんなでわけてテーブルにいる人達を軽く叩きます。奴隷時代の「ムチ」の象徴なのだそうです。一通り周りの人を叩いたあとはネギを二つに追って、「我々は自由だ〜」と宣言していました。面白いですよね。

子供も赤ちゃんからティーネイジャーまで沢山いて、男の子はみんなちゃんとキッパー(ヤマカ)をかぶっていました。オットも借り物ですが一応。(後ろにキッパーをかぶってる子供達が写ってますね)

一通り手順が進んで、ディナーを食べる時間になったときには8時半。それまでにお皿に載っているものをつまんでいるので私は大丈夫でしたが、オットいわく、「セーターの時はみんなお腹がすくもんなんだ」と言っていました。

ディナーはサーモンやラザニアなど普通のパーティぽいメニューでしたがもちろんすべてパスオーバー中に食べてもOKなもので作られています。

ディナーが終わったあともお祈りは続き、片付けてシナゴーグを出たのは11時近く!オットいわく「シナゴーグや家庭によって様々だけど、ちゃんとステップを踏んで真面目にやると真夜中過ぎるセーターはざら」なのだそうです。

これを毎年やるのか〜と私なんかはびっくりしてしまいましたが、セーター初体験、フレンドリーなユダヤのみなさんのおかげで滞りなくすみました、ちなみにアジア人、私だけでした。。。貴重な体験ができて感謝しています。

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