上京のはなし
私の生まれ育った場所は田んぼに囲まれた田舎でした
歩いていける距離に飲み屋も遊び場もなく、あるのは公園だけ。
カエルが嫌いだった私は、少し街の方に住んでいる彼氏の家に居候をした。
居候といっても、彼の実家で、私はバイトをしてお金を少し入れていたけれど、彼は働いていなかった。
しゃこたんのクラウンで、音楽を爆音で流して、毎日友達と騒ぐ
そんな非日常にあこがれた日常に、いつまでこんなことをしているのだろうと考えはじめた。
のは、高校3年の話。
私はこんな田舎にいたくない、こんな田舎で満足してるやつがいやになった。
ある日、バイト先に異動になった社員さんが来た。
その人は見たこともない不思議なオーラに包まれていて、一目見た瞬間から私は心がむずむずして、その日から毎日のバイトが楽しくなった。
とても話しかけれるオーラじゃなかったけれど、休憩時間がかぶり勇気をだして話しかけてみた。
その人は、東京からこんな田舎に異動になったそうだった。
生意気な私は、こんな田舎になんて可哀想だなんて思っていた
けれど違った。
彼は自転車に乗って、猛スピードでどこまでも駆けていった。
いろんな飲み屋にいって、遊んで遊んだ!
田舎だから楽しくないんじゃなかった。
自分がいれば楽しい、周りも楽しくさせる、私もそうなりたいと思った
恋なのかなんなのかわからなかったけれど、憧れだったのだろうと思う。
しばらくして、東京に戻ると連絡がきた。
私も東京に行きたかったし、もっと世界を見たかった。
彼はすぐ東京に行ってしまった。
私もすぐに行きたくて、たった10万円しかなかったけれど、住み込みをみつけて引っ越すことにした。
引っ越しの手続きも終わってあとはその日を待つだけ。
彼からの電話がなった。
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