見出し画像

『プルーストを読む生活』で平穏とときめきを手に入れた。

2022年5月某日。世間の動きによって、心がざわざわする日が続いた。
ここ最近、きわめて心穏やかに、日常が日常であることに飽くことなく腐ることなく過ごしていた私にとって実に久しぶりの動揺だった。

まずは、インスタで好きな手帳垢を眺めて落ち着きを取り戻そうと、貪るようにスクロールスクロールスクロール。
そんなときに出会ったのが『プルーストを読む生活』だった。

私はエッセイが大好きだ。
さくらももこ、ハライチ岩井、Aマッソ加納、かまいたち山内、ジェーン・スー、松尾スズキ、益田ミリ、オードリー若林、阿佐ヶ谷姉妹、こだまさん、爪切男さん…。
特に最後に書いたこだまさんと爪切男さんのエッセイは、本当におすすめ。泣いたり笑ったり最高。

なんでこんなにエッセイが好きなんだろう。

きっと、人になにが起こっているのか、その時なにを感じて考えているのか知りたいんだろうな。
みんな毎日なにしてるの~?って。みんななに考えてんの~?って。

毎日楽しく笑ったり、時には落ち込んだり悩んだりしているはずなのに、切り取って眺めて言語化できず、平凡な人生だと感じている自分を変えたいという潜在的な願いもあるかもしれない。
おっかしいなぁ…今日もお昼に夫とゲラゲラ笑ってとにかく楽しかったのに、何で笑ってたのか全く思い出せない。
いま悲しいな~…という気持ちは皆無なので、それはとても幸せなことだから問題ないと言えばそうなんだけど。

で、『プルーストを読む生活』は、柿内正午さんによる日記。
プルーストの「失われた時を求めて」を読み、毎日日記を書く、それだけなのだが、とにかく分厚い!
これだけ分厚い他人の日記を読ませてもらう機会なんてそうそうない。心がときめいた。ときめきついでに、他に2冊も書籍化されていたので、えいや!と購入した。
これにより、やっと心に平穏を取り戻し、どころか、長く続くであろうときめきを手に入れたのだった。
自分の心が救われる行動ができた私は、とてもえらい。

柿内さんがとてもたくさんの本に親しんでいるので、『プルーストを~』を読んでいると、読みたい本が、行きたい場所が増えていく。
それもまた楽しい。私の内側と外側が広がっていくような感覚。

夜、間接照明の灯りのもと、静けさの中で読書をすることが楽しい。
温かい飲み物と、ちょっとしたスイーツを傍らに読書するのは、なんだか丁寧な暮らしに擬態しているような楽しさもある。

心がざわついてしょうがなかった日から約1ヶ月、今の私は楽しく暮らせている。

この記事が参加している募集

買ってよかったもの