チャイルドシートどうしていますか?
事故予防の啓発のためのお話しをさせて頂く機会があります。チャイルドシートについてはよく話題に出しますが、自分の子どもとなると、まあ座らない、、くくりつけると泣き叫ぶので、気になって運転に支障を来す、、、日常茶飯事ですよね、、、皆さんいったいどうしているんでしょうか?
なかなか完全に座らせることはできなくても、チャイルドシートの不使用・不適切使用についてきちんと理解しておくことで、チャイルドシートに座らせる親御さんたちのモチベーションになれば、ということで、話題をご提供します。
チャイルドシート不使用時にどうなるか?
ひとつ動画をご覧ください。事故の衝撃に関する実験です。
だっこ、座席に直接座らせる、だと、完全に吹っ飛んでいますね。注目すべきは助手席で、エアバッグが飛び出していますが、それに押し返されて子どもがさらに吹っ飛んでいます。エアバッグが「飛び出す勢い」が衝撃になるということです。
チャイルドシートの効果
警視庁の統計(下図 平成26-30年度合計)によると、チャイルドシートの使用により、交通事故時の致死率が著明に低下することが解ります。(不使用の場合、適正使用時の14倍の死亡率!!)
ここで注目すべきはチャイルドシート「不適正使用」時の死亡率の高さです。
チャイルドシートが完全に固定されていないと、子どもとチャイルドシートがくっついた状態で運動します。チャイルドシートの重さはざーっと調べてみると10~14 kg 位が多いですね。運動エネルギーは 【1/2 * m * V ^2】 でしたから、体重 5 kg のこどもであれば、単純計算出 2 - 3 倍のエネルギーがかかることになります。つまりきちんと固定しないと、チャイルドシートに座らせると衝撃のエネルギーを増やしているだけ、ということになりかねません。
下記の記事も参照してください。
そもそもみんな付けているの?
JAF と警視庁が毎年調査してくれています。本年度の調査結果が既に報告されていて、子どもが多そうな場所で毎年ランダムにサンプリングされています。
そもそも6-7割 しかチャイルドシートを使用していないという事実があり、毎年大体これぐらいの割合で安定しています。
で、皆さんの予想通り、年齢が上がるほど、使用率は下がる、ということになります。
これは乳児用のチャイルドシートの使用限界のタイミングに一致しているのかなあと個人的には考えています。つまり赤ちゃんの時は使っているけど、大きくなったらわざわざ買い換えない、という方も多いのかな、と。
不適正使用って?
同じ調査で、不適正使用を下記のように定め、不適正使用の割合を調べています。
半分近くの方が、せっかくチャイルドシートを使用していても「ちゃんとつけれていない」という事実!
一番多いのは固定不足つまり、ゆるい、ということのようです。繰り返しになりますが、きちんと固定しないと、チャイルドシートに座らせると衝撃のエネルギーを増やしているだけ ということになりかねません。
ちゃんと座っているのか?
目下のわが家の悩みです。肩ベルトを締めても締めてもすり抜ける、、、もうちょっときつく締めれば良いのですが、遠出するときなどは窮屈そうなんですよね。と思ってみたり。
やっぱり半分近くの方がちゃんと座らせられていないと、、ハーネスの締め付け不足がその中でも最多です。わが家のことですね、、、昔は「ちゃんと締めましょう!」と簡単に言っていたのですが、なかなか、なかなか、思うようには動いてくれないものです。
やはりこのような事実を知って、都度都度意識付けをしていく、ハーネスからすり抜けているときはさらに安全運転、としていくしかないのでしょうか、、このあたりアイデアある方是非教えてください。
ちなみに学童になってくると、チャイルドシートと体格の不適合が比較的多いようです。年齢に合わせたシートを使用することが大事です。
小児科学会の取り組み
小児科学会も様々な取り組みをしています。
ステッカーとか作ってるみたいですね。
もう10年も前になりますが、車での安全な移動についての提言も出ています。先ほどの統計を見ているとここ10年でチャイルドシートの使用率自体はあがってきているようですが、不適正使用の状況などあまり変わりが無いようですので、まだまだ啓発が必要なのでしょう。
ただ、わが家のように、「わかっちゃいるけど、、、」というご家庭も多いでしょうね、、、まずは理解するところから、ということで、、、
取り付け方インストラクションビデオ
JAF がインストラクションビデオを作成してくれています。取り付けのポイントなど、よくまとまっていますので、よかったらご覧ください。
【参考文献】
警視庁HP
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/childseat.html
JAF HP
https://jaf.or.jp/common/safety-drive/library/survey-report/2019-child-seat
小児科、小児集中治療室を中心に研修後、現在、救命救急センターに勤務しています。 全てのこども達が安心して暮らせる社会を作るべく、専門性と専門性の交差点で双方の価値を最大化していきます。 小児科専門医/救急科専門医/経営学修士(MBA)/日本DMAT隊員/災害時小児周産期リエゾン