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災害時病院はどう行動するか?

水が出ない!ガスが出ない!と病院はどうなるか?

ひとたび巨大地震に見舞われると、水道、ガス、電気などのライフラインが断絶する可能性があります。特に南海トラフ地震では静岡から九州にかけての太平洋側で、長期間にわたってライフラインが途絶するという予想がされています。

病院での診療には水道、ガス、電気はなくてはならないものです。全ての医療機器は電気で動きますし、血液透析も大量の水道水(正確にはそれを生成して作るRO水)を必要とします。手術器具の洗浄・消毒にも水道、ガスが不可欠です。

災害が起きたときに病院はまず何を判断するのか?

災害時にも、早期に病院機能を復活させ、維持するために、自家発電機を備えたり、水を備蓄をしたりと、速やかに最低限の医療を提供し続けることで、なんとか地域の医療体制を維持しようとします。

まずは病院の被害状況を確認し、病院避難をする必要があるのか?診療継続できるのか?できるのであれば新たに患者を受け入れられるか?を判断することになります。

その際、目標とする指標を変更し、使用する医療資材の量を減らすことで、少しでも長く医療を維持する、あるいは提供できる、量を増やすことも検討します(Damage control)。

たとえば、酸素が10L/min必要な患者さんのSpO2の目標値を「95%以上」から「90%以上」に下げ、酸素の使用量を5L/minにすれば、残りの酸素で倍の時間あるいは、別の患者に酸素を投与することができます。

ERP と BCP

災害対策の要、災害拠点病院では、災害時の対応をあらかじめ予測検討し、マニュアルとして定めておくことが義務づけられています。

これらのプランはERP(Emergency response plan)、BCP(Business continuity plan)といわれ、東日本大震災以降、多くの一般企業でも検討されています。

                    ※ 縦軸が病院機能 横軸が時間経過


【参考文献】
・DMAT隊員養成研修資料

・厚生労働省医政局指導課長通知
 「病院における BCPの考え方に基づいた災害対策マニュアルについて」
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000089060.html
 (平成25年9月4日 医政指発 0940 第 2 号)







小児科、小児集中治療室を中心に研修後、現在、救命救急センターに勤務しています。 全てのこども達が安心して暮らせる社会を作るべく、専門性と専門性の交差点で双方の価値を最大化していきます。 小児科専門医/救急科専門医/経営学修士(MBA)/日本DMAT隊員/災害時小児周産期リエゾン