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事故 vs 虐待? part 1

発達段階と矛盾する事故

以前、救命の連鎖の一つ目が事故予防であり、こどもの救命率を上げるためには、月齢に応じて起こりやすい事故の特徴を知り、怪我の特徴を把握することが重要であることをお話ししました。

一方で、その月齢では起こりえない事故が発生したらどうでしょうか?
発達に応じて起こりやすい事故の特徴を知っておくことで、違和感を持つことができるはずです。

以下の図をご覧下さい。虐待を疑うきっかけとなる所見を語呂合わせとしてまとめた者です。"CHILD" の ”D” つまり、「発達段階と矛盾した怪我」は虐待を疑うひとつの大きなきっかけになりえます。

「事故による外傷」と「虐待による外傷」の違いは、意図があるかどうか?のみで、一見しただけでは区別することができません。

事故予防を考えていくことは、裏を返せば「特徴的でない」事故に気づくきっかけとなり、虐待を疑う端緒になりえます。早期に気づいて適切に対応していくことで、こどもだけでなく、親を救うこともできるのではないかと考えています。



【参考文献】
日本こども虐待虐待医学会
一般医療機関における子ども虐待初期対応ガイド「通称:一般医向けマニュアル」(https://jamscan.jp/manual.html  2019/7/19 最終アクセス)



小児科、小児集中治療室を中心に研修後、現在、救命救急センターに勤務しています。 全てのこども達が安心して暮らせる社会を作るべく、専門性と専門性の交差点で双方の価値を最大化していきます。 小児科専門医/救急科専門医/経営学修士(MBA)/日本DMAT隊員/災害時小児周産期リエゾン