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僕が好きなもの!「藍編」僕を感動させたのは藍染ではない。。葛飾北斎だった。

あれはあと数ヶ月で2000年になる前だった。今日記でも書いている途中のヨーロッパの旅の途中、イタリアのミラノの時の出来事だった。

ミラノのホステルで知り合った日本人に北斎展がミラノのドゥオーモでやっていると言うのだ。(ドゥオーモはミラノで有名なカトリック大聖堂)

「北斎がイタリアで?」

北斎は日本人だしヨーロッパで見る必要もないんじゃないかな。。っても思っていた。

でも彼曰く世界中の北斎の浮世絵コレクターが2000年ミレニアムのために集められた貴重な展示会だと言う。

北斎と言ったらあの「富士山と波の絵」くらいの知識しかなかった僕はもしかしたらそれがそこでみられるかもしれないという気持ちで行ってみた。

中に入ると薄暗い。。でも入り口の細く長い通路の先には小さな絵がポツンと飾られていた。それがあの冨嶽三十六景の中で有名な波と富士山との浮世絵だった!

「小さい!!」

第一印象はそれだった。。僕はどんな大きな絵を想像していたんだろう。。でも本当に小さかった。4号か5号サイズくらいかな。。(調べたらA3~B5の間くらいとのこと)でも本物があった。。

でもその後に自分の目に飛び込んできたのが僕の藍の興味をもたらせたものだった。

それは波の色だった。

こんなに綺麗な色は見たことがない。。

そのくらい鮮明に覚えている。この色は何なんだ。。

そして藍の色に繋がった。。

実際に北斎が使っていた色はわからない。海外から取り寄せたベルリン藍とも言われているし、Japan Blueとも言われているがこれは藍の色に違いないとも思った。

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浮世絵ってこんなに素晴らしいのか。。。

こんな素晴らしいものをどうして日本人は知らないのだろうか。。


世界中から北斎のコレクションが集まっていた。それは北斎が書いたエロ漫画をはじめ赤富士など多くの作品が集まっていた。そしてその印象が1人の人生でここまで作品を作れるのか?って言うくらいの作品集だった。

北斎はほぼ監督のような立場、彫り師、摺師と江戸時代に分業制でやっていたようだ。そうでもないとエロ漫画だけでもとてつもない枚数のものがそこだけでもあった。

日本に戻ると早速長野県の小布施にある北斎館に足を運んだ。

中に入ると冨嶽三十六景がずらりとすべて並んでいた。でもその作品に。。

「何だ、これは。。」

あまりにも酷すぎた。。僕がミラノで見た浮世絵のあのカラフルなものは一つもなくすべて光やけされている浮世絵だった。

これが北斎館なのか?これを見たって何の感動もしない。。どうして浮世絵の素晴らしさを伝えないのだろうか。

これらは本物みたいだけども展示の状態が非常に悪すぎる。ここだけではなく多くの美術館や展示会に言えるのだが作品に対して取り扱いが悪すぎるのだ。

あのミラノでの浮世絵はコレクターのものだ。あの作品などは外国人が当時江戸に行った時に買って来たものだろう。だからそれだけに大切にするのだ。

僕は勘違いしていた。

日本生まれのものだから日本でいいものが見られると思っていた。でも違った。日本でも昔の外国で買ったものを大切にしたりするだろう。きっとそれは同じなんだろう。

江戸時代の浮世絵は雑誌のような感じでかけそばと同じくらいの値段だったそうだ。日本人には浮世絵とはそんな感じだったのだろう。。でも遠い国から遥々時間をかけて船で来た外国人は浮世絵を見た時に驚いただろう。。

浮世絵とは文字の通りに絵が浮き上がる。欧米でのライトは上からだが日本の光は横から入ってくる。それが和の障子だ。障子は光を横から入れるのだ。その浮世絵は額に入れるものではなく手に持ってみると浮いてみられるものだ。そう立体に浮き上がってくるのだ!

それは摺師の技術で版画板で和紙を置いてその部分を強く押すと彫ってある部分の和紙が凹むのだ。それが立体に見せる技法なのだ。これは以前記事で書いたステレオカメラ編にも似ている。立体というものに感動してしまう。

もう一箇所、版画屋さんにも行ったことがある。TVにも出るくらい有名なところでその人は彫り師、そして仲間に摺師がいる。伝統的に有名な浮世絵をコピーして販売しているようだ。客室に案内されるとそこには浮世絵の作品があるのだが何も感動はしなかった。。

僕がミラノで見た浮世絵の話をするとその職人さんは「何にそんなに感動したの?」っと聞いて来た。

その時に思った。。

この人は本物を見たことがないのだ。見たことがないから再現できないのだと。いや、本物は見たことがあるだろう。。でも本物の状態がいいものを見たことがない。

もしかしたらもう状態の良いものは日本には存在しないのかもしれない。。

この人は日本の彫り師のトップクラスの人だ。その人でもあの僕の目に焼き付いたJAPAN BLUEを見たことがないのだ。。。そう感じた時に僕はすごく貴重なものを見させてもらったのだと。。

本当にラッキーだったと思った。

脳裏に焼きつくあの色、そしてその最高の状態を何百年もの間大切に保管してくれている世界中のコレクターの皆さんに本当に感謝したい。

そしていつか日本人にその本物の浮世絵を観る機会ができたらと思います。

こういうものが世界に存在しているということを知ってもらえたら嬉しいです。。

全国を愛犬と旅しながら地域の習慣や食などをそこにいる人には気づかない素敵な文化などを伝えてより良い楽しい生活になったらいいなと思います。こんな美味しい食べ物や習慣、生活に気付いたらシェアできたらと思います。私たちが知らない素敵な日本を世界にも伝えたいと思います。