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雨の日は大林宣彦監督を振り返る。戦争と戦い続けた男

こんにちは

今日は朝から記録的な大雨が降り注いでいます。おうちの中もじめっと、冷たい空気を感じます。

今日は、思い入れのある監督、大林宣彦さんのお話を少し。

「大林宣彦」という生き様

昭和13年、広島県尾道市で生まれた大林さん。

第二次世界大戦下、当時7歳だった頃に原爆を経験。

母親と心中することすら覚悟していたと、いいます。

この反戦主義に大きな影響を与えたのが「医師とは自国の民だけでなく敵の命も救えるのだ」という軍医であった父の教えによるものでした。

そして映画監督になると決意した際、父から8mmカメラをもらい、製作をスタートさせ学生時代からすでに8mmを使った作品を発表しています。父との思い出は幼少期からすでに死と闘っていた監督の映画製作活動を印象付け、「戦争などいらない」という戦争の恐ろしさが大きなテーマ、強い思いとなり監督を支えていたように思います。

-「戦争の虚しさ、恐ろしさ、バカバカしさ、無謀さ、残酷さを背後にして描いてきた。戦争の暴力的な力の存在。それが僕の映画の全部にあった。」

製作作品全て自伝だと語る監督。

大林さんの人生を物語る日記が多くの人を感動させ、後に残る偉大な人物だったと気付かされます。

大林さんは日本の自主制作映画監督の先駆者ともいえます。

3作にはとてもまとめきれない強烈な作品ばかりですが、まずは観ておきたい監督らしさが伝わる作品を集めてみました。

「HOUSE/ハウス」(1977)

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時間/ 88分 キャスト/ 池上季実子 他

予告編

こちらは劇映画初監督となる作品。

あらすじ

仲良し7人組の女子高生が夏休みに訪れたお屋敷で、次々に屋敷に食べられていくというなんともサイケデリックな怪奇ファンタジー。

とても斬新で派手な色使いが印象的。映画本来の魅力(写真が動くという驚き)を取り戻すため、文学なども取り入れ当時のトーキー映画を感じさせる観ているだけで満足するような映像です。どうやって編集したのかが個人的にはとても気になりどころです。

本作でも戦死した夫の帰りを待ち続けるシーンがありますが、初監督でありながら、監督の中で大きなテーマは一貫してあり続けるのだなと内容は強烈ですが観終わった後はなんだかしんみりするような繊細な気持ちになります。

「ふたり」(1991)

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時間/ 150分 キャスト/ 石田ひかり、仲嶋明子 他

予告編

あらすじ

しっかり者の姉と、いつもそんな姉を頼っていたドジな妹。そんな姉が交通事故で亡くなってしまい、次第に姉の声が聞こえるようになる妹。彼女を待ち受けていたのは徐々に崩壊していく家庭‥

新尾道三部作の一作目。

優しい。とにかくゆっくりと流れる時間の中、映画の世界観というものがわかります。初めてこの作品を観たときはずっしりとした重力や湿度をもろに感じ思わず号泣してしいました。尾道に、行きたくなります。

「花筐/HANAGATAMI」(2017)

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時間/ 169分 キャスト/ 窪塚俊介、満島真之介 他

予告編

こちらは監督ががんの余命宣告を受けながらも病と闘いながら完成させた、戦争三部のひとつです。

こちらは様々な映画賞に選ばれ、監督自身も2019年には文化功労賞に選ばれるほどの快挙を成している作品です。

あらすじ

1941年春。キザな少年17歳の俊彦は、結核の少女などと仲を深めていく。しかし戦争の恐怖が迫り彼らの心を揺さぶっていきながらも懸命に生きた若者たちの友情や恋愛を描いています。

大林監督のデビュー作になるはずだった脚本が待望の映画化。

「虚構というのは嘘。この世界で嘘というのは平和なんです。映像は嘘のような美しさで作ってあります。嘘も作り続ければ本当の世界になるんじゃないかという願いを込めて。」

まさに、最後まで全速力で走り抜けたエネルギーや反戦精神が伝わる作品になっています。


最後に

大林さんの作品はどれも観る人に衝撃と戦争の恐ろしさ、また優しさをも与えてくれるような力を持っていたという印象があります。

平和を願いはなってきた言葉はどれも心に刺さります。

中でもわたしのお気に入りの言葉で終わりたいと思います。

-「幸福に生きる秘訣は、自分のいちばん好きなことをして生きる、ということに尽きる。」

幸福とは結果ではなく、その過程にあります。幸福を追いかけ続けている限り幸福から遠ざかる自然界というのは簡単な原理でできています。どの瞬間も嬉々と目指せている瞬間にしていくことが多くな幸せを味わっていく秘訣です。

大林宣彦さん、ありがとうございました。ご冥福をお祈りいたします。

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