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ふたりの距離の概算

今日は、米澤穂信の古典部シリーズ第5弾の『ふたりの距離の概算』を読破した。

これまた、息子福山からのお勧め本である。

実は、この本の前に、三浦しをんの『お友だちからお願いします』というエッセイも読んでいるのであるが、エッセイって、作家の日常を覗いている気分に陥る。

中学生の時に、遠藤周作、北杜生、五木寛之のエッセイを楽しんでいた事は、以前、お伝えしましたが、この3大著名のエッセイは、実に、破廉恥極まりない内容だった記憶だ。

そんな記憶からであろうか、三浦しをんのエッセイを読んだのであるが、その感想は、覗き見している立場からでは語れない。なので、読んだと言う表明だけに留めておこうと思う。

さて、古典部シリーズであるが、アニメ『氷菓』は、ご存じであろうか?

You Tubeでアニメ『氷菓』を見つくして、登場するちたんだの可愛さに翻弄されたものであるが、その続編である。

実写化、山崎賢人の『氷菓』も最近視聴したのであるが、この作品の面白さを感じるのは、やはりアニメのほうであろう。

もうすでに、この作品にたどりつくまで、4作も書かれているようであるが、息子福山から借りたのは5作目という事であったが、他の4作を読んでいなくても充分楽しめる内容であった。

マラソン大会の間に、謎を解明していく物語であったが、面白かった。

何が好きって、たぶん米澤穂信の文体に愛着を感じる部分があるからではないかと思われる。

しかしながらなぜだろう。

読んでいて共感する主人公達は、携帯電話やスマホを持っていない。

実を言うアジフライも未だにガラケーである。ガラケ―を持ちながらも携帯をせず、ベットに放り出したままでいるという実態。

スマホをずっと離さず持ち歩いている人には理解されないかもしれないが、ネットは自宅でするもの。外出先までネットをしたいと思っていない変わり者のアジフライには、その主人公たちの気持ちに共感してしまうのである。

まま、持論はここまでとしよう。

この本を読んで、タイトルである『ふたりの距離の概算』の重みをすごく感じた。

全てを読んで、とんでもないところに引きずり込まれた感がある。

『氷菓』でもそうであるが、この古典シリーズは、決して学園物というくくりですましてはいけないのである。

この作品も同じく。

映画ではその部分をフューチャーし過ぎて、ちょっと、主人公を暗めに設定してしまった感がいなめない。

主人公は思慮深いだけで、決して暗い訳ではなく、もっと温かみを感じる部分があるからである。

この古典シリーズは、累計210万部を突破した不動のベスト青春ミステリという位置づけであるらしい。

ミステリって、結局、最後につじつま合わせで話をまとめてしまうだけじゃないのと、敬遠気味の方もおられるかもしれないが、この作品は、良く出来た物語である。

『氷菓』知りませんけど、という方にもお勧めしたい作品です。



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