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地域にエンジニアを受け入れる態勢づくり

先日紹介した栃木県矢板市との包括連携協定に続き、三重県桑名市でもアデコ株式会社、株式会社VSNと共にSociety5.0推進に向けた包括連携協定を締結しました。

三重県桑名市と「Society5.0実現に向けた包括連携協定」を締結(アデコ)


三重県桑名市は三重県内で初めてデジタルファースト宣言を行った地域であり、「誰ひとり取り残さない!」をテーマに

①市民サービスのデジタル・ファースト
②まちづくりのデジタル・ファースト
③行政運営のデジタル・ファースト

を推進しています。

僕らはエンジニアによる社会課題解決プログラム「地方創生VI」を実施するフィールドとして連携しており、7名のエンジニアが桑名市の課題に向き合い、市民の方々や行政職員のみなさんと信頼関係を構築しながらDX推進を目指していきます。

さて、今日はどのようにして地域にエンジニアを受け入れていくのかについてです。

企業に対する認識を業者ではなく事業パートナーとする

行政職員のみなさんとお会いすると、ほとんどの方が企業を「業者」として認識しています。ここでいう業者は仕様が決まっている業務をこなす事業者のことです。決められたことをきっちりと取り組めるという意味では素晴らしく、末長く付き合いたい事業者は地域に多く存在すると思います。

しかし、先日から話をしているように社会のDXを推進していくとなると、何をどうすれば良いのかすら検討がつかない活動が圧倒的に多くなります。最近、具体的に行政職員の方から相談されている件を挙げると

・地域におけるSDGsの推進
・中小企業のデジタルトランスフォーメーション化
・Society5.0の知識を持った職員を50%増やす施策・・・etc

これらの取組も何から始めれば良いのか分からないと相談されます。

業者に発注する以前に企画すら作成できないので庁内での予算申請もできずに、その地域での活動が遅れていく悪循環となってしまいます。

なぜ、そんなことが起きてしまうのかというと先ほど述べたように「業者」との付き合いが圧倒的に多く、未来に向けた事業を構築していく際の事業相談ができるパートナー企業との関係を増やす活動が推進できていないからです。

地域の現状と課題、ビジョンの可視化

「業者」ではなく、事業パートナーとしての企業との関係構築を推進していく上で重要なポイントが小見出しでも書いた地域の現状と課題、そしてビジョンが可視化されているかどうかです。

地方公共団体の総合計画には課題やビジョンが記載されていますが、外部の企業は計画を見ても実際に地域で暮らしている・活動している方の声としては捉えることができません。むしろ、地域の事業者の方や市民の方が語ってくれる話の方がリアルに伝わります。ただ、地域事業者や市民の方に外部の企業と連携したいから生活の現状や課題の話をして欲しいと依頼しても承諾してくれる可能性は圧倒的に低いので、仕掛けが必要です。

その仕掛けを今日はいくつか紹介します。

①ローカルダイアログ

このツールは私、谷津と株式会社クレメンティアの荒尾さん、クウジット株式会社の末吉さんが共同で開発した「市民が楽しんでまちづくりや政策策定に関われる対話の場づくり」を行うカードゲームです。

改めてローカルダイアログについては記事にしますが、全国50以上の自治体で総合計画の策定などを推進する上で市民の方々を巻き込む活動に使って頂いてます。

②わがまま会議

普段の生活で我慢していることや諦めていることを「わがまま」と定義し、会議(ワークショップ)参加者が「わがまま」を可視化していくことで、その地域に暮らす方々の課題を定性的にデータ化する手法です。

この手法は株式会社kaettaraの永井さんと共に開発しました。

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2021年3月に小山市で開催した「わがまま会議」をきっかけに市民のわがままを可視化し地域の課題解決を行う中間支援組織をNPOとして設立する動きが出ています。

こちらも改めて記事にします。

③6つの資本フレームワーク

こちらは企業の統合報告書の中に出てくるフレームですが、地域における資本分析にも活用できます。まずは地域で活動する市民の方々に取材を行い、活動内容やそれを始めたきっかけ、一番大切にしていること、今後の目標などを会話データとして記事にしていきます。

地方創生VIキーパーソンSTORY

その記事を作成していく過程で出てきた情報を以下の6つの資本として整理していきます。

6つの資本-01

その地域で活動するキーパーソンが経験してきた情報を定性的なデータとして可視化することで、地域課題や市民の方々が未来に取り組みたいビジョンなどが見えてきます。

企業にとって連携したい地域と思えるか

ここまで説明してきたように、地方公共団体にとって「業者」ではなく事業パートナーとして事業を共に推進していく企業に連携したいと思ってもらう一番のポイントは地域で活動する事業者や市民の現状や課題、ビジョンが「手触り感」のある状態で可視化されているかどうかです。

綺麗事ではなく、主役は地域で暮らす市民や地元事業者の方々です。地域の方々と連携した活動づくりを推進していく上で政策があり、外部企業のスキルや経験が必要になってきます。もちろん、アカデミックな視点で定量的なデータなども活用していきますが、まずは企業が一緒に取り組みたいと思える状態にできるかが第一歩だと思います。

もし、この記事を読んで詳しく聞きたいと思う方は個別に連絡ください。

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