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小説 「つくね小隊、応答せよ、」

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第二次世界大戦末期。 東南アジアの、とある島。 米軍の猛攻により、日本軍は転戦(撤退)し続け、日本兵たちは、ちりじりに離散した。 そんな中出会った別々の部隊の若い日本兵の3人、…
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2022年8月の記事一覧

「つくね小隊、応答せよ、」(55)

島内に残る日本兵の敗残兵の調査に出たマシュー分隊は、日本兵のものとおぼしき銃声を聞いた。…

「つくね小隊、応答せよ、」(56)

夕方、焚き火を見ながら、セルジオがアロに訊いた。 「なあアロ、お前の部族のホピってのは、…

「つくね小隊、応答せよ、」(57)

周辺の哨戒から戻ってきたチャーリーが日本兵に遭遇し、マシュー分隊のキャンプは夜襲を受ける…

「つくね小隊、応答せよ、」(58)

ツクネ小隊ノ乗艦ヲ許可ス 乗艦準備ノ為暫シ待タレタシ その信号を読み取った三人は、信じら…

「つくね小隊、応答せよ、」(59)

浜は珊瑚の残骸で形づくられていた。 波が浜に押し寄せるたび、乾いた珊瑚同士がぶつかり合う…

「つくね小隊、応答せよ、」(60)

渡邉は、ひとり歩いた。 敵に遭遇しても構わない。 渡邉が殺したような日本兵たちにまた襲われ…

「つくね小隊、応答せよ、」(61)

引き揚げ船は長旅だ。 時間をかけて、あちこちに寄港しながら日本へと戻る。 否が応でも、周りの者達とは顔見知りになってゆく。 渡邉は誰とも交流しなかった。 しかし女が抱いている子は、なぜだか渡邉の方をちらちらと見て、興味を持っている様子だ。 渡邉は目をそらすが、その子は不思議なものをみるようにして渡邉を何度も母親の影に隠れて見つめてくる。 ある日、その子は、誰かからもらったスルメを、渡邉に手渡してきた。 渡邉はそれを無視したが、その子は渡邉の足元にスルメを置いた。 渡邉がその