徳道かづみ

川柳やってます/季刊「現代川柳」会員/同誌で古川柳エッセイ「古川柳つまみぐい」連載中/…

徳道かづみ

川柳やってます/季刊「現代川柳」会員/同誌で古川柳エッセイ「古川柳つまみぐい」連載中/川柳集『カメレオン』(港の人)発売中/その他著作あり

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ご挨拶:川柳ジャンクポット始めました

はじめまして。徳道かづみです。 川柳をやっています。師系は時実新子です。 川柳を始めたのは1996年ですので、今年(2023年)で柳歴27年になります。 普段は、季刊「現代川柳」という川柳誌に作品を発表したり、 X(旧Twitter)でぼちぼち呟いていたりします。 川柳について少し真面目に書いてみようかなと思い立ったので、 このたびnoteを始めました。 書いていこうと思うのは、次の3テーマになります。 1.川柳閑話 わたしの川柳観など雑多な話題を取り上げていこ

    • 古川柳かづみ読みvol.8:テーマ「医者」

       この回はお医者様でもある先輩作家の平尾正人さんに「気持ちが引き締まりました」って褒められました。褒められるのはいくつになっても嬉しい。 ▽まえがき  私事ではありますが。今年に入って、生まれて初めて入院というものをいたしました。原因は処方された薬のアレルギーだったのですが、いやあ無知とは恐ろしいですね。高熱が続き、身体にポツポツと発疹が出ていたのに、熱は風邪でも引いたかと思い、発疹はダニでも湧いたのかと考えて布団を干していたのだから、おめでたい。  そんなわけで、今回の

      • 岩倉曰の短歌アイ—岩倉曰第二歌集『ハンチング帽のエビ』を読む

        ▼かづみ的岩倉曰の短歌論 いつから岩倉曰の短歌に注目し出したのか、記憶にない。  いつTwitterをフォローしたのか、いつ短歌と作者名をセットで意識するようになったのか。  ここ数ヶ月、岩倉曰の短歌がTwitterで流れてくると、つい引用リツイで一言感想をつけている。岩倉曰がどのタイミングでその日の一首を流しているのか、知らない。Twitterを眺めているところに、その日の一首が流れてくると「おっ」と反応するだけだ。毎日定期的に流しているのかもわからない。岩倉曰のアカ

        • 川柳閑話vol.9:なにを作るか、川柳とは何か

          1.なにを作るか  それは1本のX(旧Twitter)の投稿がきっかけでした。  漫画家である高橋秀武氏が、柳田国男『日本の昔話』(新潮文庫)に収録された「蜥蜴の目貫」という話から得た教訓を書いていたのです。  最初は軽く読み流し「確かに、なにを作るか他人に口出しされちゃたまららないよね」と頷いただけでした。  しかし、何故か「なにを作るか」「どう作るか」という言葉がわたしの中に留まり、「なにを作るか」とは何か、「どう作るか」とは何か、を問い続けてきたのです。  そして、

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        ご挨拶:川柳ジャンクポット始めました

          川柳閑話vol.9:川柳と年齢

           わたしは現在50歳です(2023年)。22歳(1997年)で本格的に川柳を始めてからずっと言われ続けているのが「若い」です。現在はさすがに歴が長くなっているので、いちいち言われなくなりましたが、それでも川柳界で「50歳」は若手です。下手すると60歳でも若手と呼ばれます。川柳界のことは広く知りませんが、句会模様の写真がSNSに上げられているのを見ると、高齢化が進んでいるのは確かなようです。  8年ほどくらい前でしょうか。リアル句会であった先輩が、他で参加している句会にやたら

          川柳閑話vol.9:川柳と年齢

          川柳閑話vol.8:添削ぎらい

           わたしは添削が嫌いです。自分の句をいじられるくらいなら、ばっさり「駄句!」と没にされた方がすっきりします。添削されて良い句になっても、自分の句とは思えなくなるのも嫌ですね。  添削して欲しいと言われたことはありませんが、添削をするのも才能と技術が必要です。添削をすることで、その句はより良くならなければならないですが、下手に添削をしてしまうと原句が持っていた良さも殺してしまう可能性があります。添削はあくまでも「句を活かす」技を見せなければならないですが、わたしがやると「わた

          川柳閑話vol.8:添削ぎらい

          古川柳かづみ読み vol.7:テーマ「子ども」

           これを書いた頃は、周囲の友人たちの子どもたちも小さかったなぁとしみじみしました。集まりでよく子どもたちを構っていましたね。 ▽まえがき  今回のテーマは「子ども」でいきますが、その前にシチメンドウな話を少々。「子ども」という概念が「発見」されたのは、明治時代からのことらしいです。明治五年に布かれた「学制」によって、年齢別に子どもたちを区切ったことから「子ども」という概念が確立された、と。  それ以前は「小さな大人」と扱われるか、もしくは“七歳までは神のもの”という認識で

          古川柳かづみ読み vol.7:テーマ「子ども」

          かづみ的作句法vol.4:選について

           川柳句会に参加すると、投句だけではなく選をする機会もあると思います。選をすることについて、わたしが習ったことや心掛けていることなどを記します。 物理的な選の仕方1.句箋は三本川で  紙の句箋で投句するタイプの句会での選は、基本は「三本川」で行います。すなわち左から「入選」「迷う句」「没」の三つに句箋を分けていくのです。最初は考え込まず、「絶対に入選」「絶対に没」を振り分け、少しでも迷った場合は真ん中に入れます。  入選数が決まっている場合で、一番最初に選んだ句で規定数に

          かづみ的作句法vol.4:選について

          川柳閑話vol.7:雅号について

          川柳の雅号(ペンネーム)のつけ方は大きく分けて3パターンあるかと思います。 ① 本名 ② 本名をもじったもの ③ 本名とはまったく異なる名前  わたしは②で、本名は下の名前が漢字になります。投稿時代は雅号をつけるということを思いつかず本名でやっていましたが、雑誌に所属して本格的に始めた時に改名しました。  改名する時に、本名とは違う名前をつけるのを躊躇ったのは、郵便物が届く時に「徳道方」と書かれているのがなんとなく嫌だなと思ったことと、「自分がどう見

          川柳閑話vol.7:雅号について

          川柳閑話vol.6:「言葉が動く」をなくしたい

           川柳を評する時に「言葉が動く」という言い方が使われることがあります。「ここの言葉は他の言葉でもいいんじゃない?」という意味、すなわち完成度が低いという意味で使われます(少なくともわたしはそのように感じます)。  逆に「この言葉は動かない」という言い方もあります。こちらは、その句にぴったりの言葉が使われているという称賛の意味で使われます。  このような言い回しがいつから使われているのか、川柳独特のものなのかわかりませんが、わたしが川柳を始めた1990年代後半には普通に定着

          川柳閑話vol.6:「言葉が動く」をなくしたい

          古川柳かづみ読みvol.6:テーマ「可愛いらしい娘さん」

           また少し痛い内容がちらほらしていますので、生温かく笑ってください。 ▽まえがき  かづみ読みも六回目となりますが、何か世知辛いテーマばかりでお送りしていることに気付き、今回は「可愛らしい娘さん」をテーマにいってみたいと思います。そうですよ、こういうテーマをすぐに思いつかないところが、ワタクシが縁遠くなっている要因なのですよ(それだけか?)。 ▽笑つて見ぷんとして見る鏡の間  十代の頃を思い出してみましょう。色気づいてくると、自分の容姿が気になって仕方ないお年頃。あら

          古川柳かづみ読みvol.6:テーマ「可愛いらしい娘さん」

          川柳閑話vol.5:かづみ的川柳道#5 川柳大学時代(後編)

           自分の句集を出したわたしは、次なる目標に進みます。 1.二人句集『タッグマッチ』を出す  わたしの大阪時代は渡辺美輪さん抜きには語れません。美輪さんの第一句集の感想を言うために会った日以来、美輪さんは何かにつけて声をかけてくれるようになりました。  川柳大学の定例勉強会は「ゼミ」と呼ばれていましたが、このゼミに誘ってくれたのは美輪さんです。大阪にもゼミはいくつかあったのですが、わたしは美輪さんが参加していた「夙川ゼミ」(兵庫県西宮市)に通うようになります。  ゼミは月に

          川柳閑話vol.5:かづみ的川柳道#5 川柳大学時代(後編)

          古川柳かづみ読みvol.5:テーマ「年末年始」

           発表時の季節と現在の季節が異なることはご容赦ください。 ▽まえがき  新年あけましておめでとうございます。今年も「かづみ読み」宜しくお願いいたします。  と挨拶してナンですが、私、年末年始は特に何もしない人間であります。大掃除もせず、正月準備もせず。年賀状も十五年以上前から欠礼しており、付き合いの遠くなった友人のことを「年賀状くらいしかやりとりしてない」と話す人すら“まめだなぁ”と思ってしまう次第です。  私の年末年始といえば、実家で(作ってもらった)年越しそばを啜り、

          古川柳かづみ読みvol.5:テーマ「年末年始」

          かづみ的作句法vol.3:鳥になりなさい

           わたしが川柳を作る際に大切にしている時実新子の教えの一つに、「鳥になりなさい」というものがあります。これは時実新子『川柳 添削十二章』(東京美術)の中にある一文です。川柳は「願望」を書くのではなく、その願望を実現させる場です。つまり「鳥のように自由に空を飛びたい」と思う自分ではなく、鳥そのものになる自分を描くということですね。  これは「事実の報告ではなく、真実を書きなさい」という新子の教えにも繋がります。  現実では人は鳥になれません。鳥になったと書けばそれは嘘だとい

          かづみ的作句法vol.3:鳥になりなさい

          川柳閑話 vol.4:かづみ的川柳道#4 川柳大学時代(中編)

           川柳大学会員になり、わたしの川柳道はさらに変化していきます。 1.川柳大学編集部員になる  会員になり、自選句分も増えて毎月の投句は忙しくなりましたが、楽しくて仕方ありませんでした。句以外の原稿も書かせてもらえることも嬉しく、原稿依頼の封筒が届くのも心待ちにしていました。  会員になって最初の原稿依頼は「倉富洋子の50句を読む」でした。倉富洋子さんはわたしの憧れであり、まずは目指すべき目標でした。いきなり重い原稿に戸惑いましたが、気づけば筆は「すごい句を書く人、でもコ

          川柳閑話 vol.4:かづみ的川柳道#4 川柳大学時代(中編)

          古川柳かづみ読みvol.4:テーマ「息子」

           これまでの「自分語り」から「句の読み」に入り始めていますが、まだまだ笑ってもらおうとしてイタイ箇所がいくつかあります。今回も優しい目で読んでください。 ▽まえがき  わたし、これでも家父長制度を色濃く残す家風で育てられた人間なのです。家庭内序列がきっちり決められており、基本は男尊女卑思想。男を立て、それに仕えるのが女、と教え込まれていたのですよ。ホントに。  というと、“現代的”な家庭な人には「理不尽な育てられ方をしたのね」と言われたりしますが、さにあらず。娘には甘い父

          古川柳かづみ読みvol.4:テーマ「息子」