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生後6か月の息子がクッシング症候群になった話~後編~

こんにちは!かほりです。

前編から少し時間があいてしまいました。そんなこんなしている間に、息子が退院して家に帰ってきました!わーい。

前回の続きから、今日に至るまでを備忘録として書き留めたいと思います。

ちなみに、医師に言われて知ったのですが、クッシング症候群になる確率は、90~100万人に1人(0.000001%)と言われており、乳児でこの病気になるのはさらに稀だそうです。今宝くじ買えば当たりそうな気がする…!

手術までの準備期間

この時点で息子が抱えていた症状は下記。

クッシング症候群。腫瘍によるコルチゾール過多です。右の副腎を乗っ取るような形で6センチの腫瘍が鎮座しています。腫瘍は肥大化を続けており、上下の肝臓・腎臓を圧迫し、食い込んでいる可能性もあるとのこと。良性・悪性の判断はまだわかりませんが、とにかく破片が残らないように外科手術で除去することとなりました。上記ホルモン異常が起因して、低身長・睡眠障害・刺激に過敏・免疫低下、といったことが起きています。

高血圧。高いときは180!びっくり!動脈や静脈が腫瘍によって圧迫されていることで、より強い力で血液を体内へ送り出す必要があり、心臓の壁が厚くなっているとのこと。泣いたりすると血管プッチンいっちゃいそう。笑

手術は5/10、それまでの2週間は入院してホルモン異常と高血圧、睡眠障害を薬で凌ぎます。(薬漬け)

通常は、親が付き添い入院をするのですが、コロナウイルスの影響で面会時間は一日1時間同居家族一人だけ、という条件。入院初日から数日は親や家が恋しいのかギャンギャン泣き続けていた息子ですが、数日後には看護師さんにも先生にも笑顔を振りまき、アイドル化。主治医じゃない先生方もただ遊びに来てくれる等、めちゃくちゃ可愛がられていました。知らぬ間に処世術を学んどる。笑

核医学検査(シンチグラフィー)

手術前に、悪性・良性を確かめる核医学検査(シンチグラフィー)を行いました。悪性の腫瘍に集まり放射線を出す薬を体内に入れて、体外から光を計測する方法だそう。

結果、腫瘍に光が集まらなかったので、悪性の可能性は低い、という判断。完全な結果は病理検査をまってから確定となりますが、ひとまずホッ。

手術の内容

さて、肝心の手術内容に関して外科の先生から説明を受けます。乳児の副腎摘出の手術は、昭和大学病院でも数十年ぶりの事例だそうで、説明を受けた部屋には多くの先生方が聞きにいらっしゃいました。(密やん…!と思いましたが、医療従事者の皆さんはすでにワクチン接種済みでした。)

腫瘍が小さければ内視鏡などで、傷を最小限にしつつ手術が行えたようですが、今回6センチというBIGサイズ、且つ悪性良性の判断がついていないので、腫瘍の細胞を残らずきれいに摘出することが最優先されるため、傷口は施術が行いやすいように大きめになる、という説明を受けます。

ああ、この小さくてモチモチの身体にメスが入るのは悲しいなあ、と思いましたが、仕方がないです。将来ハリーポッターみたいに育てよう(?)。

皮膚は横方向に切った方が治りが早く、後も残りにくいそうなので、あばらに沿って、斜め横方向に開腹することが決定しました。(私は帝王切開時、なぜか縦に切られ、実際全然治らんです。)

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右側の副腎は腫瘍に内包される形になってしまっているので、腫瘍とともに全摘出という形になります。「副腎って一つになっても普通に生きていけるんですか?」という質問に対しては、「2つある臓器は、どちらか一つになっても問題ないようにできているんです。」という回答がありました。神様、スペアの臓器をありがとう。また、後から説明がありましたが、数年たったら、摘出した右副腎も再生する可能性があるらしい。人体すごい!

手術中最大のリスクは、大きな動脈・静脈を傷つけてしまい、大量失血することなので、それが起こらないように慎重に手術を進めること。また、腫瘍が他の臓器に癒着している場合、他の臓器の一部を削り取るように手術をする可能性がある旨も説明されました。

その他にもある様々なリスクの説明後に、同意書。毎日何らかの同意をしてきたので、この頃には、ちょっとくらいのリスクやサインにはビビらなくなってきていました。慣れって怖い!

ゲノム検査

息子の病気は大変珍しく、慶応義塾大学での研究に使いたいという依頼をいただきました。なので、手術中に採取した血液と細胞を送付する同意書にサインを行います。(検査するため、息子の血液と細胞は首都圏の複数の病院・大学に送られたようです。笑)通常50~80万円ほどかかるゲノム検査を研究を無料でしてくれるらしい。ラッキー!

ゲノム検査と聞いたとき、私は羊のドリーしか思い浮かばなかったんですが、この検査をすることで、がん体質かどうか?や、将来いつ頃にどのような病気になる可能性があるか?といったことが分かるそう。今回は研究対象ということで、クッシング症候群に関わる情報のみを開示してくれるらしいです。まぁ、あまり将来のことを知りすぎるのもSFチックでよくないですしね。工数のかかる検査なので結果がわかるのは、結構先になりそうです。

手術当日

いよいよ手術当日。手術は6時間の予定です。帝王切開手術がたった30分程で終わったことを考えると、大手術だということを実感します。

手術室の前まで見送って、息子を10人ほどのお医者さんにお預けしました。多ければいいって訳じゃないけど、麻酔医・小児外科医・小児科医等これだけたくさんの専門医がいろいろな角度から彼のことを見守ってくれると思うと心強く、安心して送り出すことができました。

ここから手術終了まで、万が一のときのために、病院の中で待機となります。暇すぎて、本を2冊読破しました。

そして、予定よりも2時間程早く、外科の先生が現れて、「無事終わりました。腫瘍は体内に残らず、最も理想的な形で取ることができました。」と笑顔で教えてくれました。ああ、本当によかった。ありがとう、ありがとう。

ICU

手術が終わった日から数日間は、痛みも強く、暴れるとよくないため、全身麻酔で眠らせたままのICUでの経過観察です。普通は入ることができないICUですが、術後ということで15分ほど入らせてもらえました。ドラマで見るような光景に少し興奮しつつ、息子のもとに向かうと、9本以上の麻酔や点滴が繋がっており、なかなかにショッキングな見た目!よく頑張った!

先生にお願いして、摘出した腫瘍も見せてもらいました。完全に祟り神の中に入ってた禍々しいアレでした。こんなのが悪さしてたのか!!

もののけ姫1-1

術後の経過

さて、祟り神の元が取れたし、ここからは良くなるしかないぜ!3日いる予定だったICUも、なぜか2日目で脱出し面会。点滴されまくってスーパー不機嫌&めちゃめちゃ浮腫んでる顔に笑っちゃいましたが、息子は元気でした。よかったーー!

それから毎日血圧と、時々の採血でホルモン値を確認。薬の量の調整を行い、手術から約3週間後に退院できました。退院するとき、いろんな方が見送ってくれて感謝感謝でした。

病理検査の結果

退院前に、腫瘍の病理結果がでて、良性だった、ということが分かりました。今後の科学治療はなしです。ほっ。

家での生活

さて、退院後の生活についてです。

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まず、機嫌が良くなりました。いつもニコニコ。寝る時も笑顔のまま眠っていくし、なんて育てやすいんだろう…と感動しました。泣くのなんて、薬の時だけ。

次に、めちゃ寝てくれます。これまでは夜30分毎に起きる生活でしたが、3時間は必ずまとまって寝ます。また殆どしなかった昼寝も、たくさんするようになり、起きている時間の方が短くなりました。

手術前↓

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眠すぎて気力のある時しか起きた記録をしてませんが、間違いなくもっと細切れに起きてました。こちらも、息子も常に寝不足できつかったです。

手術後1か月半(現在)↓

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めっちゃ寝る!!今週になって急にほぼ夜通し寝るようになりました。起きて朝だった時は歓喜でした。

唯一の弊害といえば、1か月超の入院期間ほぼ仰向けで点滴に繋がれていたため、元々できていたお座りやうつ伏せ等ができなくなったこと。運動面の発育は後退したため1~2か月程遅れ、身長は2か月半から伸びてないので、半年くらい遅れているわけです。

しかし、そんなことは気にならないくらい、毎日ご機嫌で、たくさん寝て、よく笑って、超幸せなわけです。20センチ弱の傷口は今は痛々しいですが、将来は目立たなくなるでしょう。ハリーポッター的かっこいいストーリーを早く考えなくちゃ!

術後の初検診

先週検診に行ったら、6か月間止まっていた身長は術後1か月半で3センチ弱伸びました。術後落ちていた体重も、増え始めています。お医者さん曰く、3歳までには平均身長に追いつくのでは?とのこと。ぐんぐん伸びろ~!

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引き続き、ホルモンと血圧の調整は薬の投与で行っていきます。今後も検査入院が数か月ごとにあり、その数値次第で薬の量を減らしていきます。これはしばし続きそうかな~という感じです。

終わりに

長文・乱文なのに最後まで読んでくださってありがとうございました。このnoteを書こうと思ったきっかけは、病気についてよく分からない初期が、精神的にしんどかったためです。

乳児のクッシング症例が少なすぎて、ネットで過去の論文を読んでも死亡例が多かったり、術後の容態が不明だったり、「息子は今後無事に生きていけるのだろうか?」と不安になる夜がありました。

しかし、医療は、確実に、進化しています!!!難しい手術でも、前例があまりなくても、不可能を可能にしようとする素晴らしいお医者さん・看護師さん・研究者の方々が世の中にはいます。夜な夜なネット検索して不安に駆られる誰かの心を少しでも前例や情報で照らせますように…!

もし、どうしても心配なことがあるときは、ぜひ大学病院等専門医が多い病院で診てもらってください。うちは近所のクリニックでは「個人差あるからね~、心配いらないよ。」と言われていましたが、大学病院に通って今回の病気が分かりました。お医者さんにも、地域での役割やそれぞれ得意不得意があることを今回改めて感じました。

ここから、しっかり健康に生き続けることが大事な前例の役目だと思います。これからも、元気に楽しく育てていくぞー!えいえいおー!


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