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あつ森。ヨナグニサンで思い出す「少年の日の思い出」

⚠️今回、話題が蛾なので写真は自粛しております。それでも虫が苦手な方はご注意ください⚠️

偉大なる癒し系ゲームあつまれどうぶつの森の素晴らしさのひとつに、生き物に詳しくなれるということが挙げられます。実際に触れ合う機会がないと苦手意識を持ちやすいけど、あつ森で見たことある!となれば虫でも魚でも興味が沸きますよね。私も結構レアな虫とか、捕まえる度に興奮してました。

日本最大の蛾 ヨナグニサン

なかでも一番ビビったのがヨナグニサン。夜のヤシの木に馬鹿でかいねぶたみたいな柄の派手な蛾が止まっていて、最初に見たときには悲鳴を上げそうになりました。まだコントローラーのスティックをそっと倒すことが出来ずに毎日元気よく島を走り回っていた時代。忍び寄ることの出来なかった自分は当然捕まえることが出来ず「なんか怖いのいた」とガクブル状態でした。

怖い、けどあれが気になる…。何回かチャレンジしてようやく捕まえた巨大な蛾の名前はヨナグニサン。すぐにどんな蛾なのか調べました。

ヨナグニサン(与那国蚕、学名:Attacus atlas ryukyuensis)は、鱗翅目ヤママユガ科に分類されるガの一種。

Wikipedia

ヤママユガ。
この名前、どこかで聞いたことがある…!

そうだクジャクヤママユだ。

そう、中学の国語の教科書に載っていたヘルマン・ヘッセ「少年の日の思い出」に出てきた、トラウマ級の蛾の名前です。いやトラウマ級だったのはストーリーか。
とにかく中学生が読むにはずっしりと重たく、それゆえに記憶に深く刻まれた短編小説でした。

ヘルマン・ヘッセ 「少年の日の思い出」

⭐︎ざっくりあらすじ⭐︎
かつて蝶の収集に夢中になっていた男性が
「少年の頃、友人がコレクター垂涎の蝶であるクジャクヤママユの羽化に成功したと聞き、見るだけのつもりで訪れたのに魔がさして美しい蝶を盗もうとして壊してしまった。罪を告白し謝ったが友人には軽蔑され、自分でも自分のことが許せず収集を止めてしまった。」
と少年時代の苦い思い出を告白するお話。

「少年の日の思い出」の思い出

中学生当時、友人エーミールが嫌味な優等生でやな奴という意見が多かったのを覚えています。でも自分としては「謝ったんだから許してやれよ」という展開にならなくてほっとしました。
世の中には取り返しのつかないことがある。謝っても罪は消えないし、なかったことには出来ない。だから苦い思い出を抱えて生きていく。そんな話だと中学生の自分は感じました。

許せないことというのは誰にでもあります。その基準は人それぞれなのに、謝罪したなら許すべきとなりがちな中でのビターエンド。確か最後は、主人公(少年時代の語り手)が暗闇の中で宝物だった蝶のコレクションを指でひとつずつ潰していく描写で終わったと思います。

彼は蝶を愛するが故に自分の罪の重さをきちんと理解しています。美しい、貴重な蝶を自分がダメにしてしまった。しかもそれは他人のもので、何にも変えられない唯一のもの。償うことは不可能、と。そんなことをしてしまった自分が信じられないし、許せない。でも現実は変えられない。

ここに事情を知らない第三者(例えばエーミール母)が出てきて「ほら謝ってるんだからいつまでも小さなことでグチグチ言ってるんじゃないの!」とならなくて良かった。なんなら子供どうしのつまらない喧嘩と見なされて仲直りの握手なんか強要されたりして、強引に水に流したことにされてしまったり。そんな、現実ではよくあるやりきれないエンドにならなくて本当に良かった。

というか大人になった今、改めてエーミールの心情を思うとやるせなくなります。
大切に羽化させた珍しい蝶。蛹から出て、初めてこの世に広げた穢れを知らない美しい羽。それを、ちょっと目を離した隙にたいして親しくもない奴に奪われてぐちゃぐちゃにされちゃったんですよ。…哀しみと怒りで魔王になる案件です。エーミール、大人な対応したね。すごいよ。

そんな風に思ったことをふと思い出したんですよね、あつ森をプレイしながら。

そして心はバリ島リゾートへ

クジャクヤママユとヨナグニサンは、模様や大きさは異なりますがどちらもヤママユガ科。なんだか気になってしまってさらに調べているとなんと、クプクプ・バロンの文字が!

知ってる行ったことある!!
こほん。南仏コスメブランドロクシタンがプロデュースするマンゴーツリースパで有名な、バリ島ウブド地区の老舗リゾートホテルの名前です。

…ん?でもなんでヨナグニサンで検索していてバリ島のホテル?
と思ったらなんとヨナグニサンのインドネシア語名がクプクプバロンでした。(インドネシア語でクプクプは蝶。バロンは獅子のような姿をした聖なる神。つまり聖なる蝶。)
そしてそのホテルのロゴは大きな蝶。なるほど、聖なる蝶をシンボルにしたリゾートだったのですね。

まさかのあつ森からヘンマン・ヘッセを経てバリ島リゾート!深い、深いよヨナグニサン…!
ちなみにこの蛾、モスラのモデルになったとか。

最後に


本当はもっと色々あったんですあつ森。

仲良くなった友達が引っ越してしまう寂しさ(去るもの追わずとカッコつけて引き留められないだけ、でもすごく寂しい)とか。
ジャスティンがビーバーなことに気付いたときの衝撃とか。(パーカー着て歌ったよもちろん⭐︎)
友達どうしの秘密の挨拶今日もかわいいね!にしたら毎日ハッピーというネットの噂を検証した結果、想像以上に最高だった話とか。
自分の名前でプレイしてたら、とたけけさんに「やぁ◯◯聞いてくれるかい?◯◯に捧げる(曲名)」って言われてうっかり毎週ときめいちゃった話とか。

色々書きたかったのに、ヨナグニサンだけで終わります。
なんてこったい。

おしまい



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