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伝えたいことを伝えるために

2018年の国際学習到達度調査(PISA)で、日本の読解力が15位(全81か国)にまで大幅に順位を落とし、世間的にも問題になりました。
しかしながら、個人的には読解力だけでなく、文章の表現力も低下しているように感じます。

それを実感したのは、私が時おり行っている悩み相談です。
とにかく相談内容の文章が分かりにくいのです。
質問者の中には、
「自分でも内容が分からなくなっています」
「文章がおかしくてすいません」
と自覚のある人もいます。

一説には、SNSやLINEで単語・短文でのコミュニケーションが増えたことが原因とも言われています。
単語や短文で自分の思いというのは、簡単には伝わりません。
自分の悩みや苦しいことを、うまく他者に伝えられないというのは、周りからも理解されにくく、孤立感が強まるでしょう。
そういった状況で、「この文章で理解できないお前たちが悪い」と周りを責めるのは簡単です。
しかし、コミュニケーションは双方向のものですから、表現する力を高めることは大切なように思います。

この点について俳人の夏井いつき氏は、
「俳句はセンス以上に技術が大切。技術は誰でも身につけられる」
「SNSで誹謗中傷が溢れる中で、たった17音にポジティブな思いをのせた方が健康的」
と語っています。
夏井氏もまた、自身が国語教師の時に、自分の思いをうまく相手に伝えられず、不良行為にはしってしまう子供たちと関わる中で、表現する力の重要性に気づいたそうです。

また、一時期には語彙力という言葉も流行りました。
色々な言葉を知っていることは、確かに素晴らしいことだと思います。
しかし、本当に大切なのは、どんな言葉を知っているかよりもその言葉で何を語るのか、ということでしょう。

そのためには、まずは自分に問うのです。
「わたしは今,何を考えているの?」
「今,わたしの一番知りたいことは何?」
という自分に向けての問いこそが第一歩なのです。
その問いの答えを「ことば」にしていくことが、表現する力を身につけることにつながるのでしょう。

#哲学 #コミュニケーション #言語化 #価値観 #文章力

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