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パワハラと呼ばれた男がコビーの「7つの習慣(第2部)」から得たこと

パワハラシリーズです。

今回のテーマは、スティーブン・R・コビー氏が書いた「7つの習慣 人格主義の回復(第2部:私的成功)」です。

第1部をもとにした前回の記事はこちら


第2部では「私的成功」というタイトルがついています。私的成功と聞くと個人がいかに成功するかという内容かのように感じてしまいますが、そんなことはありません。

優れたマネージャーになるためには、まず個人として成熟し自立していなければなりません。どのような準備を行えば優れたマネージャーになるための土台ができるのかを理解できます。

この準備が整えばパワハラを行うことはなくなるはずです。

そもそもマネージャーに選ばれるような人は、ある程度の成果は出せているはずで、その意味では成功をしているはずです。

その一方で、仕事の結果と個人としての成熟度は全く別の話になります。そこを勘違いしてしまうと、結果が出ているのだから自分のやり方が正しいと思い込んでしまいます。

だから、自分の思い通りにならないとイラつき、ミスがあれば相手を責め、育成という名のものとに自分のやり方を押し付けようとします。

これがパワハラの土台です。

優れたマネージャーとしての土台はどのように作れば良いのでしょうか。

7つの習慣第2部の内容をもとに、過去の自分に向けたメッセージとしてまとめてみたいと思います。



サマリー

  • 好ましくない状況が起きてもすぐに反応せず、一時停止して、良い影響を与えられる行動を選択する。

  • 環境や他者に左右されず、自分をコントロールする。

  • まずは自分が直接コントロールできることに集中する。

  • 自分がなりたいリーダー像を鮮明に思い描き、毎日確認する。

  • 自分の役割を細分化し、役割ごとに週の目標をたて、時間を確保して実行する。

  • 第一領域のループから抜け出すために、「No」と言う。

  • 人に任せるための5つのポイントを相手とお互いに納得するまで時間をかけて話をする。

  • チームのミッションはチームメンバー全員が参加して作る


一時停止ボタン

あなたにとって好ましくない状況が起きたとき、イラッとして、感情のままに言葉を発したり行動を起こしていましたね。

それだとパワハラが起きやすくなります。

そうならないために、刺激を受けたらすぐに反応せず、一時停止ボタンを押してください。

一時停止中に自分の感情をコントロールし、どう反応するのが正しいかを選択するんです。

怒るのか、嫌味を言うのか、淡々と説明するのか、ポジティブな言葉をかけてあげるのか、あなたは自由に選択ができます。

どのような選択が周りに良い影響を与えるのかを考える時間をとることで、あなたは正しい選択ができるようになるはずです。

まずは、一時停止ボタンを押す習慣が身につくように意識してみましょう。

主体的と反応的

仮に一時停止ボタンを押せても、選択を誤ればパワハラになってしまう可能性が高くなります。

例えば、一時停止をして考えたにも関わらず、感情が抑えられず相手に怒りをぶつけてしまうといったことです。

誤った選択を行わないようにするためにはどうすれば良いのでしょうか。

答えは、主体的になることです。

あなたは既に自分が主体的だと思っているはずです。仕事にも積極的に取り組んでいますしね。

でも、本当にあなたが主体的か確認してみましょう。

主体的の反対は反応的です。もしあなたが反応的な考えに該当していないのであれば、あなたは主体的であると証明できます。

反応的とは、
・周りの環境に影響を受ける
・他者次第で精神状態がころころ変わる
人のことです。

もっと時間があればな、もっと良い人材が居ればな、何でもっと考えられないかな、何度言ったら分かるのかな、といった考えをしていたあなたは反応的な人で、主体的ではないのです。

自分の思考や行動を、環境や他人にコントロールされている人が主体的であるはずがありません。

主体的とは積極的に動くという意味と捉えがちですが、そうではありません。
「感情を抑えて深く考えて、自分の価値観に基づいて自分を自分でコントロールする。環境や他人のせいにせず、自分の選択の結果と受け止める。」ことをいうのです。

例えば、
もっと時間があればな → 限られた時間内で私はこうする
もっと良い人材が居ればな → 私はこういう方法で人材の育成や確保を行う
何でもっと考えられないかな → もっと考えてもらうために私はこうする
何度言ったら分かるのかな → 私の伝え方を変える

このように自分ができることは何かを考える習慣をつけると良いでしょう。

影響の輪

物事には自分が変えられることと、自分ではどうしようもないことがあります。

主体的な人は、影響の輪と呼ばれる自分がコントロールできる範囲内での行動に集中します。

反応的な人は、影響の輪の外にある他者の弱みや周りの環境といった自分にはどうにもできないことに関心を寄せます。

影響の輪に集中すると、輪が広がっていき、自分がコントロールできる範囲が広がっていきます。その一方で影響の輪の外を気にしすぎると自分がコントロールできる範囲が小さくなっていきます。

自分がコントロールできること、できないこととはどのようなことでしょうか。

直接コントロールできること
自分の行動です。自分の考え方や習慣を改めるといった自分の意思で解決ができます。

間接的にコントロールできること
他者の行動です。これをコントロールするためには、他者に影響を及ぼす方法を考える必要があります。例えば、模範となる行動を示すことで良い影響を与えるということです。影響の輪が大きい場合に可能となります。

コントロール不可能
過去の出来事や、動かしようのない事実などです。これは笑顔で受け入れるしかありません。

あなたは、パワーを使うことで他者の行動を間接的に変えることができると思っているかもしれません。

ですが、まずは自分が直接コントロールできることに力を注ぐべきなのです。

自分ができることをやらずに、相手を責めることはあってはいけません。信頼も失います。

他者の行動を変えたいのであれば、あなたが出来ることを考えて行動するのです。そのうちにあなたは模範的な人になり、パワーを使わなくても、自然と間接的に他者の行動に影響を与えられるようになります。

これが影響の輪にフォーカスするということで、人格を磨くことにもなります。

自分自身が変わる、自分の内面にあるものを変えることで、外にあるものを良くしていくというインサイド・アウトのアプローチの考え方を思い出してください。

30日チャレンジ

あなたは主体性を発揮出来ていないので、まずは30日間、下記のことを自分に約束してそれを守るチャレンジをしてください。

・人と接するときは常に笑顔で
・他人の欠点を責めたり、文句を言わない
・問題があれば相手の話を対面で聞き、それから一緒に前向きな解決策の話をする

まずはこれだけで良いです。必ず30日間守ってください。

2つの創造

あなたはどんなリーダーになりたいと思っていましたか。

あなたは、自己紹介記事でも書いているように、能力で馬鹿にされないリーダーを目指していましたね。

恐らく、その通りのリーダーになったと思います。

その一方で、パワハラをしないリーダー、人を育てるリーダーになりたいとは思っていなかったですよね。だからそういうリーダーにはなれなかったんです。

頭の中で考えていたことは実現し、考えていなかったことは実現しません。

当たり前のことですが、だからこそ、はっきりしたビジョン、目的地が必要なんです。

全ては2度創造されると言われます。

何を達成したいのか思い描くことが1つ目の創造、思い描いたことを正しく実現させることが2つ目の創造です。

だから、まずあなたは1つ目の創造として、自分がどうなりたいのかを明確に決めなくてはいけないのです。

今一度、あなたがなりたいリーダー像を明確にしてみてください。

そして、毎日、そのリーダー像を思い出すようにしましょう。

役割を意識する

あなたは日頃からどんな役割を意識していましたか?

マネージャーという役割では広すぎます。

マネージャーという役割の中にも、例えば、事業計画、営業、プロジェクト管理、上司への報告、部下のサポート、育成、配置、採用など、多くの役割があります。

あたなは、このような細かい役割を常日頃から意識していなかったと思います。

意識していないので各役割の時間配分も行き当たりばったりです。

日頃から意識していないので、目先の対応に追われてしまい、本来必要である役割を全うできていないことにも気づかなくなってしまうのです。

それを防ぐためにはどうしたら良いでしょうか。

毎週その週に果たすべき役割を挙げ、その役割に対しての今週の目標を掲げ、それを達成するための時間を先に確保するようにしてみてください。

これだけで、あなたは自分の役割を客観的に見ることができるようになり、忘れがちであったり、後回しにしがちな大切なことに気づき、時間を作ることができるようになります。

あたなは冷静に考えれば本来どうあるべきか分かっています。

だから、これを行うだけで効果的な行動を取れますので、毎週必ず行うようにしてください。

優先度

あなたはやることが多すぎて時間がないと言うのでしょう。

時間管理マトリックスについては今更説明しませんが、あなたは第一領域ばかりに注力していることに気づいて欲しいです。

第一領域ばかりに注力すると、第一領域に追われ、常に締め切りに追われる人間になると言われています。

まさにあなたです。

締め切りに追われていますから、緊急でないが重要な、成果を生み出す能力(PC)を高める活動に時間を割くことができません。

その結果、あなた自身が第一領域の仕事をカバーしなければならなくなり、第一領域に追われます。

その状態では心に余裕がありませんから、パワハラで手っ取り早く解決したくなったり、細かく具体的な指示を出すことになります。

このループです。

そのループから抜け出すためには、PCを高めるための役割を意識し、目標を定めて、時間を確保し、決めたことを実行しなければいけません。

そのためには、緊急の領域について「ノー」と言う強さを備えましょう。

お客さんが喜ぶことであっても「ノー」と言わなければならない時もあります。

自分を律して強い意思で自分をマネジメントしなければ、あなたは常に第一領域に追われる人になってしまいます。

人に任せる

あなたは仕事を任せられたらいいなと常に思っていました。

でも、あたなは、目先の結果を得るために何でも自分でやってしまったり、細かい指示を出したり、メンバーが出してきたアウトプットの最終の詰めや仕上げをあなたが行ってしまっていました。

そうすると、メンバーは育ちませんから、そのままずっと自分でやり続けることになり、あなたが使える時間がチームが出せるアウトプットの制約になります。つまり、限界が来るということです。

あなたはそんなことは分かっている、裁量を与えて任せたていたことだってあるけど上手くいかなかったから自分でやったり、細かい指示を出してやっているんだと言うのでしょう。

でも、あなたが言う裁量を与えて任せたていたというのは、ただ丸投げしていただけでした。

仕事を全面的に任せるにあたっては次の5つのポイントをお互いに合意してから進めないといけません。

望む成果
何を達成しなければならないのか。何を達成するかであってどうやって達成するかではない。時間をかけてお互いが納得するまで話あう。相手がその成果を明確にイメージできるように具体的な文章で表現。いつまでに行うか期限。

ガイドライン
守るべき基準やルールを明確にする。細かく指示をすることにならないようにできるだけ少ない方が良い。してはいけないこと、つまずきやすい点、落とし穴などは話しておく。私ならこうするが、こうやってもいいし、自由だ。

リソース
望む結果を達成するために使える、人、資金、技術、リソース

アカウンタビリティ
成果の評価基準、仕事の進捗報告を求める時期、評価を行う時期

評価の結果
金銭的、精神的、仕事の拡大など、良いことも悪いことも具体的に話をする。

この5つについて、合意できるまで話をする必要があります。場合によっては1対1で仕事を教える必要もあります。

あなたは時間がないからという理由で、これらについて話をすることを行っていませんでした。

もちろん、じっくり話をすることも、1対1で仕事を教えることも時間はかかります。効率が悪く感じるでしょう。

ですが、PCを高める活動に効率を求めてはいけません。さくっと説明して、後はよろしく、ではいけないのです。

お互いの考えが一致するまで時間をかけて話をしないといけません。

人に対しては効率ではなく、効果性を考えてください。

効果性が高まれば、あなたの代わりにどんどん結果を生み出してくれるようになるのです。

そう単純ではないと思うのでしょうが、まずは3ヶ月で良いので5つのポイントをしっかり話をし、相手を信頼して任せてみてください。

信頼ほど人にやる気を起こさせることはないです。

相手の能力が未熟であるなら、望む結果のレベルを下げ、ガイドラインを増やし、報告の頻度を多くしたり、必要であれば最初は1対1で仕事を教えながらやってみてください。

ただし、相手には望む結果を実現する責任があることを伝え、完遂させるようにしてください。あなたが巻き取ったり、細かい指示を与えてはいけません。

人に責任を持たせることは突き放すことではないです。その人の主体性を認め、高めることだと理解してください。

もちろん人によって主体性の成熟度に違いがありますが、主体性は必ずあるのでそれを尊重してあげることで、より主体性を発揮し、高い結果を生み出してくれるようになっていきます。

チームのMission

チームのミッションやビジョンをメンバーと共有することは非常に重要なことです。

あなたはそんなことは知っていましたから、ミッション、ビジョン、バリューを自分で考え、メンバーに発表していましたね。

しかし、ただ共有するだけではダメだったのです。

その内容についてメンバー全員が腑に落ちていなければ絵に描いた餅になってしまうのです。

どうすれば、メンバーが腑に落ちるようになるのでしょうか。

「参加なければ決意なし」という言葉があります。

メンバーと一緒に考えて、全員が納得できるもの作っていかないと、それに従おうとは思わないということです。

あなたの考えを押し付けるのではなく、全員が参加し作ったミッションがあれば、細かい管理をする必要もなくなるはずです。

あなたが考えたミッション、ビジョン、バリューはすぐに捨て、チームのあるべき姿をメンバー全員と考えて作成する取り組みを始めてください。

急いで作り上げるものではありません。数ヶ月かけて初版を作成し、その後もチーム全員で見直しをしながら、修正していくようにしましょう。

まとめ

まずあなたは個人として自立しなければなりません。そのために、出来事に対して感情的に反応せず、一時停止ボタンを押して、状況に良い影響を与えるために、あなたが出来ることを考えて行動しましょう。他人を変えようとするのではなくあなたが変わりましょう。

あなたはどのようなリーダーになりたいでしょうか。それを鮮明に思い描いて毎日確認するようにしましょう。

あなたに与えられている役割と役割ごとの目標を毎週定め、最優先事項として時間を確保して取り組みましょう。

人に任せるときは、望む成果、ガイドライン、リソース、アカウンタビリティ、評価の結果の5つを相手と合意するまで話をしましょう。

チームのミッションはメンバー全員で検討し作成しましょう。

おわりに

第1部に続き、第2部も内容が盛りだくさんでした。

意識してもすぐには変えられないものもありますが、役割を意識して時間を作ることや、人に任せるときの5つのポイントについてしっかり話をすることはすぐにできることだと思います。

第3部に続きます。


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