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雨上がりのあした~夜明け篇~

「おはよう。」

わたしは この時間が だいすき
ひとりから ふたりになる
あぁ 今日が始まったんだな と思う
おはよう ということばは 元気になる ひりょうだ

スマホの音
そのひとは わたしから目をそらし 音が鳴る方を見た
まただ
スマホはきらい 
いつもじゃまをする

「朝早くからすまんな。」
「いえ。」

聞いたことのない おとこの声がした

「実は、内示が出たんだ。」
「内示ですか!」

ないじって なんだろう・・・・・・
おどろく様子を見て ただごとではないと 思った

「実は、国際室に行ってほしいんだ。」
「国際室って。英語しゃべれませんよ。」
「詳しいことは引継ぎの時に言われると思うが、向こうの室長がお前をどうしても欲しいって言ってるんだよ。」
「でもなんで。」
「今国際室で、大きなプロジェクトが始まろうとしていて、俺の推測だが、お前の推進力とアウトプット力が必要とされてるんだと思う。」
「あまりに突然で。・・・・・・その・・・・・・びっくりです。」
「正直でよろしい。」

おとこは そう言いながら クスっと 笑った
そのひとは 少しとまどった顔で スマホの画面を見つめ 目をつぶった


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ゆっくりと目を開ける

「行ってくれるか。」
「・・・・・・はい。行ってみます。」
「そうか。・・・そうか。」

おとこは ことばを くり返した
一回目は そのひとに向かって
二回目は 自分自身に向かって

「状況が状況だから、いつ正式異動になるかは、まだ分からないが、頑張れよ。」
「あの。」
「ん?」
「ありがとうございました。引き立ててくださって。」
「いや。それはこっちのセリフだ。本当に4年間、よくやってくれた。ありがとうな。引継ぎもあるだろうし、今度出社した時にでもゆっくり話そう。」
「はい。」
「とにかく、おめでとう。」
「ありがとうございました。」

おめでとう
はじめて 聞いたことば 
おめでとう、おめでとう、おめでとう・・・・・・
なんて 心が 温かくなるんだろう
 
 
おめでとう!

さい後の力を ふりしぼって さけぶ
とどいたかな
いつか とどくといいな


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