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新型コロナ不況に小売のマーケターはどう向き合うか Vol.1 BODYSHOP 斉藤さま

Patheeは「テクノロジーで人々と小売コミュニティを繋げることで社会にインパクトを与える」をVisionに事業をしています。
新型コロナウイルス対策で外出自粛している中で小売業のマーケターからどのような施策をいまやるべきか、自粛緩和時に向けて今何を準備していけばいいかというご質問をいただくことが増えています。そこで今回から最前線で活躍しているマーケターにPatheeのマーケティングマネージャーの原嶋がインタビューをしてこの課題にどう向き合えばいいかをお聞きしていきます。
第一回はザ・ボディショップでEC、オムニチャネル推進をしている斉藤さんにインタビューさせていただきました。
*ザ・ボディショップ斉藤さんのTwitterはこちら

外出自粛の今アプリやECでブランドの売上をつくっていきたい

原嶋:
お時間いただき、ありがとうございます。
商材によって異なると思いますが、外出自粛で小売業界は40%減と聞いていますが、ザ・ボディショップは外出自粛の中の影響はどの程度受けていますか。

斉藤:
休業店舗や時短営業店舗も増えてきているので大いに影響はあります。ただコスメという商材のおかげもあると思いますが、報道されているような業界、例えば百貨店やアパレルに比べればまだ耐えているほうだと思っています。

原嶋:
コスメだと定期で購入するお客さまが多いからですか。

斉藤:
そうですね。お客さまがアプリでお買い物をしやすい環境というのが整っていたことも大きいかと思っています。
昨年10月2日にアプリをリニューアルしました。店舗スタッフがその時にアプリのインストールやアップデートを積極的にお客さまに提案してくれました。そのおかげで、3月のアプリ経由のコンバージョンレートが3倍ほどになっています。

原嶋:
リニューアルして半年でちょうど効果がでてきているんですね。アプリは新規のお客さまというよりは既存顧客向け、いわゆるCRM的な役割で利用されているのでしょうか。

斉藤:
いえ、両方あります。まずは新規の方にアプリ促進して連絡手段を獲得し、そののちにCRM的な役割で活用していく、この2段構えです。既存顧客の利用がやはり多いですし、会員ランクを設けているのですが、最上位ランクの会員さまはECをよく利用していただいています。

原嶋:
利用率が出ているということは、アプリと店舗の会員情報が連携されているのでしょうか。

斉藤:
2012年にすでにPOS、ECのDBを統一していました。
現在は今まで積み上げてきたことが活きてブランド全体の売上減を最小限に抑えられているのかなと感じています。
ご来店いただいたお客さまにアプリインストールを勧めてくれた店舗スタッフに感謝しています。

原嶋:
何事も積み重ねが大事ですよね。では今EC側で特に新しい施策はやっていないのですか。

斉藤:
「TIMETOCAREおこもり中のあなたをザ・ボディショップが応援」というキャンペーンの一環で3月末からEC送料無料キャンペーンはしています。
コスメは体験していただくことが一番だと思っているので、EC担当の私も一度店舗で体験してくださいって言ってしまうぐらい、店舗があってのECだとは思っています。
少しでもECで買いやすくなるような「香りの可視化」とかにはチャレンジしていますが、その話はまたローンチのときでも。笑

原嶋:
「香りの可視化」はぜひまた取材させてください。笑
他にEC側の変化はありますか。

斉藤:
3月のEC売上は平常時の20%増にはなっていますが、KPIで変化を感じるのは注文率です。40%増くらいで伸びています。売れているのが定番商品なので、店舗で今までリピートしていた人がECで購入してくれているのかなと思っています。

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リアル店舗とECを統 合するために組織 を変化させるとき

原嶋:
ちょっと話が変わりますが、送料無料以外で今斉藤さんとしてやっておくといいよという施策はありますか。

斉藤:
それはどういう規模でしょう?会社規模ですかね。

原嶋:
まずはリアル店舗運営(小規模チェーンのEC担当想定)はしていて、今まではECがあるだけになってしまっていた企業は何をやっていけばいいと思いますか。

斉藤:
そうですね、そういう企業は自分達で持っている既存のお客様のリストに対してアプローチをしていくのがいいかなと思っています。そのアプローチはDMなのかLINEなのか、方法は企業によって変わると思っています。
「今は無理にお店に来なくていいからね」っていうメッセージを添えた上で「買いたい時はここで買えるよ」っていうメッセージを送るところが初めだと思います。
ECをやってこなかったお店は、そもそもお客さまに「ECがあることを認知されていないのかしら」って思ってもらうことが大事かなと。
ECの担当の方は今ある意味、色々と挑戦しやすい環境になったと捉えています。お店を守るために一回やりましょうと。そこでECにお客さまを奪うのかと思ってしまう人もいると思うので、状況が落ちついた後には店舗の案内を同梱物に入れるようにしますとか、そういうことを伝えて一緒にやっていこうと。

原嶋:
まず知ってもらうチャンスに使うのですね。そしてこの機会にリアル店舗とECの統合をしていくということですね。

斉藤:
今回を機に生活者のライフスタイルが変化をしていくと思います。
直近1、2年でリアル店舗の価値の見直し、在り方が変わってきました。例えば買わない店舗とか、徐々に変わってきたと思っています。その流れが、今回変わらざるをえないということで加速していくと思います。
セミナーだから集まらなければいけないとか、お買い物するのにお店に行かなければいけないとか、生活習慣の中で先入観を持って過ごしていた部分もあると思うのですが、それが一旦リセットされるという事は意識しておかないといけないと考えています。

原嶋:
企業としてもその変化に対応していくことが求められるということでしょうか。

斉藤:
生活者の変化に合わせて社内組織を変えていかないといけない。組織を変えていくために私のようなEC担当者は今まで店舗が築いてくれたお客さまとの関係性をしっかりECでケアをしていき、終息したときに店舗側との連携を強化していけるような環境作りをやるチャンスではないかと思っています。

原嶋:
施策の変化ではなく、変わらない時だからこそ少しづつ変わっていく組織を大きく変えて、未来への投資をしていくということですね。

斉藤:
人的リソースも含め、組織のリソース再分配もできる機会ではあるとポジティブに考えたりはしています。

原嶋:
ECを強化したことで、店舗は体験していく形に変わっていくでしょうか。

斉藤:
ECの強化とは関係なく、店舗についてはその存在意義とは何か、を再認識し、どちらも進化させていく、というのがこれからの考え方です。店舗では、スタッフや商品との出会いから、顧客に感動の体験をしていただく、ECではその延長もあるし、そうでない場合もありますが、シンプルにわかりやすく買いやすい場の提供です。
店舗とECの連携がもっとシームレスになっていくだけだと思っています。

原嶋:
小売業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)*1が加速していきますね。ザ・ボディショップの今後が楽しみです。
本日はありがとうございました!

*1進化したデジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革すること


◼︎この記事はおでかけサービスPatheeを運営している株式会社Patheeが提供しています。小売業にてどのような施策をいまやるべきか、課題にどう向き合えばいいのか、小売のマーケターにオンラインでインタビューしさまざまな情報をお届けしていきます。


■ 「新型コロナ不況に小売のマーケターはどう向き合うか」