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空を駆ける

一瞬の時が、永遠になった。速いテンポで、流れ星の裂け目から、四方八方にペガサスが現れ発散していく。流れ星は、空を舞って消えていった。風が冷たかった。業火の炎から、火花を散らして誕生するペガサスは、やがて形を変えていった。平和の象徴である鳩は、その風景をさらうように眺めている。モネの花は、迸る落雷に結界を張っている。現世は誠に、忙しい。勇者は、強靭な刀を持って、裂け目の方に飛んでいく。ペガサスが、一心不乱の動きを見せて、こちらへ向かってくる。勇者は、それに飛び乗った。地球に春がやってくる。たんぽぽの花が綺麗で、せっかちな自分を散らし、夢世に向かう途中で、君との出会いを凌駕して大海原をかけながら、飛んでいく。刹那の出来事と仏教が繋がる。夜空を見上げると、靡く風がギラギラとしていて、僕は君に逢いに行く。春の息吹の中に、白く冷たい吐息が混ざっている。吐息を吐いている途中で、文章に光が射した。太陽がぎらりと輝く中で、昔に何回も見た風景がフラッシュバックして、僕に突き刺さる。真っ直ぐな光線に対角化した視線。ある日、歌姫は弱い声で言っていた。その音色はフルートに変わり、人間という群像を一つの広野と見ている。心は、穏やかで何故か自分が俯瞰されているかのように思えた。有機体である我々は、さらにそれを分解したかのような、極めて冷酷で静止した眼差しをしている。数という概念がなくなる度に、僕らはその摩訶不思議な影を追って、自分を求める。そっと、踊りだす文体が必要であった。華やかさは、ときの刻んだ幻ではあったが、空間そのものが、何らかの写像であるかのように投影されると、そこには舞踏会が騒めき、弱さを知る僕らの波にどよめいた。微風が吹いている。卵から雛鳥になる抽象性と、小石からのカンブリア紀が何故か同じに思えてしまった。僕は、間違っているのか?ヘーゲルは、空に向かって鳥を放ったというが、そんな自由の瞬間がやってくればいいなと思う昼下がり。時間も空間もない余韻がセンチメンタルに、ノスタルジアを唱える。そして、作業は次の段階に入る。太陽は傾いている。陽射しを見つけた雛鳥が巣から出たいと寂しそうにしており、僕はその形相をぞっと眺めると、白い鳥になって飛び立って行った。それは、鷹が人間の肩から、放つ光の幻にきらりと輝いた一瞬の旅立ちでもあった。時間は、いつだったかわからない。僕と君は、ずっと夢見ていた。目と目があったその瞬間、女性はぐらりと幻覚のように、綺麗に映る。そして、全ての哲学者が発狂していくように、僕は何だかわからないような感覚になってしまった。流れ星は、無数に、その切れ切れまで流れている。その夢が叶うころ、一つのハートの対が信じられない勢いで引力によって示され、心はゆっくりと君の中へ帰っていく。男は、月光の中を歩いて、ふっとした単調なリズムで、また歩き出す。女は、その恋を打ち明けようと試みる。静かな予見は、現実になる。

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