見出し画像

#274 リーダーシップは見えない

ゴロゴロしてます

僕は高学年の担任が多いんです。
初任から5年間で、4年→2年→3年→5年→6年ときたので、ここからは毎年担任希望には「1年生」と書いていた!
なのに、「あれは、本気なの?」と校長に言われる始末。
すっかり、ゴロゴロ(5年、6年を繰り返し担任することの俗称)人生を歩んでいます。ちなみに今年は9回目の6年担任です。

リーダーシップ

さて、高学年ならではの指導といえば、必ずあがるキーワードが「リーダーシップ」です。6年生は学校のリーダーとして、全校を引っ張っていく存在になって欲しいと願っています。また、学校全体からの期待もあります。

この「リーダーシップ」という言葉が、なかなかやっかいなんです。
そもそもリーダーシップなんて存在しません。
リーダーシップとは、集団を目標に向かって牽引する統率力、指導力などを指します。つまり、抽象的な言葉なんです。

抽象的な言葉の落とし穴

この抽象的な言葉を子どもたちは使いたがります。いや、先生方も使いたがります。
子どもたちに目標を立てさせると抽象的な言葉が並びがちです。「一生懸命」「全力」「元気」など。また、先生方は、一人一人違う子どもたち全員に話ししますから、全員に当てはまるような抽象的な言葉を使います。その結果、子どもも先生もキーワードのように使っているが、なかなか成果が見えないという現象が起こります。

これは当然の話ですね。「リーダーシップ」は抽象的な言葉であり、存在してない。そこにあるのは、「リーダーとしての言動」だけなんです。

抽象の具体化

子どもたちには具体的な行動を考えさせます。

「いよいよ運動会練習が始まります。みんなから『リーダーとして』という言葉が出てきたけど、具体的には、どんな姿なのかな?」

「返事や姿勢で見本になる。」

「もう少し具体的に話せるかな。」

「全校に聞こえる声で返事する。指先を伸ばす、立要、目線は前の人の帽子の上。」

これまで指導してきたこと、子ども自身が学んだことを具体的に話してくれます。ここまで具体化できれば、練習中に何をがんばればいいのか明確です。終わった後の振り返りもしやすいです。
あわせて、先生側も具体的にどんな行動がとれたらリーダーとして相応しいのかの判断軸を設定しておくことが大切ですね。

集団生活の中では、抽象的な言葉が増えます。指導内容が多岐に渡ると抽象的な言葉が増えます。そんな中、抽象的なままだと、子どもも先生も曖昧なまま進んでいくことになります。そこで、抽象の具体化です。具体的な目標を一人一人もたせることができれば、子どもたちは動き出します。そして、最後に、個々の具体をまとめるんです。つまり、具体の抽象化です。
抽象と具体の往還が大切ですね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?