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【セカンドブライド】第3話 カエルさんとうどんを食べた日

冬のある日曜日、偶然同じレースにエントリーした彼と、ハーフのレースを走った。と言ってもマラソンのレースなのでスタートとゴールでくらいしか会うことは無い。

ゴールした後で、参加者全員にふるまわれるうどんを一緒に食べた。それは、うどんを名物としている土地の地のもので、割烹着の女性がたくさんボランティアでうどんを茹でてくれていた。レースの後の身体が汗で冷えていたから、うどんの温かいつゆの出汁の味がとても美味しかった。

「美味しいね」と言って食べた。
 
食べ終わってからは急いで家に帰った。「午前中だけお願い」と子供達を母にみてもらっていた。

家に着くと、子供達はちょうど母が作ってくれたチキンライスとコーンスープを食べているところだった。子供達は母に近くのショッピングセンターに連れて行ってもらったと話し、嬉しそうだった。娘には文房具、息子にはプラスチックの刀、その他にたくさんの駄菓子が入った袋がダイニングテーブルの上に置いてあった。

子供達がリビングでゲームやテレビやそれぞれに遊びだしだので、母とお茶をしながら「子供達がどれだけ成長したか」と言うことや「近くに美味しいお店が出来た」とか、「父がわがままで困る」等と話をして過ごした。
 
15時近くになり、母は急に思い出したかの様に「お父さんの夕飯の準備をしなくちゃ」とそわそわしだし、急いで帰らなくてはいけない雰囲気を纏って帰っていった。

私は子供達を連れて近くのスーパー銭湯に行くことにした。息子の散髪はスーパー銭湯の中にある床屋さんの1000円カットで切ってもらっていた。散髪の券を購入して、待ち時間の間「マンガを読んでも良い?」と言うこども達を連れてマンガコーナーに移動しようと歩いていたら、偶然そこにカエルさんが居た。彼も私もウィンドブレーカーのままだった。
 
私はすごくビックリしたし、彼も驚いた顔をしていた。

そして、子供達がマンガを読んでいる間も息子の髪の毛を切る間も私たちに付いて来た。

「今日のレースの風が強かったね」とか「フルとハーフは全然別物で単純な倍では無い」と言うことなんかを話した。

息子の散髪が終わるとカエルさんは「恰好良くなったね。」と息子に言った。そしてそのまま分かれてお風呂に入った。お風呂から上がった後は彼に会うことはなかった。

家に帰り、母が持って来てくれたロールキャベツを夕飯に食べ、子供達とゆっくり過ごしていたら電話がかかってきた。

「もしもし」と電話にでた。
「もしもし、少しだけ話したいんだけど時間もらえる?」
「うーん。少しなら。」
「ぱるちゃん家から近いって言ってたコンビニにいるんだ。」
「え。外に出るの?電話じゃダメ?」
「本当に少しだけで良いから会って話したいんだ。」
「じゃあ、15分だけ。」

車で最寄りのコンビニの駐車場に向かった。

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