【ゴーストイメージングとは】脳波から人が見ている「何か」を推測するぞ

職学生の頃に級友が下駄箱のところで靴を履き替えている途中、ともだちに話しかけられて、その手が止まっていた。ふと級友は自分の靴がなくなったと慌てる。しかし、端から見ていたものとしては、その級友がなくしていたと思った靴は自分の手にしっかりと持っていた。

視界の中に自分の靴は映っていたはずなのに、なぜか知覚されなかった。自分の靴はすでに手を離れていたと勘違いをしていたから、靴箱か地面にあると思いこんでいた。

ヒトはみたいものには注意がいくけれども、関心がないものには注意がいかないものである。自分がいま見ているものは、もっとわかることがあるはずなのに、先入観で注意から外れてしまう。

見ているものが自分の知覚ではわからなくても、他の何かだったら推測が出来るかもしれない。なにを言いたいのかというと、いまのAI技術なら自分が見ている変哲も無い「何か」を推測してくれる。


イギリス、グラスゴー大学の研究グループは、人間の視覚野の脳波を分析することで、本人が自覚していない物体を特定する「ゴーストイメージングAI」を開発した。

ゴーストイメージングとは壁から散乱する光を見ている人の脳波を読み取り、一見肉眼では見えないとなりの部屋から届く間接光から、物体を特定するという。

ついたて1枚に隔てた部屋の中で人間がついたての向こうの光を壁の反射で見ている時、一見ぼやっと見えているが、その人の脳波からAIがその物体がなんなのかを推測する。

この新しいシステムを「NLoS(ノンラインオブサイト)」と詠んでおり、つまりは人間が知覚できなかったものをAIが認知する。強化知覚というものか。

我々は普段から見ている様で見ていないものの方が多すぎる程ある。間違い探しだと注意して違いを見いだせるけれど、見逃しているものがもっとたくさんあるんだ。なぜかというと、全部近くしていたら、判断に遅れて対処が出来なくなるから。本能的に取捨選択している。

白いチームが何回パスしたか数えてみよう。注意すればまず間違えない。


まあ、そういうことで我々は見たいものしか見ていない。しかし、映像は映っているので、脳が送られた情報は取捨選択をしてない状態になっている。それをAIがなにが映っていたかを分析するのだ。

ある程度の限界はあるだろうけれど、事件性のある現場や緊急性のある場所などで、この技術が大いに役に立つだろうと思う。

AIと一緒に謎を解くミステリーものなんて、普通にあるだろうけれど人が見てそうで見てなかったものをAIが見せるシーンがあったら、ページを戻して確認してしまいそう。でも、そういうのが面白いところでもあるね。


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