がんの親玉の弱点を見つけたぞ

幹細胞というのを、科学を見知っている人ならどこでも目にしているだろうけれど、組織や臓器に成長する元となる細胞のことで、これを増やすことができると失った組織や臓器を再生することができる。

つまりは、自分の細胞で代わりの組織を増やすことができたら、他人からの臓器移植とか必要なくなる。

どこの臓器にも幹細胞はあるけれど(消えてしまうと思われていた神経幹細胞も最近見つかった)、がん細胞にも例外なくあるわけで。

岐阜薬科大学大学院薬科学専攻、岐阜県薬科大学理学研究室、岐阜県大学院連合創薬医療情報研究科の研究グループは京都薬品工業株式会社、金沢大学、東京大学との共同研究により、

脳腫瘍グリオブラストーマ治療におけるがんの根治を目的にした創薬ターゲットを発見。

グリオブラストーマとは脳組織に存在するグリア細胞ががん化することで発症する。グリア細胞とは神経系を構成する細胞の総称(神経細胞ではない)。周辺組織の恒常性を維持したり、神経伝達物質の受容体をしたりして、神経細胞の情報伝達のサポートをする。

がんの幹細胞は文字通りにがん細胞に変わっていくのだけれど、治療による抵抗性を持っているから薬があまり効かない。がん幹細胞に直接狙えるならその因子を見つけることができなかった。

研究グループはCDK8という因子ががん幹細胞を制御していると発見。これがグリオブラストーマ治療における有力なターゲットになるとのこと。CDK8に働きかける薬を作れば、がん細胞が増えなくなるということかな。

今回は脳腫瘍のアプローチだったんだけれど、こういったがん幹細胞の因子を見つけるには相当時間がかかったんだろう。失敗の山を築いてたどり着くもの。

これはもう人類の宝のようなものだし、なかなか日の当たらない分野だけれど、地道に仕事をする研究者たちには本当に感謝しかない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?