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【生殖促進の影響に迫る最新研究】長寿と生殖能力はトレードオフの関係だったぞ

最新の研究によれば、生殖を促進する遺伝子変異がヒトの寿命を縮める可能性があることが示されました。ミシガン大学を中心に行われたこの研究は、27万6千人以上の遺伝情報と健康情報のレビューに基づいており、進化論的な視点から老化と生殖の関連性を解き明かすものです。

1957年に進化生物学者ジョージ・ウィリアムズが提唱した「老化の進化論」によれば、生殖を早め、より多くの子孫を残すためには、人生の初期において老化が進むことが有利であるとされました。この仮説は、老化の拮抗的多面性理論として知られ、個々の事例研究では支持されていましたが、ゲノム全体での証拠が不足していました。

新しい研究では、マサチューセッツ工科大学の進化生物学者Jianzhi Zhang氏と中国の同僚が、英国のバイオバンク・データベースに登録された27万6千人以上の参加者のデータを用いてこの仮説を検証しました。その結果、生殖を促進する遺伝子変異が寿命を縮める傾向が見られ、特に生殖率が高い突然変異を持つ個体は、寿命が76歳まで生きる確率が低いことが示されました。

著者らは、この研究で示された遺伝的な影響が、避妊や中絶といった環境的な要因に比べて相対的に小さいことに言及しています。しかし、この遺伝的な影響が生殖と寿命にどのように影響を与えるかを理解する上で重要であるとも述べています。

また、遺伝学の観点からは、一つの突然変異が複数の形質に影響する「拮抗的多面性」の概念が強調されています。同じ遺伝子変異が状況によって有益または有害になる可能性があるという考え方は、ウィリアムズによって提唱され、今回の研究でも裏付けられています。

しかし、研究者らは注意を促しており、人間の平均寿命や生殖行動は過去数十年で大きく変化しており、環境的な要因も考慮する必要があると指摘しています。環境の変化や医学の進歩も寿命に影響を与えていることを踏まえ、遺伝的な要因だけでなく環境的な要因も総合的に考える必要があるとされています。

ChatGPTより作成


生殖能力と寿命がトレードオフだったというのはなんとなく納得がいってしまう話で、生殖能力が高いと言えば、マウスがまず浮かぶ。マウスの繁殖力はとてもすさまじいけれど、平均寿命は約2年。

長寿と言えば亀は長生きだけれど、ニホンイシガメだったら多い年で15匹、少なければ5匹程度で寿命は20年ほど。ウミガメなら年に120個ほど卵を産むそうで、寿命は100年以上あるとされているけれど、社会的生活を送っている人間と比較しても意味が無いかも。

先進国の共通する悩みで国民の晩婚化が進んでいくと言うけれど、実際に寿命は医療の発展で延びている一方で、少子化が深刻になっている。結婚する人はいても、子供をたくさん作る家族はあまり見かけなくなった。

これは遺伝子が定めた宿命と考えていいのかもしれない。

医療や食料に困窮していた時期ならば、個体数を増やして生き延びる可能性をえらび、人口を増やしていく。医療や食料が充実するようになれば、繁殖を控えて、個体の生存期間を延ばしていく。ここでなされることは、生きていた間に受け継いでいく知識の蓄積。

種の保存を前提に生物としての知識を保存する方へとシフトチェンジしたと考えていいのかな。

日本の現在は婚活サイトがいっぱいできているし、結婚願望を持つ人が沢山いるようだけれど、少子化が止まらない。おそらくは、これからはどんどん老人が増えて若者が減っていく流れはしばらく続くんだろう。この国も長寿の方にシフトチェンジしているんだ。ならば、生きている間にたくさんの知識を残していこう。どうでもいいと思うことも、未来には役に立つのかもしれないし。


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