【プラズマが稲妻を導く】パルスレーザーが稲妻を誘導するぞ

小学生の時、大雨が降っていた校舎の中で、窓からのぞく市役所の空に稲妻が光っているのを見たことがある。
その市役所には避雷針があるそうで、こうして、荒れた天気に雷がやってくるとあの大きな建物は、市民を落雷から守ってくれている。

間近で轟音が鳴るとやっぱりびっくりするけれども、雷が見られると思うとつい空を眺めてしまう。

落雷はたまにあれども、たいていは雲の中をほとばしっている。雲の中で青白く光るけれど、この大地に稲光が伸びてくるのを待っている。

あれを写真でとる人がいるわけで、雷は光の速さなので、見てからじゃまず間に合わない。高速シャッターでタイミングを勘ではかっているのか、もしくは動画で撮っているかだと思うけれど。

稲光もこちらに合わせて視線をくれるわけじゃないから、この気まぐれにずっと付き合って、シャッターボタンに指を乗せているんだろうなと思ってしまう。


スイス、ジュネーブ大学の応用物理学部の研究チームは空にパルスレーザーを放つことで、稲妻の進路を変えることに成功した。

実は稲妻を誘導する技術はすでにあったけれど、それは人工稲妻の話で、実際の自然発生した稲妻を誘導する技術は出来ていなかった。

高強度のレーザーでプラズマを作り、そのプラズマが稲妻を誘導する道になる。プラズマとは固体、液体、気体の状態ではなく4つめの状態のことを言って、電流がとっても流れやすい。

電気は基本的に電気抵抗が小さい方に流れる。大気で放電するのは相当に電圧が高いため。

実験が行われたのはスイス北東部にあるゼンティス山で、そこには124メートルのタワーがあり避雷針がついている。なるべくなら、ここに落ちて欲しいわけで、研究チームはこの避雷針の隣にパルスレーザーを設置した。

そして、高出力のパルスレーザーを空に向かって放つことでプラズマの道を作る。それに導かれるように稲妻は避雷針に落雷した。

避雷針をうんと高く作れば、落ちやすくなるだろうけれど、それを固定するにはもっと広い敷地が必要になる。パルスレーザーで誘導が出来るなら、そこまで高い避雷針を用意しなくて済むと言うこと。

この研究がうまくいって、実用化になったら、避雷針誘導レーザーが至る所で現れるかな。雲の厚いいかにも雷が落ちてきそうな空に一条の光が雲を刺す。そこに集まる稲光をじっと見つめているのも、良い感じ。


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