【移植臓器の廃棄ロスを】使えなかった移植臓器を治療して移植するぞ

臓器不全に対して有効な治療法は臓器移植が挙げられる。投薬や外科手術などもあるけれども、健康な臓器を移植できれば、長くやっていける可能性もある。どちらもメリットデメリットはあるけれど。

日本人はドナーが少なくて、海外へ手術に行くケースもよく聞くわけで、この差はなぜだろうなと思う。自分自身でも、臓器を取られると言うことに抵抗感を持っている。
死んだあとも臓器を提供すると言うことになぜか抵抗感がある。死んだあとも深く眠っていて、そこで臓器を取られると喪失感を抱いてしまうんじゃないのかというよくわからない妄想がある。

臓器ひとつの価値観にも国民性があるんじゃないかなと思っていて、臓器は大事なものだから、死んでも一緒だよって考えと、臓器はパーツだよ、だから、使える人がいたらあげられるよって考えの二つに大まかに分かれているかなと。

そういう自分はPCのパーツなら、普通に交換しているし、10年前とまるで中身が違うけれど、自分のPCは自分の一部とも認識している。


スイスのチューリッヒ大学で、提供された肝臓が損傷や病変があったとき、体外で治療を施し、患者に移植する試みを世界で初めて成功した。

臓器移植のドナーを待って、やっと適合する臓器が見つかったと思ったら、病気持ちだったり、機能不全だったりすると、移植はせずに捨てちゃうことになるばあいがある。提供された臓器がみんな健康であるわけがないんだな、確かに。

今回の研究はそんな不合格臓器を機械が多臓器の代わりになって、生体肝臓を生かしつつ、治療を施して合格状態にしてから移植するというもの。

肝臓はたくさんの臓器に太い血管でつながっているとても大事な臓器、この臓器につなぐ血管から機械仕掛けの人工臓器をつないで、生きていてもらう。人工心肺、人工腎臓、人工横隔膜、人工腸、人工膵臓、擬似的に肝臓は肝臓の役目を果たしてもらう。

今回のケースは移植するはずだった肝臓が細菌感染を起こしており、内部に小さな腫瘍があった。肝臓は従来なら12時間まで保存が出来るが、通常では間に合わない。

なので、人工臓器に輸血液とチューブをつなげて、肝臓に三日間生きてもらった。そのあいだに細菌を除去し、腫瘍の良性と判断したので、移植できる合格品になった。

そして、肝硬変と肝臓がんを起こしていた男性の患者に移植を決行。

6日後にサンプルを取ったところ、肝臓が再生をしており、元の大きさに回復したという。

さらに1年後も男性は普通の生活が送れる程に回復していたとのこと。

肝臓に限らず、他の臓器も同じように出来るなら、不合格品を合格品に治療して、廃棄ロスを減らせれば、助かる人も増えるし、無駄になる臓器も少なくなる。でも、捨てられちゃうって仕方ないけれど、もったいない話。

たとえば、臓器不全の患者をコールドスリープにして、不治の臓器を取り出して体外治療を施して、元に戻すという荒技も出来るのでは。

人工臓器がそれほど大きなものになっていないし、いがいとできるかもしれないなんて。


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