髪の毛を海にはなって重油を回収するぞ

毛細管現象というのがあって、細い管状の物体の内側の液体が管の中を上昇する現象で、簡単に言うと細い管には水面よりも少し水を吸い込むぞと言うこと。

その話を始めて聞いたのは半田ごてを持っている先生が何か作業をしてるところで、半田付けをしているのかなと思ってみたら、半田付けを外しているところだった。

半田付けを見たことがない人の方が多いだろうけれど、電子部品を基盤に通電させて固定するために、ハンダという鉛とスズの合金をあてがって、高熱の小手先で溶かしてくっつける。昔はそうやって電子部品をつなげている人も多かっただろうけれど、今はどれくらいいるだろう。

このハンダで接着したものを外すには、そのハンダを削るか溶かして流すくらい。一般的には細い銅線で編んだひものようなものをハンダにあてがって、その上からコテ先を当てる。

熱が細い銅線からハンダまで伝わると、ハンダは溶けていくが溶けたハンダは銅線にしみこんでいく。液状化したハンダは近くに編み込まれた銅線の中に毛細管現象によって、隙間に入っていくのだ。

すると、ハンダが電子部品と基盤からきれいにとれて、無事に外せるようになる。熱しすぎて部品を壊してしまうなんてことがまれにある。


海の汚染問題の1つに海への重油の流出がある。たまにタンカーが座礁して、オイルがダダ漏れていくあれ。海岸にまで及ぶと油まみれの海鳥が哀れな姿となって現れ、ボランティア達に身体を洗われて、去って行く。おそらくは全ての生物を助けることは叶わないわけで。

人毛は油に溶ける性質がある。脂肪と炭化水素を吸収してくれるという。フランスの美容師が海の重油回収に人毛を使うというアイディアを出した。

フランスの美容師さんのティエリー・グラスさんは髪の毛のリサイクル協会を創立。フランス全土の3000件にも及ぶヘアサロンから切った髪を回収して、40トンも保管しているという。

髪の毛が1キロで最大8リットルも吸収できるという。しかも重油を吸収しても、洗浄するとさらに再利用できるとのこと。

なにげに農業にも髪の毛が役に立っているという。タンパク質が含まれて、窒素などの植物に重要な成分がかなりはいっている。

むかし、髪の毛をとかして醤油にしていたという噂を聞いたことがあるけれど、こんな利用法があったとは、今まで誰も気づかなかったのかな。気づいていた人いただろうけれど。



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