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霊的問題を脳の立場から考えてみよう その1

執筆:ラボラトリオ研究員 杉山 彰

たとえば憑依とかって、脳が創り出した幻影じゃないかしら。

 脳が見る風景は、私たちが見ている風景なのか?

“脳は、私たちが見ている風景の3%しか見ていない”。
忘れもしません。いまから2年前ほどのことですが、当時、LOGOSOLOGY研究会の講座テキストづくりに追われていた時、脳に関する本を手当たり次第に読みまくっていたときがありました。そんなときにヒョイと手にしたのが池谷裕二氏の<進化しすぎた脳>という本でした。

そこに書かれていた内容は、結構、衝撃的でした。私たちが、ふだん何気なく見ている風景は、いわゆる太陽光(可視光線)の反射によってさまざまな色彩情報として眼を介して網膜に写し出されるわけですが・・・。網膜に写し出された太陽光は電気信号に変換されて視神経を伝わり、視床を経て大脳皮質の第一次視覚野に入ってきます。眼を介して網膜に写し出された風景(光刺激)は、視床を経て大脳皮質に伝達されるわけです。当然のように、私たちは、網膜に入ってきた情報だけで、私たちの視覚体験(モノを観るという体験)が生まれるように思えるわけです。

しかし、池谷裕二氏によると、実際は、網膜に入ってくる風景(光刺激)は視覚体験を生み出す情報のごく一部にすぎないというのです。大脳皮質の第一次視覚野が網膜から受け取っている外部の世界の情報は3%しか受け取っていない。残りの97%は脳の内部情報によるものだという。

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つまり、私たちが見ている風景は、見ている風景の3%の情報を元に、脳が、自発的に創り出している。その創り出した風景を、私たちは、あたりまえに見ている風景と思い込んでいるにすぎないというのです。脳が見る風景は、私たちが見ている風景とは違うというのです。

では、いったい97%の脳の内部情報とは何なのでしょうか? それは記憶です。そして自発的に創り出しているというのは何を意味しているのか。それは、トップダウン処理という機能を意味しています。

たとえば富士山を見たとします。網膜に写し出された情報だけで富士山の風景の視覚体験を生み出すとしたら、富士山の風景が少し変わるたびに視覚化のための処理をしなければならなくなります。

たとえば、刻々と変化する雲の流れを見たままの視覚機能だけで処理しようとすれば、人間の識別能力の限界である0.5秒の時間間隔でしか雲の流れを視覚体験できないわけです。刻々と変化する雲の流れをスムーズにリアルタイムに見ることはできません。ガクガクとぎごちなく流れる雲の視覚体験しかできないわけです。 

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また、私たちの視神経は100万本しかありません。つまり100万画素のデジタルカメラ程度の解像度でしかないということです。100万画素のデジタルカメラでは、鮮明な姿形をした富士山を写し出すことはできません。

しかし、私たちの脳裏に写し出される富士山は、それこそ3000万画素以上の8Kの映像をはるかに上回る富士山の姿形を視覚体験できています。脳の中で解像度を上げるための処理が、自発的に行われているのです。過去に記憶した富士山の姿形や季節や天候の移り変わりなどの情報をベースにして、網膜から上がってきた3%の情報を手掛かりに、「富士山の風景」は脳の中で創りあげられ視覚体験に埋め込み処理されます。<思い込むための機能>が作動するようになっているのです。

脳の中で発生している、この<思い込むための機能>が、“霊的問題を脳の立場から考えてみよう。たとえば憑依とかって、脳が創り出した幻影じゃないかしら”という、今回パローレのテーマの紐解きへと展開していくのです。

(つづく)

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【杉山 彰(すぎやま あきら)プロフィール】

◎立命館大学 産業社会学部卒
 1974年、(株)タイムにコピーライターとして入社。
 以後(株)タイムに10年間勤務した後、杉山彰事務所を主宰。
 1990年、株式会社 JCN研究所を設立
 1993年、株式会社CSK関連会社 
 日本レジホンシステムズ(ナレッジモデリング株式会社の前身)と
 マーケティング顧問契約を締結
 ※この時期に、七沢先生との知遇を得て、現在に至る。
 1995年、松下電器産業(株)開発本部・映像音響情報研究所の
 コンセプトメーカーとして顧問契約(技術支援業務契約)を締結。
 2010年、株式会社 JCN研究所を休眠、現在に至る。

◎〈作成論文&レポート〉
 ・「マトリックス・マネージメント」
 ・「オープンマインド・ヒューマン・ネットワーキング」
 ・「コンピュータの中の日本語」
 ・「新・遺伝的アルゴリズム論」
 ・「知識社会におけるヒューマンネットワーキング経営の在り方」
 ・「人間と夢」 等

◎〈開発システム〉
 ・コンピュータにおける日本語処理機能としての
  カナ漢字置換装置・JCN〈愛(ai)〉
 ・置換アルゴリズムの応用システム「TAO/TIME認証システム」
 ・TAO時計装置

◎〈出願特許〉
 ・「カナ漢字自動置換システム」
 ・「新・遺伝的アルゴリズムによる、漢字混じり文章生成装置」
 ・「アナログ計時とディジタル計時と絶対時間を同時共時に
   計測表示できるTAO時計装置」
 ・「音符システムを活用した、新・中間言語アルゴリズム」
 ・「時間軸をキーデータとする、システム辞書の生成方法」
 ・「利用履歴データをID化した、新・ファイル管理システム」等

◎〈取得特許〉
 「TAO時計装置」(米国特許)、
 「TAO・TIME認証システム」(国際特許) 等


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