【木の素材感を生かした大テーブル】空間に合わせて素材を選ぶのではなく、素材を生かした空間を作る
そよぐ植物の葉、響き渡る水音。木々から木漏れ日が落ちるデスクや、ブランコの座席。parkERsの花や緑に囲まれたオフィスを実際に体感されたお客さまには、ありがたいことに「こんな場所で働いてみたい!」というお声がけをいただくことが多いです。
わたしたちは、ただ植物が置いてある空間ではなく、“五感を刺激する”空間を作りたいと考えています。だから写真でみるだけでなく、実際に空間に足を運んでいただき、五感を使って感じてほしい。“公園のようなここちよさ”をキーワードに連想される、花や緑、水や光、石や木の質感、そしてそこで過ごしている人の姿。その場所ではどんな音が聞こえるのか?どんな感触がするのか?どんな香りがするのか?ワクワクするような想像をふくらませながら空間をデザインしています。
parkERsのオフィスでまず目にする、トチノキを使用して作られたこの大テーブル。有機的な曲線が美しく、直線と幾何学図形で囲まれた都市の生活で生命力を感じさせてくれます。スタッフにとっては、偶然の会話が弾む、コミュニケーションが活発に生まれるエリアでもあります。今回は、このトチノキのテーブルに焦点を当てて、parkERsの空間デザインをご紹介します。
公園ってどんな場所?
固定席はなく、フリーアドレスのわたしたちのオフィス。このテーブルでは毎日部署も役職も違う社員同士が向かい合い、時に和気藹々と、そして時に黙々と集中して仕事をしています。
このトチノキテーブルをデザインする時に意識したのは「公園ってどんな場所だろう?」ということ。公園では、空間に合わせて何かを作るのではなく、あるものを活用して空間を作る。例えば、腰掛けようと思った時に転がっている木を持ってきてイス代わりにしたり、土をメモがわりにしたり。そんな場所を室内に作りたいと思い、曲がりの効いた木を使って素材からレイアウトをデザインしていきました。
木材との出会い
岡崎製材 林さん
天板に使用したトチノキの一枚板とは、愛知県の岡崎製材さんを通して出会いました。写真は、2019年8月にparkERsデザイナー片平と施工監理室 天野が工場視察に伺った時の様子。岡崎製材さんの工場には、とにかくいろんな木材がありとあらゆるところに置いてあります。その光景はわたしたちにとっては「宝の山」。
「これってそのままスツールになるのでは?」と想像を膨らませたり…。
こちらは、内側が空洞になっている木材。何に使うのかわからないけれど、ワクワクしますよね。
常識的には価値がないと思われるようなものでも、それを生かすのがデザイナーの腕の見せ所。そして岡崎製材さんがユニークなのは、わたしたちが目をつけたところを一緒に面白がってくれるところです。材木屋さんでは出てこない視点、逆に空間デザインの視点では出てこない視点。木材をきっかけに意見を交換することで、相互に面白いものづくりができます。そしてparkERsの新しいオフィスの執務テーブル作ると決まったとき、「この木ありき」のものづくりが始まったのです。
素材をもとにレイアウトを作る
天板に使用すると決まったトチノキ。この写真をひとつひとつ切り抜いて手元で並べ合わせ、オフィスの空間に合わせた配置や、どの材を組み合わせて使用するかを検討していきます。
イメージスケッチ
実寸大の型紙を並べてモックアップ作り
使用する板が決まったら、愛知県から実寸大の型紙を送っていただき実際に繋ぎ合わせてモックアップを作ります。
実寸大で並べてみると、微妙な大きさや幅の感覚を体感することができます。素材の良さをそのままに、どのように加工すればより使いやすく人が集まるテーブルになるのか?試行錯誤を重ねます。
いよいよテーブルができる
レイアウトが決定し、いよいよ実際の空間に材が運び込まれました。テーブルの組み立ては現地で。林さんにも立会いいただきながらテーブル作りが続きます。
足が付き、木材がテーブルになった様子。現場で微調整をくわえながら、臨機応変に形にしていきます。
素材感を生かすなかにもスパイスを
テーブルの配線孔は、“千切り”(ちぎり)をモチーフにしています。“千切り”とは、木材の割れの進行を食い止めたり、穴を埋めるために埋め込まれる蝶々型の木材のこと。本来は釘などが無かった頃、二つの材を繋ぎ止めるために使用されていました。自然の材である木を使うとき、変化する良さを生かしながら、モノとして長く使い続けるために施される技法です。
木材の溝は元々割れていた部分から延長させて、デザインとして入れていただいています。素材の質感をそのままに仕上げているからこそ、小さなアクセントを入れることで全体の印象を引き締めます。
ここにゴールドをはめ込み、ラフさの中にスパイスを。
自分の過ごす時間を作る空間へ
こうして、社員が集まるトチノキの大テーブルが完成。自然にできた木の溝に花瓶をさしている様子も見られ、まさに“あるものを活用して、自分の過ごす時間を作る”空間が出来上がりました。
ものづくりはアイデアだけではできない
parkERsが空間を作るとき、欠かせないのが「よりよいものづくり」をするために協力してくださるパートナーの皆さま。わたしたちが「公園とは?」「ここちよさとは?」を深掘りしてたどり着いた“表現したいもの”に共感し、その視野をもっと広げて、実現させてくれる存在です。木材も、植物も、家具やタイルの一枚まで。想いに共感してくださる仲間がいるからこそ、作り上げることができています。
これからもわたしたちは、「ここちよさとは何なのか?」「素材を生かしてどんなワクワクするような表現ができるのか?」考えを重ねながら、ひとりでも多くの方に花や緑のある豊かな時間を届けていきたいと思っています。
parkERsのオフィスは見学受付中。(法人向け)ご興味ある方は、ぜひ実物のトチノキテーブルに触れて、parkERsの五感を刺激するデザインを体感しにいらしてください。オフィス見学のお申し込みはこちらから。
この記事を書いた人
矢崎 恵理
parkERs ブランドコミュニケーション室
PR関連の制作を担当。