Favorite method #13 | マリー・ローランサンのグラス | TAKAHASHI AYAKA
こんにちは、こんばんは。今週は、涼しげなグラスをご紹介。
画家 “マリー・ローランサン” の作品がプリントされたグラスです。
ローランサンの描く女性達の虚な目と真っ白な肌、柔らかい身体が大好きです。実はグラスはネットオークションで手に入れて、ローランサンの絵を知ったのもそれがきっかけでしたから、展覧会や画集などで作品を実際に目にしたのはその後でした。グラスのこの顔、女性にピンときて、ローランサンの作風に惚れたんですね。
ローランサンの作風というとフェミニンにも感じますが、個人的には東郷青児や林静一の憂いある美人画のようなオーラを感じて、優しくも悲しげな目が、忘れられない魅力を強く発してきます。とはいえ、爽やかで華やかな絵が多く、パステルカラーやグレーの扱いが素敵です。画家自身は、20世紀初頭のパリで活躍した名前の残る数少ない女性画家です。ピカソやマティスらとも交流があったようで、元旦那さんに詩人のアポリネールがいます。華やかな世界ながら、女性だとなかなかに作家活動も苦労しそうなパリで、たくさんの女性から支持されローランサンに肖像を描いてもらうことが上流階級ではステータスでした(写真家で画家のマン・レイにポートレートを撮ってもらうことと同じくらいのステータスだったとか)。
ジョルジュ・ブラックやピカソ、マティスらからも認められていたことから、才能と、賢さ、前衛的芸術家として魅力溢れた人物だったんでしょう。
ローランサンの日本でのブームが落ち着いたせいかなかなか大きな展覧会が見当たらず、はじめて作品を見れたのは何年か経った2023年『渋谷bunkamura ザ・ミュージアム』で行われた、「マリー・ローランサンとモード」でした。
同年生まれ、交流もあったり不仲になったりとしたココ・シャネルと絡めた展示で面白かったです。展示のキーカラーもグレーとうすピンクが印象的で、パリらしい展示でした(パリにはいったことないが、パリジェンヌには薄ピンクのイメージがある)。観ている客層もファッション関連だろうなという女性が多かった。
あとは今年だと『アーティゾン美術館』で「マリー・ローランサンー 時代をうつす眼」を観ました。『アーティゾン美術館』も好きです。観にきている人は平日の東京駅、銀座あたりだから年齢層が高めだった。こちらも素晴らしかったですよ。
残念ながら国内にあった『マリー・ローランサン美術館』は2019年閉館したらしく今はいけないのですが、それだけ日本で愛されている画家です。
展覧会に行くといい事しかないなと気付いてから、東京ではたくさんの展覧会を見ることができました。絵や写真でも立体でも、言葉でも音でも質の高い表現に出会った時、おこがましいかもだけどそこに共感もできたときの栄養はやばいです。たくさんみたら感覚も肥えるだろうと思っても、毎回びっくりするほど感動するんですよね。
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