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連載 『いろいろレポート』 by PARK STAFF

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PARK GALLERY のディレクター加藤淳也や店長のいのうえあかねが普段から巡って見たギャラリー、エキシビジョンのレポートをまとめていきます。
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記事一覧

エキシビジョンレポート『第72回東京藝術大学卒業・修了作品展』 @東京藝術大学・東京都美術館 #002

先日行った、東京藝術大学(以下藝大)の卒展のレポートの続きです。ぼくの学歴は高卒で、大学、ましてや美大という中に流れる時間を想像することはできても思い出すことはできません。だから卒展みたいな機会でキャンパスに入ると、記憶が錯覚を起こして10代の頃の感覚が全身に蘇ってくる感じがあります。何も学びたくなんかなかったし、自分には才能があると信じきっていたあの頃のぼくが、廊下を横切るような瞬間が何度かありました。 というわけで、今回も数多くある作品の中で、自分の感性の赴くままに立ち

エキシビジョンレポート『第72回東京藝術大学卒業・修了作品展』 @東京藝術大学・東京都美術館 #001

先日、東京藝術大学(以下藝大)の卒展に行ってきました。日本の芸術系大学の最高峰。ワクワクしますよね。徒歩圏内にあるということもあって、散歩感覚で行けたのはいいけれど、すごいにぎわいで軽く目眩(めまい)。こんなにたくさんのひとが自分の作品を見てくれるのってうれしいだろうな。 今回も、数多くある作品の中で、自分の感性の赴くままに立ち止まって、琴線に触れたものだけ紹介させていただきます。アートを見る楽しみ、想像する喜びみたいなものを読んでくれたひとと分け合えたらと思います。  

エキシビジョンレポート killdisco 個展『Tiny fete』 @ギャラリー・ルモンド

水と塩と酸味のあるサワー種の小麦だけで作る『サワードウ』という生地で作るピザが食べられるということで赤坂の『サバス』というピザ屋さんに行ってきた。このサワードウ、パンで使うことはあるらしいけれどピザ生地で使うのは珍しいとのことで、口に入れた瞬間の感動はひとしお。まずさわやかな麦の酸味がトマトソースやチーズの旨味を最大限に引き出してくれる。その次に噛めば噛むほど、今度は奥の方からシンプルな小麦の香りが遅ればせながらやってくる感じ。濃厚なソースに負けない力強い香り。それを昼呑みの

エキシビジョンレポート 『TARP Vol.4 CITY/街』 発刊記念展 @ 亀戸アートセンター

今日みたいに風が強くて寒いと、立っているだけでしんどい。前に進もうと思うとなおさら。いや、立ってるだけの方がしんどいかも。だからそんな時、少しだけ風をさえぎるものがあるだけで寒さはやわらぐし、この風さえなければ本来は居心地がいいことに気付けたりする。 「この風さえなければ」というのは、わりとしょっちゅうある。桜はきれいなんだけれど、この風がねー、とか。せっかく海辺に来たのに、風が強くてベタベタとか。 雨風をしのぐ洞窟みたいなものがあればいいけれど、この社会では不法侵入でも

エキシビジョンレポート ミウラユウタ 個展 『BLOOMIN'』 @ RANITOS

パークにも馴染みのあるグラフィックデザイナーのミウラユウタくんの個展を見に新宿歌舞伎町のペルーサンド専門店 RANITOS に行ってきました。 歌舞伎町とか10年ぶりくらいに来たかも。 展示のタイトルは『BLOOMIN'』。 コロナ禍で荒んだ心に添える<花>をモチーフにした作品たち。ずっと昔から線を描くことが好きだったというミウラくんの自由なドローイングによる『花』がリソグラフ作品となって並んでいます。形はもちろん色だけでも見てて楽しい。 どの作品もポスターとして購入

エキシビジョンレポート 3人展 『summer! summer!! summer!!!"』 @ フリュウギャラリー

今日伺ってきたのは、昭和の香りが残る街並みが人気の谷根千エリアにあるフリュウギャラリー。暮らしと観光が共存する下町には今日もたくさんの人たちが訪れていて、平日にもかかわらずにぎわいを見せていました。 最寄駅は千代田線の千駄木駅。地下鉄の階段を出るとすぐに谷根千のランドマークの1つ「団子坂下の交差点」が。夏目漱石や森鴎外も登った(であろう)団子坂をひーひー言いながら登ること5分。レトロな外観の「フリュウギャラリー」はあります。 目当てはイラストレーターの青山功さん、Wei

エキシビジョンレポート / P&A pottery class presents 『ceramicscape』 @COMINGSOON

すこし前の話になってしまいますが、刺激を受けたイベントレポ 👩🏻‍🍳 渋谷パルコ内にあるスペース『COMINGSOON』。 こちらでは、『食』のニュースを発信する新スペースとしてフードカルチャーをメインに発信するオルタナティブなスポットとなっています。 カルチャー界の勢いはとまらないすね !! 今回足を運んだのは、6月4(金)から約1週間ほど開催されていた、グループ展『ceramicscape』のタイミング。最近身近なイラストレーターさんたちからも噂を聞いていた、陶芸教

エキシビジョンレポート / 石部巧 chappy 2人展 『手に亀を戸に花を』 @ TETOKA

神田駅から徒歩5分。PARK GALLERY からも歩いて15分のところにあるカフェとギャラリーを併設したオルタナティブスペース TETOKA(手と花)。 近くにあるのは知っていながらもなかなか足を運ぶ機会がなかったのですが、亀戸アートセンター(ギャラリー)を運営しながら、自身もアーティストとして活動している石部さんと chappy さんの展示があると聞き、ずっと2人の作品が気になっていたので行ってきました。 本当に近い。 これが石部巧さんの方の作品。ペインティングやシ

エキシビジョンレポート はしご編 / 2021.03.21

先日の日曜日にスタッフのたろうとバトンタッチして、4カ所の展示をはしごしてきました。都内は春の嵐で移動自体は大変でしたが、スムーズな電車の乗り継ぎ計画(計画的に)のもと、良き時間帯(密なし)で、様々な作家さんによる展示会をたのしんできました!いのうえによる『エキシビジョンレポート』、久しぶりに更新します。 🚃 ------ 御茶ノ水駅 = 吉祥寺駅 🚃 @ギャラリー イロ まずは御茶ノ水駅から1本で吉祥寺駅へ。 二人展『植物園』に向かいます。 植物を中心に制作をさ

エキシビジョンレポート / 港町カレンダー原画展 『生きている風景』 @真鶴出版

神奈川県の西の方。 広い海に囲まれた街、「美の町」とも呼ばれている、真鶴町。 最近、話題のスポットとしてもテレビや雑誌にも取り上げられていますね。魅力がある町の理由には、町民の団結力も理由にあるのではと思っています。 昔から引き継がれてきた美しい港町の風景を、町全体で維持し残していくために必要な基準をつくり、まちづくり条例として施行されている、「美の基準デザインコードブック』という1冊の本があります。わたしも元は知らない町の話だよなと思っていたけど、この本

エキシビジョンレポート / 千葉正也さん個展 @東京オペラシティアートギャラリー

パークが休みの火曜日。 美術手帖の記事で気になっていた、アーティストの千葉正也さんの個展に行ってきた。大きな空間でなにか作品をゆっくり鑑賞したい気分だったので、東京オペラシティのアートギャラリーは、空間的にもばっちし気分。京王新線だと直結で建物に向かうことができるのでとても助かる。いざ。 先週末から始まったばかりのこの展示、約2ヶ月間の開催期間。平日はやはり空いているようでよかった。 広い室内に入っていくと、大きな絵画作品がランダムに並べてある。よくある壁掛けではなく、無

エキシビジョンレポート / 川元陽子さん個展 「frame and landscape」@B GALLERY

最近 SNS にでこの展示の情報が流れてきて、気になって足を運んでみた。新宿にあるビームスジャパン5階にある B GALLERY で開催中の、ペインター・川元陽子さんの個展 「frame and landscape」へ。 先日レポートにもあげた WAVE 2020 にも参加されていて、あの時は全体の空気にも圧倒されて個人的にも完全燃焼感があり、正直ひとつひとつじっくりと観ることができなかったのだけど、今回は個展ということで独占するような気持ちで観てきた。 映画の一場面を描

エキシビジョンレポート MUSIC ILLUSTRATION AWORDS @ KATA(恵比寿)

恵比寿リキッドルームの2階にあるギャラリー KATA で現在開催されている MUSIC ILLUSTRATION AWORDS 2020 をみてきた(今週末で終了なので注意です)。 2019年にレコードやCDのジャケットのアートワークを手掛けた実績のあるイラストレーターの中から厳選した40人が、レコードサイズのアートボードにオリジナルのイラストを描き下ろし、展示販売するエキシビジョンでもう10年も続いてる。アワードというだけあって、会場では各2票をもって、好きなイラストレー

エキシビジョンレポート 大橋裕之『越境』@ 阿佐ヶ谷 VOID

2008年、仲間たちと一緒に会員制の漫画雑誌を月刊で作っていた。子どもの頃、漫画を描いていた経験がある友人たちを集めて、毎月ゲストを呼び、バンドマンを中心に、コラムなども添えて毎号100ページくらい。1年続ければ新しい世界が見えるはずだと。 確かに狂ってた。 年会費5000円で購読してくれると毎月1日に漫画雑誌が送られてくるという、いま考えたらどういう風に採算を取ろうとしたのだろうかと頭を抱えるが、何を隠そう、はっぴぃえんど、高田渡、加川良、遠藤賢司らを輩出した日本初のイ