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海士町で本を読んだだけの1日


海士町図書館にここ1週間毎日通い、JICAの事前課題を完遂すべくオンライン講座の視聴に励んでいる。しかしながら、選書が素晴らしいと噂の海士町図書館で本を読まないのもどうかと思い、今日は本を読む日とすることにした。読んだ本を簡単に紹介していく。


ほんとうのリーダーのみつけかた(梨木香歩さん)

https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b515739.html

図書館入り口のすぐ右の本棚に発見。

同調圧力に抗い、自分の信念、正義を貫くには?をテーマを優しく易しく説いている本。タイトルにある「本当のリーダー」とは、本書曰く「自分自身」。自分自身をリーダーにするために(自分の心の声に従うために)、時代と共に変化する一時的な社会常識に染まり過ぎず、自分自身にも批判の目を向け、正気でいること。鶴見俊輔さんやジョコビッチなど様々な人の実例があって面白い。
最近読んだ、内田樹さん著の「勇気論」にもあるような、「社会とずれても少数派を恐れない勇気」、につながりそうな本でした。多数派って良く間違えるよ、世間の一般的な善悪には眉に唾を付けて下さいね、と説いている(と理解した)。


働く君に伝えたい「お金」の教養(出口治明さん)

https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8008031.html

マネーリテラシーの欠片もないので思わず手に取る。貯蓄について、マイホームを持つべきか否かについて、適切な保険とは、何に投資をすればいいか、年金は得か損か、などなど、我々若者とお金の付き合い方を説いているが、ただのハウツー本にとどまらないのが出口さんの凄いところ。特に、戦後の日本の経済発展の背景の説明はなるほど!と大いに学びになった。せっかくなので共有する。

戦後日本が発展した7つのポイント:

  • 冷戦構造:同じ連合国側であったソ連・中国と決別したので旧敵の日本をパートナーに選ばざるを得なかった。

  • 指導者が若かった:戦争犯罪で当時の指導者が一斉に追放され、若い指導者(40代~50代)が日本の指導者になった。

  • アメリカへのキャッチアップ戦略:目指すべき目標があった。

  • 人口増加:戦地や旧植民地から大勢帰還しベビーブームに。

  • 朝鮮特需:1950年の朝鮮戦争で数十兆円規模の需要が生まれる。

  • ドッジライン:アメリカから強いられた緊縮財政のおかげでハイパーインフレにならずに済んだ。

  • アメリカに守られた経済成長:日本をソ連・中国に対する不沈空母とすべく、日本の経済成長を多いに助けてくれた(反対にアメリカは繊維・自動車・鉄鋼などの自国の産業を日本に潰されてしまった)。

出口さんは↑とは真逆の状況(冷戦構造も終わり日本の重要性が低下、指導者も高齢、キャッチアップするモデルがなく正解がない、人口減少、特需なし、放漫財政、経済成長なし)が現在の日本だとしている。
つまり先述の7つの稀有な状況が重なり、戦後の約50年は急成長できた特異な時代である。しかし、今日支配的な社会常識は、歴史的には珍しい戦後50年くらいの時代が基盤になっているため、あんまりおじさん・おばさん(バブル世代とか)がいうことをそのまま鵜吞みにしないでね、と言っている。なるほど。

ちなみに、出口さんは、最良の投資先は「自分自身」だと言っている。投資の基準として、「今より賢くなるか」「人生の選択肢が増えるか」が基準と説いている。…私の三線ももしかしたら投資になっているのかもしれない。

地方創生大全(木下斉さん)

https://str.toyokeizai.net/books/9784492212257/

地方創生を成功させるにはを過激に説いている本。バッサバッサと、補助金ありきの事業、間違ったブランド化事業、非効率な行政を切っている。切りまくっている。気持ちがいいくらいに切りまくっている。この本は後で購入しようと思う。

面白かったところをピックアップ

  • 地方創生とは「どこでもやっていることに取り組むこと」ではなく「他ではやっていない、しかし自分たちの地域ではできること」に取り組むことと。👉耳が痛い。成功事例ばかりインプットしていたが、あんまり意味がなかったとは。。もっと地域の資源に目を向け、手持ちのカードを整理しなおす必要がある。

  • 商品を開発するときは、先に営業をかけてお客様を作っておく。「この地域は〇〇が特産だから〇〇の新商品をつくるのだ~」ではなく、先に営業をかけ、確実に市場が求めている&そして買ってくれる商品を作る。それにより、安心して商品の開発&販売が可能になる。👉JICA協力隊でも生かせる知見。先に顧客調査と取引先を確定させてから、商品開発を進めたい。

  • 地域で事業を始めたかったら一人でさっさと始める。他人(あまりかかわりのない人、経験のない人)の評価は気にしない。相談するのであればすでに起業している人や経験者の話に耳を傾ける。👉田舎ほど何かと足を引っ張る系の人が出てくるのは良く分かる。ここで折れずに粛々と自分のやるべきことを実行する強さは持たなければならない(そこが難しいところだけど)。


野口英世 (新装版) (講談社火の鳥伝記文庫 5)

https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000147378

易しい子ども向けの本。幼いころに一度だけ野口英世の伝記を読んだことがあったが、改めて読んでみる。

彼を貫く圧倒的「衝動」の力に驚く。寝食を忘れて病原菌の研究を行う狂気。

あと、子供向けの伝記には絶対出てこないが、野口英世は、結婚詐欺まがいのことをして資金を得たことや、留学資金を飲み会で蕩尽したこと、などなど、金銭面がどうしようもないくらいだらしがない。血脇守之助がパトロンとして必死に彼を守ったそうな。野口英世の偉大なる功績は彼だけでは達成できなかったということですね。

のほほん絵日記(さくらももこさん)

https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents_amp.html?isbn=978-4-08-744464-3

何気ない日常を切り取るだけで面白いって才能だ。凄すぎる。最初の1ページめから大笑いしてしまった。
どんな日常もどの場面でシャッターを切るかにより、喜劇にも悲劇にもなりえるということかもしれない。ほのぼのな絵もついているのが更に良い。



今日のスケッチ

張り切って読み始めるけど、1日で読める本の数って決まってますね。

海士町図書館にて

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