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【5歳児編】就学前は遊びが学び?先取り学習の効果と弊害について

#先取り学習 #就学前教育 #5歳の子育て #教育 

  • そろそろ小学生になるし、漢字や九九の勉強をはじめたほうがよいのかな?

  • どの程度先取り学習させたらよいか迷っている

  • 幼少期の詰め込み型教育は良くないかも…

子供が大きくなってきて、先取り学習や早期教育を考えた人もいるのではないでしょうか?先取り学習といっても漢字の読み書きから算数の勉強まで様々あり、具体的に何を勉強させると良いのか?そもそも幼少期に勉強をさせる意味があるのか?正確なところは分からない方がほとんどではないかと思います。

本記事では、先取り学習のメリットとデメリットを解説します。最後に幼少期に親子で身に着けておくべき、おすすめのスキルにも触れておりますので、是非ご参照ください!

保育園や幼稚園の先生たちは必ずしも早期教育に肯定的でない

毎日のように子供たちと接している保育園や幼稚園の先生たちは、就学前の教育にどのような印象を持っているのでしょうか?こちらの記事によると、先生たちは未就学児に試験を受けさせたり、勉強中心の生活を送らせることに積極的ではないようです。

昔のように、自然の中を歩き回ったり、友達と話したり、遊んだりした方が子供にとっては勉強になると考えている人もいます。そのように考えている先生たちにとって、勉強中心の保育園ではまるで子供たちが不幸になっていく様を目の当たりにしているように感じるのかもしれません。

先生たちの懸念は実は、学術研究によって裏付けられています。

早期教育のメリットは3年しか続かない

幼児期に勉強中心の生活を送った子供たちがその後どのように育つかについて、調査した興味深い研究があります。早期教育に力を入れて育てられた子供たちと、自由に遊んでいた子供たちの学力や社会的・感情的な発達を比較したのです。先取り学習していた子供たちの方が、特定分野のテストにおいてより高い得点を取ることができました。

しかし、その効果は小学三年生までしか続かず、その後のテストの結果は変わらなくなってしまったのです。さらに、勉強中心の生活を送っていた子供たちは、社会的・情緒的な発達が従来的な保育を受けた子供たちと比べて、遅れていることも分かりました。

アメリカで貧困層の子供たち343名を対象とした大規模な調査でも同様の結果が確認できました。学力トレーニングを行った幼稚園で育った子供とのびのびと遊んだ子供の学力を比較しました。予想通り、ある時期までは学力トレーニングを受けた子供の方が学力は高かったです。しかし、4年生の終わりごろになると遊んでいた子供たちの方が優秀な成績を収めたのです。

これらの研究結果は、早期教育が思ったほど有益ではないだけではなく、長期的に見ると弊害を引き起こす可能性がある証拠です。

のびのびと遊んだ子供の方が国語力や数学力が高くなる?

1970年代にドイツで行われた、遊びを重視した幼稚園の卒園生と勉強を重視した幼稚園の卒園生を比較した大規模な調査も見てみましょう。この実験でも勉強を重視した幼稚園の卒園生は、最初は学力におけるメリットが確認できました。

しかし、小学四年生になるころには、遊び重視の幼稚園に通っていた子供たちよりも成績が悪くなったのです。特に読み書きや数学に関する領域で、悪い成績となったという結果が出ました。社交性や感情的な能力も先取り学習した子供たちの方が低かったのです。ドイツでは当初、遊びを重視した幼稚園から勉強を重視した幼稚園への移行が進められていました。この研究によって方針を変更したともいわれています。

遊ぶ子ほど学力が高く、社交的で犯罪を犯すリスクも低い

もう一つ、1967年にミシガン州で行われた研究をご紹介しましょう。貧困層の子供たち68名を対象として、3つのグループに分けて学力にどのような差があるのかを調査しました。

  • 遊びを重視した「伝統保育型」

  • 遊びの時間を取りつつも、一定の指導を行う「中間保育型」

  • 筆記テスト、読み書きや計算など先取り教育を行う「直接指導型」

この実験では、毎日の通園に加えて2週間に1度、家庭訪問を行いました。家庭訪問では、教室での指導方法と同じスタイルで、保護者に子育て方法を指導しました。例えば、「伝統保育型」の幼稚園に子供を通わせる親たちには遊びや社会性の大切さを教えました。一方で「直接指導型」の幼稚園では家庭訪問でも学力やテストの話題が重視されました。

調査の結果、他の研究と同様に「直接指導型」の方が最初は学力が向上しましたが、その後「伝統保育型」「中間保育型」の成績は追いつきました。15歳と23歳になったときの学業成績はどのグループも同じだったのです。社会的・情緒的な能力は「直接指導型」のグループの方が明らかに低かったのです。

この研究では、犯罪歴や逮捕歴についても追跡調査しています。「直接指導型」のグループでは他のグループと比較して15歳までに平均して2倍以上も非行行為を犯すという結果になりました。しかも、23歳になるとその差はさらに開いていったのです。

「直接指導型」の保育を受けた子供たちはまとめると以下のような傾向が見られました。

  • 他人との摩擦や衝突が多い

  • 情動障害や感情障害の傾向がある

  • 結婚後に配偶者と別居している可能性が高い

  • 犯罪を犯す可能性が高い

特に犯罪歴に関しては、重犯罪によって逮捕される確率は「直接指導型」のグループは39%でしたが、「伝統保育型」「中間保育型」のグループは平均して13.5%でした。危険な武器による暴行で捕まる確率は「直接指導型」が19%であったのに対して、「伝統保育型」「中間保育型」は0%でした。

学力を重視する保育は不適切な行動を選択するリスクを高める

なぜ、幼稚園の種類によってここまで子供の将来性が違うのでしょうか?幼少期に獲得したスキルや価値観が土台となって、その後のスキルを呼び込んだり考え方を手にしている可能性が高いです。

例えば、遊びを重視する環境で育った子供たちは、幼少期に他の子どもたちと遊んだり、交渉して妥協点を見つけたり、行動計画を立てる術を学びます。その後、成長するにつれて自己責任で頑張るようになり、社交的に行動したかもしれません。そういった価値観や行動が子供の将来性にポジティブな影響を与えた可能性があります。

一方で、勉強中心の生活を送った子どもは、良い点数を取ること、出世すること、結果を出すことに終始するようになるかもしれません。結果を残そうとすることは悪いことではありませんが、結果を出すためなら何でもよいと考えて、カンニングをしたり、他人との衝突を引き起こしたり、出世のために同僚の足を引っ張るといった不適切な行動を引き起こす可能性もあります。

子供たちが幼少期に獲得したスキルを元手に新しいスキルを獲得するならば、親にも同じようなことがいえるのではないでしょうか?親も幼少期に身に着けた育児スタイルを自己強化する形で育児や教育をするかもしれません。「直接指導型」の保育園に通わせた親は子供がテストで100点を取ったり、学歴をつけることを重視するかもしれません。意識的にしろ無意識的にしろ、家庭訪問で受けた指導が後々まで影響を及ぼしたとも考えられます。

この研究では貧困層の家庭を対象としているため、結果の解釈には慎重になるべきですが、先取り学習は基本的にメリットよりもデメリットの方が多いのではないでしょうか?

幼少期に育てるべき力とは?

いかがだったでしょう。本記事では先取り学習の効果と弊害について解説しました。「将来のために、今は遊びを我慢させる」と考える方もいらっしゃいますが、それではかえって子供のためにはならないのです。

乳児・幼児向けの子供に関して2割の努力で10割の成果を達成する親子のための教育プログラムをペアレは開発しています。こちらの記事では1~7歳の間に身に着けておきたい「非認知能力」について詳しく解説しています。「自尊心や忍耐力のある子供に育って欲しい」「社交的なスキルや他社への思いやりのある子供に育てたい」という方は是非チェックしてみてください!それではまた!


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