小さな夜の曲。
大学生の頃、ドイツ語の授業をとっていた。コミュニケーションを密に取りながら進む授業のスタイルが苦手で、ドイツ語がある前の日はよくお腹が痛くなった。
伊坂幸太郎さんの『アイネクライネナハトムジーク』は、そんなドイツ語の授業をとっていた甲斐あって本屋で手に取った一冊だ。つらい経験がこんなところで役に立つとは。なんだか悔しいけれど、ドイツ語を選択していてよかった。少なくとも今だから思うことなのだが。
小説はもちろんなのだが、映画も素敵だ。先日もう一度観たくなり、アマゾンプライムを開いた。
ヒロインがさきちゃんなのがとても嬉しい。背中の曲がった頼りない佐藤くんも、ご飯をうなずきながら食べる紗季ちゃんも、愛おしくて可愛い。斉藤和義さんとこだまたいちさんが歌う『小さな夜』も素敵だ。
その日は素敵な夜を過ごせた気がする。つらいことも嫌なこともたくさんあるけれど、映画を観てにやけてしまう瞬間にわたしは救われるのだ。
最後までお読みいただき、ありがとうございます! 泣いたり笑ったりしながらゆっくりと進んでいたら、またどこかで会えるかも...。そのときを楽しみにしています。