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移住して2年目。都会と違う、徳島の夏の「遊び」

2018年11月に徳島県の小さな港町、美波町に移住してから2回目の夏を迎えました。今年はコロナの影響もあって、盆休みは実家の千葉や祖母の家がある福岡には帰らず、美波町で過ごすことに。

阿波踊りなどをはじめとする地元のお祭りは、軒並み中止となってしまって、静かな夏休みとなるのかなと思っていたのですが、私の予想とは裏腹に、とても夏らしくにぎやかで忙しく、日焼けが日に日に濃くなる毎日でした。

クロスバイクに跨り隣町まで海沿いをサイクリングしたり、汗でビチャビチャになった体を川で冷ましたり、友人宅で全然蜜じゃないBBQをしたり、近所の海でダイビングしたり、温泉に入ったり、また気ままに川に行ったり。

中途半端にTシャツ焼けした二の腕は、アラサー女子にしてはなんとも手痛い夏の代償なのかもしれないけれど、「なにもない」からこそ「なんでもできる」を体現したような夏の日々の思い出として、これはこれでいいよなと今日、鏡を見ながら改めて思ったのでした。


田舎の遊びは、都会とは全然違う。

移住して2年目、はじめてお盆をこの小さな港町で過ごして、改めて感じます。田舎の遊びと都会の遊びは全然違うものなんだなって。

この町には、ショッピングセンターも映画館もないけれど、歩いて行ける距離に、海も山も川も森もある。なにもないけど自然だけはめちゃくちゃたくさんある環境の中で、子供も大人も自分たちで遊びを見つけていきます。

友人とちょっと深い話がしたいと思ったら、スタバじゃなくて海に行く。ウインドウショッピングはできないけど、川で魚をとるか、森で虫を探すか、はたまた、木を切って何か作っちゃうか、考えてる時間も楽しい。自由に遊びを組み立てるおもしろさがあるんです。

この町の人たちは、遊びを自分たちの手でつくる、見つける。それが田舎の遊びの普通なんだなと感じます。

私が知っている都会で手に入る遊びって、遊び方が決まっててルールがあって、みんなが同じことをやるでしょ?田舎では、遊びは自分たちでつくるもの。想像力と好奇心とちょっとの勇気で、育てていくもの。

どっちがいい、悪いじゃないけれど。
私はこっちの方が好きだな、とても。

梅雨明けが遅かったからまだまだ終わるには早すぎる夏だけど、ふとしたときに見上げる空は、なんだか少し秋が混じっていて、せつない。

残り少ない夏を、しっかり感じて、楽しんでいきたいなと思います。


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(お盆休み備忘録)

8月8日(土)
お盆休み初日は、クロスバイクにまたがり隣町までサイクリング。太平洋が一望できる南阿波サンラインを通って牟岐町へ。往復約40kmの道のりは、途中、上りがきついけど、しんどい坂道を超えた先に広がる海と吹き抜ける潮風は「心地よい」のなにものでもなくて、この町に住んでいて本当によかったなと思える。

牟岐に着いたら、知り合いが営むスーパーで少し休憩をしてから海岸へ移動。足首だけを海につけながら、キラキラひかる海をしばらく眺める。てっぺんにあるお日様に肩がじりじり焼かれているのがわかるけれど、気にせずにただボーッと遠くに浮かぶ漁船を眺めた。

帰りに川に入って涼んでから帰宅。夜は近所の友達の家でご飯。御近所さんが朝釣ってきた魚を刺身にして持ってきてくれた。新鮮な魚とビールってなんでこんなにも相性がいいんだろう。

8月9日(日)
隣の大きい方のまちへ出て喫茶店でゆっくり。昔から喫茶店で本を読みながらコーヒーを飲むのが好きなんです。コロナの影響で人出もまばらかと思いきや意外と店内はにぎやか。コロンビア豆を深入りした濃いめのコーヒーが、昨日の日焼けで熱って気怠い体に染みて、ほっと一息、呼吸を整えさせてくれました。

夜は友達と地元の飲み屋で。最初は2人で飲んでたけれど、気がついたら知り合いが集まってみんなで飲む感じに。こういうのがとても好き。田舎ならではの輪が広がっていく、時間を共有できる感覚がとても好き。楽しすぎてちょっと飲みすぎちゃったのは秘密です。

8月10日(月)
お世話になってる漁師さんが先日、誕生日だったので、隣町にある酒屋さんまでお祝いの焼酎を買いに。いつも魚をもらったり飲みに連れて行ってくれたり、本当によくしてくれる漁師さんに、日頃の感謝を示したかったんだけど、お酒を届けたら逆に「今朝、ぎょうさん釣れたけんな」といってマグロの刺身をたくさんもらってしまった。

たぶん、このまちに住んでいて、「お返し」ってなかなかできないと思う。お礼をしたらその分またいただいてしまう。返しきれない礼が日々、いろんなところで積み重なっていく。

8月11日(火)
出社。まちの広報誌を作成する業務を請け負っていて、その締め切りがあるため、この日は仕事day。なかなか頭が仕事脳に切り替わらなくて大変でした。

仕事の合間に、オフィス裏の川へ。覗き込むとボラの大群がワンサカいて、水面はキラキラだし、空は青すぎるほど青いして、なんだかそのまま飛び込んでしまいたくなる。グッと堪えてクーラーが聞いたオフィスへすぐに退散しました。

8月12日(水)、8月13日(木)
近くのダイビングショップでアドバンスライセンスをとる。漁師さんに漁船を出してもらって、いつもは浜から見てるだけの海を、下へ下へ。

15mくらい潜ったら、そこは魚の世界で、人間なんかただの部外者。私たちが普段、見てる世界なんて地球のほんのちょっとの部分でしかなくて、海の中には海の中の世界と秩序が回ってるんだなって、少し宇宙を感じた。

もっともっと深く
もっともっと深く
潜っていきたいなと思う

8月14日(金)
知り合いが手作りした屋外Barに飲みに行く。
田舎の人はなんでも作っちゃう。本当になんでもつくる。家も小屋もBarも家具もなんでもみんなつくるのが当たり前。出来合いのものなんか「つまらない」って言う。つくる過程から全部そのものを楽しむ。すごい素敵なことだと思う。だって、過程を味わえば味わうほど、そのこと自体を味わっているってことだから。

みんな、しっかり味わってる。遊びを、生きることを全部。田舎の人はかっこいいと私が思うのは、こういうことが理由でもあるんです。

8月15日(土)
終戦記念日。正午に町内放送で黙祷の鐘がならされた。しっかり目を閉じて75年前のことを思う。このまちには高齢者が多い。戦争経験者もまだまだたくさんいるんだろう。そういう人たちの言葉をしっかり聞いておきたいなと思った。

夜は御近所さんの軒先でBBQ。20時からサプライズの花火が上がる。今年は町の夏祭りがコロナで中止だったから毎年その祭りで上がる花火を今年はこの日にあげたみたい。例年より少し弾数は少なかったけど、それでもやっぱり夏に夏らしいもの、風物詩を愛でることって大事だなって改めて感じた夜でした。

8月16日(日)
掃除や洗濯をしてから温泉へ。四国の最東端にある温泉は、奥まった湾の一角にあって、まぶしいほどの青い海を露天風呂からも眺めることができる。

地元の人しかいなくてガラガラな温泉につかりながら、ゆっくりゆっくり呼吸する。いろいろ迷い迷いの人生だけど、ここでこうしていることはそんなに悪くないなって感じる。

そういえばこの前友達が「人生は死ぬまでの暇つぶし」なんて言ってたけど確かにそうだよなって思う。暇つぶしなんだからそんなにまじめ腐って考えないで、やりたいことやればいいねって。言うは行うより易しだとは思うけど、使い古された言葉って、使い古される由縁があるからそうなってるわけで、そういうことなんだろうなと思う。

四国の最東端の岬から見た景色は美しかった。とても綺麗だった。

明日からも自分らしさを求めて自分らしく生きていこうと決心させてくれる景色だった。


2020 summer :)

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