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ある日の夕方、近所の公園で、ものすごい勢いで滑り台を滑走し顔面ダイブした3才の息子に、どんな言葉をかけたらいいか考えた というお話

Ⅰ、出来事 

先日、3才の息子、5才の娘と私の3人で近所の公園に行き、筒状の滑り台と、その隣に階段やはしごがくっついているアスレチックで遊んでいた。
滑り台は傾斜が急で長さがありかなりスピードがでるので、いつもは子ども1人で滑ることはない。その時は、3人で階段やはしごを登り降りして遊んでいた。

そんなとき、不意に息子が滑り台の筒の中に1人でひょいっと入ってしまった。
すると筒の中を息子の影がものすごいスピードで通り過ぎ、そのままの勢いで滑り台から放出され、「ズシャーッッ!!」っと顔面から地面にダイブしてしまった。

私は泣きじゃくる息子に駆け寄り、抱え上げて落ち着かせ、まずはケガの確認をした。鼻と頬には痛々しい擦り傷ができてしまったが、幸い骨折など大きなケガはないようだ。
そして、私は考える。彼にどんな言葉をかけるべきだろうか?



Ⅱ、考えたこと

「なんで1人で滑ったんだ!危ないだろ!」と怒ることもできたかもしれない。でも、滑ってはいけないとあらかじめ説明はしていないし、子どもが滑り台をすべってなにがわるいのか。痛みで泣きじゃくる息子に、追い打ちをかけるようなことはしたくない。

「この滑り台はスピードがでるから危険なんだ。まだ1人ではすべらないでね」と危険性を説明することもできただろう。でも、傾斜が急な滑り台の危険性を痛みとともに学んだ彼に、これ以上説明する必要があるのだろうか。

私の口から出たのは、次の言葉だ。
「ナイスチャレンジ!!」

この声かけが正解なのかどうかはわからない。
ただ、私は息子の好奇心や、小さな挑戦を大切にしてあげたいと強く思った。
確かに一歩間違えればもっと大ケガにつながったかもしれないし、危険なことはやめてほしい。私がしっかり監督していなかったことがそもそもの原因であり、息子や心配するであろう妻には申し訳ない気持ちにもなった。
でも、私は息子の勇気、挑戦を称えたい。そのことを一番彼に伝えたいと思ったのだ。泣きじゃくる息子になるべく伝わるよう、簡潔な言葉で、繰り返し言った。

娘も駆け寄ってきて、一生懸命彼を励ましてくれた。
「がんばったね!」「ケガはね、がんばったくんしょうなんだよ!」「しっぱいしてもね、はずかしくないよ!!」
そんな娘の言葉に嬉しくなる。失敗を恐れずに挑戦することの大切さ、失敗してもめげないことの大切さは、この弟想いの優しい娘には少しは伝わっているのかもしれない。


Ⅲ、後日談

あの日以降、息子は他の公園の滑り台をすべるとき、足でスピードを丁寧に調整するようになった。ケガをした長い滑り台はまだすべっていない。
痛々しかった鼻と頬の傷もきれいになおって一安心だ。

もちろん、ケガの原因は私の監督不行き届きであり、もっと大きなケガであったなら、後悔してもしきれないだろう。
挑戦する気持ちは大切にしたいが、危険なことはさせたくない。
その線引きがとても悩ましい。

子育ては難しい、でも楽しい。








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