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子どもの学力向上につながる『ご褒美』

 子どもが自ら進んで楽しく勉強することが望ましいですが、なかなかそうはいきませんよね。
 「将来のために、勉強することが大切!」と説明しても、目先の誘惑(漫画やゲーム)に釣られてしまうのは、致し方ないことです。(私も昔はそんな子どもでした)

 では、『目先の誘惑』=『ご褒美』を使って、勉強をするように仕向けたらどうでしょう?馬の鼻先にニンジンぶら下げ作戦ですね。

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 学力向上のためにご褒美を与える場合、どういうご褒美の与え方が効果的か、ご褒美のデメリットはあるかを調べた研究があります。

 ハーバード大学のフライヤー教授の研究です。

Allan, B. M. , & Fryer, R. G. (2011). The power and pitfalls of education incentives. Brookings Institution, Hamilton Project.
シカゴ、ダラス、ヒューストン、ニューヨーク、ワシントンDCで実施
約250校 、小学2年生から中学3年生まで約3万6千人が参加

 アメリカの5都市で、ご褒美の因果効果を明らかにする実験を行いました。この実験では、ご褒美を以下のように設計しています。

『インプット』にご褒美:「本を読む」「宿題をやる」「算数の問題をとく」などの基準を満たせばご褒美を与える。

『アウトプット』にご褒美:「テストの点数があがる」「通知表の成績があがる」などの基準を満たせばご褒美を与える。

 各グループで、テストの点数が上がったか有害な副作用はあったかを調べました。


実験の結果ですが

『アウトプット』より『インプット』にご褒美を与える方が、学力が向上する。 
ご褒美は『勉強の楽しさ』を失わせない。

という結果でした。


では、詳しくみていきましょう。

Ⅰ、「テストでいい点をとったらご褒美」「本を読んだらご褒美」はどちらが効果的?

 インプットである「本を読む」「宿題をやる」という行為は、必ずしもテストの点数につながるとは限りません。
 アウトプットである「テストでいい点をとる」ということにご褒美を与える方が、一見うまくいきそうです。

 しかし、結果は逆でした。
 テストの点数が上がったのは、『インプット』にご褒美を与えられた子どもたちでした。特に『本を読む』ことにご褒美を与えられた子どもの学力向上は顕著でした。
 一方、『アウトプット』にご褒美を与えられた子どもたちの学力は全く向上しませんでした。

 『インプット』へのご褒美が有効だった理由として、『インプット』の場合「本を読む」「宿題をやる」など行動が明確である一方、『アウトプット』の場合、やる気は向上しても何をどうすべきか子どもたちはわからないということが考えられました。


Ⅱ、ご褒美は『勉強の楽しさ』を失わせるか?

 『インプットへ』のご褒美がテストの点数をあげることはわかりました。

 しかし、「ご褒美によって短期的には勉強をしても、勉強の楽しさや好奇心を失わせてしまうのではないか?」という懸念があります。

 これについても、ハーバード大学のフライヤー教授は検証を行いました。
 上述の実験の際、心理学的手法を用いたアンケート調査を行ったところ、『ご褒美の対象になった子どもたち』と『ご褒美の対象にならなかった子どもたち』を比較したところ、『勉強するのが楽しい』という気持ちには差がなかったという結果でした

 従って、ご褒美は『勉強の楽しさ』を失わせないことがわかりました。


Ⅲ、我が家の場合

 我が家には、5才の娘がおり、公文式やピアノの習い事をしています。

 『インプット』=「公文式の算数10枚+国語5枚をやる」「ピアノの課題曲を練習する」をしたら、「ラムネ1個またはぷっちょ1個をあげる」、「知育アプリを2~3ステージやってよい」というようなご褒美を設計しています。
*小学生にもなれば、きっとこれでは釣れないでしょう
*日頃はあまりお菓子を与えないので、子どもにとっては大切な甘味のようです

 ご褒美作戦のおかげかはわかりませんが、毎日の勉強習慣は身についていますし、「ご褒美がなければ勉強しない」というようなデメリットもありません。

 また、本来勉強もピアノも楽しいものと考えていますので、ご褒美でちょっとだけ背中をあと押ししてあげて、習慣になりどんどん上達していけば、自ら進んで楽しく学習するという理想的な状態になると思います。

 タブレット学習教材『RISU算数』を夏休みに合わせて始めてみましたが、こちらはなんのご褒美も、ノルマもありません。
 それでも、毎日楽しそうに学習しているのは、娘が学ぶ楽しさ、新しいことを知る喜びをわかってくれたのではないかなと考えています。
 また、教材自体に楽しく続ける工夫が凝らされているということも、大いにあると思います。


 ちなみに、ご褒美の失敗例もあります。
・UFOキャッチャーのスマホアプリ:とれないとすごく悔しがって泣く。「もう1回!もう1回!」がつづく。
・生物や宝石などのコレクション系のスマホアプリ:終わる時間がはっきりしていない。ライフが回復するために画面を連続タップしたり広告が入ったりと無駄な演出が多い

 もし、ご褒美にスマホアプリを与える場合は
・時間、ステージなど区切りが明確で、サクッと終われる
・知育要素がある
・広告など無駄な演出がすくない
などを考慮する必要があるかもしれません。 

 ちなみに、最近はBabyBusをしているようです。

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こちらの書籍を参考にしました。


主に子育てや教育の記事を、たまに医療系の記事を書いています。


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