「AIによるおすすめとリアル体験に苦悶する」
最近、TikTokのドッキリ投稿にはまっているた。海外のドッキリで、路上やエスカレーターなどですれ違い様に強烈な「おなら」の音を鳴らして、人々を驚かせるといった内容である。シンプルと言えばシンプルだが、思わず笑ってしまうのである。小学生の頃もそんな事他愛のない事で笑い転げていた時期があった。大人になっても何も成長していないではないか。
連日、そんなドッキリ投稿ばかりを楽しんでいるとAIから凄まじい勢いで、大量のおすすめがあった。同じようなドッキリ投稿をこれでもかと流してくるのである。AIのおすすめに負けてなるものかと全ての投稿を受容していると数時間があっという間に過ぎ去っていった。そして数日後、スマホから「あなたのスマホの使用時間は先週と比較して何%増加しました」というメッセージが表示されるのである。まさにAIの恐ろしさを実感する瞬間である。
昨晩も深夜2時近くまで、自室でおならドッキリ投稿を楽しみ、いつ間にか睡魔に負けていた。目覚めたのは朝6時。慌てて飛び起きて、身支度をして家を出た。最寄り駅まで躍動感に溢れて自転車で走り抜ける。すると何とか予定の電車に乗り込むことが出来た。
電車を乗り継ぎ、目的地へ向かう電車の中。突如、謎の腹痛に襲われたのだ。近頃、このような激痛を経験していなかったのでただ焦るばかりだ。痛みは季節外れの雪だるま式のように見事に僕の中でゴロゴロと大きく育っていく。現在地から目的地に到着するまでには約20分もある。必死で堪え忍ばなければならない。次第に体に薄らと鳥肌が浮かび、額に冷や汗がじっとりと滲んでくるのを自覚した。
次の停車駅が目の前に近づいてくる。
「次の駅で下車するしなかい」
しかし、ホームには通勤通学の人々でごった返している。
「この駅のトイレも期待出来そうもない」
僕は下車するのを諦めて腹を括り、次の駅という新たなステージへと向かった。そうは決めたものの腹には全く力が入らない。何とか腹痛に耐える大勢を模索していると、何故だか緊張感からか自然に背筋が直立した状態になっていた。
先はまだ長い。僕は全人生を懸けて、この危機的状況を回避しなければならないのだ。この年齢なってドッキリ投稿をリアル体験してはならないのだ。これは人生を変えるミッションだと思った。超えられない試練は与えられない。その言葉だけをただ信じて耐える決意をした。戦いはまだまだ続くのだ。
人生は広々とした海のようである。良い時もあれば悪い時もある。寄せては返す波のようである。
僕に牙を剥いて襲いかかってきた腹痛は満潮から、突如干潮へと表情を変えたのであった。先程までの苦痛はまるで嘘のように消え去っていったのだ。その瞬間に視界に光り輝く目的地の駅の風景が開けてきた。本日の腹痛発生時刻 7:55、Jアラート情報発信と同時刻の出来事であった。現在は22:30 自宅で白くまアイスを満喫しているひと時である。
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