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【自分史】ラジオの電話リクエストとか②

前述したようにレコードというのは中学生にとってはとっても高価なものだったので、もっぱら中古レコード屋通いが続いていた。
ビートルズが世に登場し、日本にもその旋風が吹き荒れだした頃、何が“プリーズ・プリーズ・ミー”だ、何が“抱きしめたい”だ・・・と、その軟弱さに拒否反応が起き、やっぱりオレはエルヴィスだった。
そんなときラジオで耳にしたのが「ツイスト&シャウト」で、このワイルドさには、すっかりやられてしまった。
もちろんB面に収められていた「ロール・オーヴァー・ベートーベン」もそれに拍車をかけたことは間違いない。
ビートルズはレノン&マーカートニーの連名で数々の名作を世に出してきたが、この「ツイスト&シャウト」も「ロール・オーヴァー・ベートーベン」も彼らの作品ではない。初期のビートルズに数多く見られる一連のカヴァーの曲であるのがわかるのは、それから随分と年を重ねてからだった。
遣隋、遣唐使、そして明治維新と日本の音楽が大きな変革を迎えたときは二度あるが、太平洋戦争に敗北してアメリカの音楽が大量になだれ込んできて、さらに60年代に入り、今度はビートルズが、戦後のベビーブームで生まれた若者達の心をしっかりと掴んでしまったのである。
ビートルズがヒットチャートを独占する中、いわゆるリバプールサウンズと呼ばれるイギリス出身のアーティストによる曲もどんどんチャートインし、ミュージックライフを筆頭に音楽雑誌が本屋の店頭に大量に並び、こぞって情報を仕入れようとする若者が買いまくっていった。
このオレも例外ではなく、もっぱらヤングミュージックという雑誌を愛読していた。この雑誌は主にカラー写真が充実し、情報というよりはそのアーティスト写真を楽しめるようになっていて、動く映像などは望めないその当時のオレたちにとっては、ファッションとか楽器とかステージ写真とかの貴重な情報源であったのだ。
レコードの内容などは買ってみなければわからないことが多く、最初のLPレコードをジャケット写真で買ってしまったように、レコード屋でジャケットのイメージで買ってしまうことも多々あり、買った後で、あぁこれは当たり、これはハズレと友人達と話していたのも日常の風景であった。
そして人並みに、世の流れとともに、ビートルズにハマリまくり、R・ストーンズ、アニマルズ、スペンサー・デイヴィス・グループと、どんどん黒っぽい方へハマっていったのであった。

※このテキストは、かつて第一興商の音楽ファンサイト「ROOTS MUSIC」に連載されていた文章に、大幅に加筆修正したものです。


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