マスクとアメリカ人
先日ツイッターのTLを見ていて、思わず「へ~ボタン」を脳内で押してしまった投稿がある。それがこちら。
欧米がそうそうと脱マスクした一方、日本はなかなかそれに続けないでいる。
私はその原因を、「マスクに信用を置いてるか否か」だと勝手に考えていた。
私含め日本人におけるマスク信用はあつい。
だが長年夫(アメリカ人)と暮らしていて、欧米人には「病気のときにマスクをする」という概念自体がそもそもない、ということを知った。
さすがに咳がひどいときは「しばらく寝室は別にしよう」とみずから提案してくることはあったが、基本咳をしていても家の中でマスクをしてくれるようなことはなかったからだ(口は抑えるが)。
「アメリカ人はいつマスクをするのか?」という質問をしてみたこともある。
しかし、“Never(しない)”と返されて終わった。
あまりにもすがすがしい返事に思わずドリフ顔負けのズッコケを見せた私だが、ドリフを知らない夫には「なんで転んだ?」と、意味不明だったことだろう。
しょせん、人間の常識というものは、たとえそれがマスクだろうとドリフだろうと、所変われば品変わるで「常識」なんてものは幻想なのである。
もちろんアメリカ人にもマスクをする人はいるだろう。だが30年間アメリカで暮らしてきた夫が、「マスクをした病人」を見たことが一度もないというのだから、かなり少数派なのは間違いなさそうだ。
そもそも体調の悪いときは仕事しない(出勤しない)国民性のアメリカ。そのため、外出する=もう元気だからマスクが必要ないのかもしれない。
そう思うと多少熱が出ていても、薬をぶちこみ戦場へ向かうSAMURAIが刀ではなくてマスクを装備するのもうなずける。
さて、先ほどのツイートリプ欄を見ていくと、欧米人がマスクを嫌がる理由に「日米のコミュニケーションの違い」をあげ、下の画像を貼った人がいた。
日本(左)とアメリカ(右)の顔文字である。
両者をよ~く比較してみると、アメリカは「口元」を、日本は「目元」の記号を変化させることで、表情のパターンを作っていることに気がつく。
つまり、感情をストレートに表すアメリカ人の場合、口元をみればその人の感情が分かるが、周りとの摩擦をさけるために「本音と建前」を使い分ける日本人の本心は目で分かるというのだ。
なかなか鋭い指摘である。ちなみにこの研究は、北海道大学大学院文学研究科准教授の結城雅樹氏がされたものである。
この画像を見て、夫がマスクを嫌がる理由がやっとわかった。毎日のように「だれがだれだか分からない」「なにを話してるか聞こえずらい」とこぼしていたが、コミュニケーションに支障をきたしていたのか。
顔を覚えることが苦手な夫にとって、顔の半分以上がマスクで隠されていてはだれがだれだか分からないうえ、その人の感情も分からずやりづらくて仕方なかったことだろう。
なのに私は「これだから自由の国からきた人間は……」とプチ差別をしていた。
すまん、夫!
ということで、上記の画像をみせながら
「だからマスクをいやがるんだね。今まで気づかなくてごめん。」
といったことを伝えたところ、
「いや、 :) とか :( とか使わないよ。 ^^ とか >< とか o_O をよく使う。そういえばマイケルはよく ¯_(ツ)_/¯ を使ってたな」などと言われた。
え……ジェネギャ? ジェネギャなの?
夫は1983年生まれなのだが、この世代ではすでに従来タイプの顔文字よりも日本タイプの顔文字のがポピュラーに使われていたとかなんとか。というか変換すると日本タイプのものが候補に表示されたし、今もそうらしい。
You’ve gotta be kidding!
(嘘だろおい!)
え、じゃあなにか。なんでマスク嫌がるねん?
“Because I don't want to.”
(別にしたくないから)
んなっ。まさかのシンプルに嫌だっただけというオチ……。_(¦3」∠)_バタッ…。
やはり夫は自由の国からきた人間なのだった。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?