大切なものを大切にするそれだけで良いのです。
価値観の迷宮
薄暗い路地裏に佇む古びた木造アパート。その一室で、B君はひとり、机に向かい考え込んでいました。
B君は、いつも自信に満ち溢れたA氏に憧れていました。A氏はどんな困難にも動じず、自分の価値観を貫き通す強さを持っていたのです。B君はその強さに惹かれ、弟子のようにA氏に付き従っていました。
しかし最近、A氏の言動に違和感を覚えるようになっていました。A氏はB君の家族を蔑み、B君自身も出来損ない呼ばわりするのです。しかし、B君は傷つきながらも、A氏の言葉に従うしかなかったのです。
そんなある日、B君はA氏から衝撃的な言葉を受けます。「お前が出来損ないなのは親がちゃんと教育しなかったからだ。お前が悪いのではないから安心しろ、俺がお前をちゃんと教育してやるからなぁ」
その瞬間、B君の中で何かが弾けたのです。長年抱えてきた心のモヤモヤが晴れたのです。B君はA氏から距離を置き、自分の価値観と向き合うことを決意します。
B君は幼い頃、両親から「あなたが大切に思っているものを大切にさえすればそれで良いのです。他人に左右されない自分の大切なものを持つことが、あなたの人生です」と教えられていたことを思い出したのです。
B君は、A氏の価値観に惑わされていた自分を恥じつつ、改めて大切な家族と向き合う。家族との温かい時間を過ごす中で、B君は自分らしさを取り戻していくのです。
B君はA氏に別れを告げ、新たな一歩を踏みだします。自信はなくても、自分の価値観を信じる強さを持ったB君の前には、無限の可能性が広がっていたのです。