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地獄極楽

地獄、極楽、あるのかないのかもわかりません。死ななければ、どちらに行けるのかもわかりません。でも昔話で地獄極楽見物に行った話があります。その話から発想を得て物語を書いてみました。

地獄は今の世の中と何も変わりはないのですが、寝ていると鬼が襲ってきて連れ去るのです。抵抗をすれば逃げる事もできますが、地獄のほとんどの人は簡単に鬼に捕まってしまうのです。

連れ去られない為には逃げなければなりませんが、寝ている時に襲わられるので逃げられないのです。捕まった人は牢屋に閉じ込められます。牢屋にいても食事はさせてもらえます。テーブルの上には豪華な食事が並んでいます。食事を食べる作法が言い渡されました。

手掴みで食べてはいけません。フォークやナイフ、スプーンにお箸を使って食べればよいのです。ただそのサイズが大きくて手で持てる部分から食事を挟んだりすくえる部分まで2メートル以上離れているのです。

目の前に豪華な食事が準備されているのに食べる事ができなくてお腹が空いた状態で寝る事も身体を動かす事もできません。

地獄では、睡眠欲も食欲も生欲(性欲)も満たされないのです。

それでは極楽はどうでしょうか?地獄の鬼が襲ってくるのは極楽も地獄も同じです。ただ極楽の人々は交代で寝る事にしたのです。鬼が襲ってきた事がわかったら寝ている人を起こして一緒に逃げるのです。

それでも鬼に捕まって牢屋に入れられる人がいます。テーブルに豪華な食事が並んでいる事も大きなサイズのフォークやスプーン、ナイフにお箸を使わなければならない事も同じです。

でも極楽の人々はテーブルの向かい側に座っている人の口に食事を与えたのです。自分で食べようとしても食べる事ができませんが他人に食べてもらう事はできます。

天国の人々は思いやりの心でお腹いっぱい食べて、身体を動かして、ぐっすり眠る事ができたのです。

同じ環境でも極楽と地獄に分かれるのは自分の事しか考えない人と思いやりのある人との違いです。

この物語は子どもたちに伝え広めたい話です。