21「ルクアの6階が私を呼んでいない」
大阪梅田にある「ルクア」は、大きな商業施設である。
大阪駅直結。
全フロアに特別おしゃれなお店達がたくさん入っている。
フラフラと歩くだけで欲しいものがたくさん見つかってしまう。
服屋さんが多く入っているが、え…?ってくらいおしゃれな雑貨や、え…?ってくらいおしゃれな本屋や、え…?ってくらい美味しそうな飲食店がひしめき合っている。
中国地方の方にわかりやすく言うと、ゆめタウン×100みたいな感じである。
もともと私はコンビニも夜は閉まるようなド級の田舎に住んでいたので、初めてルクアに来たときは、こんなの一生かかっても楽しみ尽くせない、ゆめタウンですらまだ行ったことないフロアとかあるのに、と思った。
ルクアは、階によって大体お店の種類がわかれている。
フード・スイーツ、コスメ、レディース、メンズ、ライフスタイルグッズなど。
ルクアには服を買いに行くこともある。
大学生の頃、ルクアで服を見るというと、
ローリーズファーム、ナイスクラップ、マジェスティックレゴン、ヘザー…
だった。
それらは全て6階だった。
だから6階にだけ寄って服を買って帰ることもあった。
そしてこの前久しぶりに服を買いに行って気がついた。
6階を完全にスルーしていたのだ。
いや、私が6階をスルーしたように書いたけど、実際には6階が私を完全にスルーしていた。
ローリーズファーム、ナイスクラップ、マジェスティックレゴン、ヘザー達は、
今の私には店に入ることすらはばかられる、
若者達の夢と希望がつまったキラキラした店だったのだ。
私が店に入ってしまえば、アラサー探知機が発動し、「夢と希望」そして二十歳達の視線に足元から襲われてやられてしまうだろう。
6階の名は、「ヤングレディス」。
エレベーターで、昔は絶対に降りていた6階に目もくれず、上へ上がった。
6階が私を全く呼んでいなかったのである。
6階に近寄ることすらできなかった。
ルクアで降りる階が違ったとき、人は大人になるんだ。
ヤングレディースに呼ばれなくなったそのとき、人は身も心もアラサーになるのである。
いずれ店から呼ばれなくなることもあるかもしれない。
だから大人になったら買おう、とかじゃなくて、
そのときに欲しいものを我慢せずに買って、めいっぱい楽しむことも大事なのだろうな。
7階アーバンリサーチの住人より。
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