彷徨う③



2014/11 記録





あれから数年が経ち
人も変わり
街も変わった。



私の中の
古井戸のように冷えきった穴は
その数年の間もずっとずっと埋まる事もなく
耳をすますと、
時折遠吠えのような
慟哭の声が聞こえた。



振り返り、自問自答も何度かしてみたが

凍てつく思いは変わらなかった。


もう「自分」はあきらめよう。
私は輪廻転生を信じている。
今回の私の人生はもう失敗作だから、
次に生まれ変わった人間で上手く生きればいいさ。

あと何十年かの今の自分を
静かに終わらせればいいだけ。






「覚醒(オマエに言った)」
エレファントカシマシ



作詞  宮本浩次
作曲  宮本浩次




オマエに 昨日の夜中 話したことは
別に オレが急に偉くなった訳じゃなく
三十七なり オレの青春は終わったけれど
明日も 明後日も
オレは やってゆくから     ♪





こんな私だが、
最近、ホントに数日前から
心境の変化があった。



私の中の
古井戸をガチガチに囲んでいた要塞が、

ほんのひと欠片だけど
崩れているのに気づいた。


このまま少しずつまわりも崩れ出して、

もしかしたら

いずれ古井戸を埋めてくれる日が来るのではないか。


あきらめてた今の人生を、
もう一度
朗らかに生きていけるかもしれない。

そんな温い感情が
胸に湧いてきている。





この「人生をあきらめる」気持ちは
言うなれば
気が遠くなるような絶望であった。
未来を見れず、過去は戻れず
ただ時間が過ぎるのを見ていた。
感情を失くしてしまっても、
私はそこに居なければならなかった。


それでも

元来臆病だったのが功を奏したのか、
自分を自分で消す事はしなかった。


いや違う。
ホントは胸の底に、負けてたまるか的な黒々としたエネルギーを私は常に持っていたんだ。

そしてそれは、
エレカシの、宮本の創る歌によって
なお、更に燃料を投下されて

よって私は「何度でも立ち上がる」事ができた。そう思う。

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