仮説思考(内田和成著)

「お前のそのスピードだと、ビジネスやっていけないぞ」

 新卒で働き始めた会社で、社会人の基礎を作ってもらった。
そこで言われた言葉の数々が今も心の中に残っており、現在の仕事への向き合い方に大きく影響を与えている。その中で言われたひとつが上記である。

 これまでの人生を振り返ると、私はいわゆる網羅思考型だった。情報を集められるだけ集め、ベストと思われるやり方を見つけ、地道にコツコツやっていく。自分が納得した上で進められるため、やっていく過程において非常に満足感があり、最終的には一定の成果も得られてきた。そのため何事にもこのやり方が染み付いていたのだが、仕事では一切通用しなかった。なぜか。それは時間があまりにもかかりすぎるから。仕事には期限とノルマが必ず存在しており、その期限内の中で最良のアウトプットを出す必要がある。しかしその訓練をしてこなかったため、目の前の現実とのギャップに非常に苦しんだ。

 それから転職を経て今。自分なりの方法で、決められた時間の中で仕事を進めるやり方を模索してきた。今後コンサルティング会社に転職するにあたり、よりその方法論を体得する必要性を感じ、本書を手に取った。

たとえば、「現状分析をしてみると、こんな分析結果が得られるだろう。その中でも問題の真因はこれで、その結果としていくつかの打ち手が考えられる。中でも最も効果的なものはこの戦略だろう」という筋道を、仮説ベースでつくってしまう。

恥をかくことを恐れずに、中途半端な仮説でも前倒しでぶつけてみて、よいインプットをもらい、修正したり進化させたりしていくことが大切だ。

 情報が多ければ多いほど、良い意思決定ができるとは限らない。常に仮説を持ち、それを検証するために分析をする、やみくもな分析ではなく、答えありきの積極的な情報収集→分析を念頭に置く。仕事を前に進めるために、どのように考えるべきなのか、本書で学ぶことができた。
繰り返し読んで、実践して、この思考法を血肉にしていきたい。

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