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不適切にもほどがある 一人で抱えちゃだめですか

 不適切にもほどがある!好調なスタートですねえ

 昭和の親父阿部サダヲは無事に娘のいる時代を生きることができたと思ったら、40年後の令和のスナックで見たママ(仲 里依紗)の涙が気になり、どうにかして令和に行った。遠距離恋愛という言葉はあるけど、未来人への恋愛ってなんて名付ければよいのか。

 超時空恋愛とでも名付けておこうか
 
 一方で謎だった吉田羊とその息子はなんで令和から昭和なんぞにやってきたのか?吉田羊の旦那さんが著名な科学者であり、バス型のタイムマシーンのプロトタイプが完成し、実験台として昭和の時代にやってきたようだ。未来から来た吉田羊は昭和の下品な親父をみて、昭和なんぞにいられない!!元の令和に帰りますわよ。とプンスカしておりましたが、息子のキヨシが阿部サダヲの娘純子に一目ぼれして、令和に帰りたくないと行って昭和の時代にとどまっている。

 ゴリゴリのデジタルネイティブにとって、スマホはもちろんインターネットもない時代にどんな魅力を感じるのか。11PMがそんなにみたいのか?そんなもんYouTubeで見れるだろという野暮なことは言わない。確かに地上波でリアルタイムで親にばれないように見ることに意義があるのだ。

 つまり、吉田羊は昭和を時代遅れだと肌で感じているようだが、狙って昭和の時代にいるということである。

 仲里依紗が涙を見せながらカウンターに立つのか?

 彼女は子供を産んだものの旦那と別れて女で一つで子供を育てている。彼女は元テレビバラエティーのアシスタントプロデューサーだったが、産休を取っていた。子供が生まれて職場に復帰したが、コロナや働き方改革で職場の環境はすっかり変わってしまった。部下はいるけどルールに縛られて謎のシフト制になり全然任せられずに、事実上ワンオペとなっている。

 旦那と別れてシングルマザーとして奮闘するも、保育園の受け入れの見込みは立たず、子供を連れていくしかないが会社じゃマイノリティーだのなんだので実質受け入れは不可、そんなギリギリの生活に悲鳴を上げている。

 なんかあったら何でも言って!!

 やばい、数年前には私も普通に使ってしまった。これは立派な思考停止ワードでこれを乱発していたら、たちまち無能の烙印を押されてしまう。始末の悪いことにメチャクチャ便利で何もしなくても「良い人」認定されること請け合いだ。

思えば、私も「何かあったら何でも相談して」に痛い目にあってきた

 10年前に私が35歳でプロジェクトリーダーになって、組織を崩壊させたとき、当時のクソ上司は「なんかあったら何でも言って」を使って頼りになる上司を演じており、さらに上の上司の評価をもらっていた。

 当時の私の部下に対しても「何でも相談載るよ」とか「頑張ればなんとかなるよ」とか言いながら、夕飯を連れて行くとしてご機嫌を取っていた。そのころ私はプロジェクトを燃やしてチームをぴりつかせており、その飲み会は当然のごとく欠席して仕事をしていた。

 いざ燃え上がった時の定例ミーティングでついに怒りが頂点に達した。一応リーダーの私が「ただいまからミーティングをはじめます。よろしくお願いします」と号令をかけた瞬間、「お前さー、この案件どうなってんだよ」っていきなり文句をつけられた。「失敗する前に報告したらどうなんだよ!!」

そして修羅場が始まった。
「あんたに報連相したって答え持ってないだろ!!!」

嫌なこと思い出してしまった。全く「なんかあったら何でも言って」を連発するやつにろくなヤツはいない。

 今回は働き方改革だっけ。あれだって、長時間残業が当たり前の日本の働き方を見直そうってことだろう。確か某広告代理店の痛ましい事件が大々的に報道されたことをきっかけに、残業は悪だという風潮が出来上がったのだろう。

 「働き方改革」と理念と掛け声は基本的に賛成である。それが浸透することで、うちの会社でも時間外にミーティングを設定したり、定時後に「なるはや」の依頼は減ってきた。

 ひどいときは仕事が遅くて夜中まで伝票入力を貯めていたバカが、夜中にパソコン壊れたといって呼び出してきたこともある。20時ぐらいに帰ったオレよりも、夜中まで会社に居座ってるやつの方が偉いと思われていたあの時の悪夢が働き方改革で無くなるのは願ったりかなったりだ。

 とはいえ働き方改革もまだまだ過渡期であるのが実際ではなかろうか

 大前提として長時間残業よりも、売り上げ・利益といった結果を出せないのはもっと悪い。仲里依紗の旦那が言ったように「限られたリソースで結果を出す」のが正論だ。

 しかし、働き方改革をするつもりがルールばかりにとらわれて思い切りしわ寄せをくらった仲里依紗にとっては、正論ほど残酷なものはない。
 
 ルールばかりにとらわれた働き方改革が起きるのはだいたい間違えた解釈をしている奴が作り出す「同調圧力」というわけわからんのもに支配され、手段が目的化する。にもかかわらず、ワークライフバランスとか多様性とかわけのわからんものに振り回されて組織は腐っていくだろう。

 令和で働き方改革を間違えてとらえている人間は昭和を古いと馬鹿にしている。しかし阿部サダヲは「でも今より景気は良かったよ」とぐうの音の出ない反論で返した。

 ワンオペで疲れ切った仲里依紗はちあきなおみの4つのお願いのミュージカルを歌いながら、ちゃっかり8つ要求していた。

 昭和の親父は令和をみて今より景気は良かったぜとどや顔していたが、2000年代入社の我々ロスジェネ世代にとっては、昭和の理不尽に振り回され、時代が変われば令和の間違えた働き方改革に振り回され、それでも必死で生きている。

 3つの時代で良いこと悪いことをグラデーション経験したからこそ、どんな時代でも生き抜けるように頑張れるのではないか思えてきた。

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